最期まであなたと
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※1年の夏
硝子ちゃんと買い物に初めて出掛けた。
お互い都内で買いたい物を見に、あっちへこっちへと歩いているうちに、硝子ちゃんとの仲が深まった気がした。
「君達可愛いね!!」
「モデルみたいじゃーん」
そんな楽しい気持ちをぶち壊す空気の読めない奴はどこにでもいるもので……楽しく笑っていた二人から表情が消えた。
硝子ちゃんは無視することに決めたらしく、聞こえなかったように通り過ぎようとする。
「無視は良くないよ」
「俺らと楽しく遊ぼうよー」
「邪魔」
「は?」
「通行の邪魔なんだけど」
「強気な女の子も好きだなぁ」
話の通じない男に硝子ちゃんの表情がどんどん抜け落ちていく。
硝子ちゃんを掴もうとする男の腕を、私は硝子ちゃんに触れる前に叩き落とした。
「いって!!」
「触らないでください」
「お前何すんだよ!!」
「俺らが優しくしてやってんのに調子乗ってんじゃねーぞ」
「道端で見知らぬ女性に声を掛けてしつこくするのが優しさならいりません。
硝子ちゃん、行こう」
「ふざけんなよ!!」
逆上してきた男が手を伸ばしてきたので、腕を取って捻り、ついでに足払いをすれば綺麗に転んだ。
「いっ!!」
「警察呼びますよ」
もう一人へと視線を向けると、男達は文句を言いながらさっさといなくなる。
「硝子ちゃん、大丈夫?」
「………うん、平気」
「良かった。あ、次あそこ入ってみたい」
「いいね」
その後、二回ほど声を掛けられたが二人は軽くあしらい買い物を楽しんだ。
帰宅してから二人で買った品物を取り出し楽しむ二人。
「買い物に行ってきたのかい?」
「夏油くん、こんばんは」
「こんばんは。何買ってきたんだい?」
「うひゃっ」
お風呂上がりなのか、髪の毛を下ろしている姿。始めてみるその姿に、高校生とは思えない色気があってドキリとする。後ろの背凭れから覗き込んできた夏油くんの少し濡れた髪の毛が首もとにサラリと当たり変な声が出てしまった。
「すまない」
「いや、あの……大丈夫デスから、あの……」
「ん?」
「………近いよ、夏油くん」
「そうかい?」
にっこりと笑う夏油くんに困り果てていると、硝子ちゃんが夏油くんに向かってゴミを投げつけていた。
簡単にキャッチし、ゴミ箱に入れる無駄の無い動きに思わず拍手してしまう。
「器用だね、夏油くん」
「名前もできるさ」
「無理だよ。私運動音痴だし」
「今日は楽しかったかい?」
「うん!!硝子ちゃんとね……」
夏油くんは私達の話に飽きずに付き合ってくれた。
沢山話してると喉が渇き、飲み物を買いに行ってくるとその場を離れた。
「楽しかったみたいだね」
「楽しかったよ。
途中で何回か声掛けられてしつこかったけど」
「は?」
「全部名前が対処したんだよね。
手慣れてるというか、弱くはないよね」
「自信が無いだけで弱くはないと思うよ」
「硝子ちゃん、夏油くんお茶で良かった?」
「わざわざ買ってきたのかい?払うよ」
「いいの。お話付き合ってくれたお礼」
「話くらいならいつでも聞くさ」
「じゃあ、今度夏油くんに奢ってもらおうかな?」
「わかったよ。ありがとう」
「サンキュー、名前」
「ところで名前」
「ん?なぁに、夏油くん」
「名前はよく街で声を掛けられるのかい?」
夏油くんの質問に頭を傾げる。
なんの事だろうと硝子ちゃんを見れば、今日みたいなやつ、と呟かれる。
「んー…今日は硝子ちゃんと居たからかなぁ」
「へぇ」
「呪霊と遭遇しないように生きてたから」
「……あぁ、逃げ回ってたと言ってたね」
「うん。巻き込まないように、巻き込まれないようにしてたから」
「名前ってモテるじゃん」
「まさか!!硝子ちゃんと居たからだよ」
「地元でも声掛けられたことあるでしょ?」
「んー……あれはどっちかというと、果たし状みたいな…」
「「は?」」
きょとんとする硝子ちゃんと夏油くん。
私は苦笑いするしかない。
「護身術習い出してから、ちょっと呼び出されること増えて」
「ほら、モテるじゃん」
「それが……たまたまだったんだけど
呪霊と遭遇して逃げてる時に、道端で喧嘩してる人達がいて……邪魔だし命掛かってるからちょっと手加減出来ずに倒しちゃって」
「それで?」
「その人達、地元じゃちょっと強いやんちゃな人達だったみたいでね」
「名前スケバンじゃん」
「どこ中の何とかを倒したのはお前かーと
勝負の呼び出しが多くて」
「勝ったのかい?」
「まさか。誤魔化してお引き取り願ったよ」
「なのに呼び出しってやっぱモテてんじゃん」
「噂しか知らない人は引き下がってくれたけど、やんちゃな人達が引いてくれなくてね……
もっとしつこくなってきて、面倒になったから警察に連絡したの」
「ストーカーになったのかい?」
「いつでもどこでも後着いてきて
試しに倒したら嬉しそうにするから気持ち悪くて……
最終的には警察にお願いしたけど
純粋に慕ってるだけだからって何もしてもらえなくて」
あの頃、呪霊とあの変な人達から逃げることに必死だったなぁ……と、遠い目をしてしまう。
「……夏油」
「鈍感もここまでいくと凄いね」
「ん?」
「鈍感だから真っ白なんだよ」
「名前はそのままでいるんだよ」
なぜか夏油くんに撫でられる。
硝子ちゃんも呆れているが、頷いている。
「強いけど弱いのも考えものだね」
「?」
「名前、今度出掛けるときは私も一緒に行くよ」
「いいの?あ、でも色んなとこブラブラするから……ね、硝子ちゃん」
「荷物持ちにいーじゃん」
「私が一緒に行きたいんだ。ダメかい?」
「………ダメ、じゃない……ですからっ
ちょっと近い……」
いつもと違う髪型に、頭を傾げる夏油くんの色気が半端じゃない。
垂れ流したままこちらを覗き見るものだから、なぜかこちらが恥ずかしくなる。
「夏油」
「ふふっ、硝子に怒られてしまうから私は部屋に戻るよ。
飲み物、ありがとう」
「あ、うんっ!!」
ひらひらと手を振る夏油くんに手を振る。
「名前、夏油に翻弄されてんじゃん」
「へ!?いや、だって……
あんな風に男の人と接したことないから……」
「彼氏いたことないの?」
「無い……です」
「ふーん」
にやにやと笑う硝子ちゃんに、私は頭を傾げるのだった。
あとがき
強いけど弱い。
名前ちゃんはただ弱いイメージで書いてるけれど、対一般人だと強いですよ。
呪術界では弱くても、非術師相手ならばなんとか。
硝子ちゃんと買い物に初めて出掛けた。
お互い都内で買いたい物を見に、あっちへこっちへと歩いているうちに、硝子ちゃんとの仲が深まった気がした。
「君達可愛いね!!」
「モデルみたいじゃーん」
そんな楽しい気持ちをぶち壊す空気の読めない奴はどこにでもいるもので……楽しく笑っていた二人から表情が消えた。
硝子ちゃんは無視することに決めたらしく、聞こえなかったように通り過ぎようとする。
「無視は良くないよ」
「俺らと楽しく遊ぼうよー」
「邪魔」
「は?」
「通行の邪魔なんだけど」
「強気な女の子も好きだなぁ」
話の通じない男に硝子ちゃんの表情がどんどん抜け落ちていく。
硝子ちゃんを掴もうとする男の腕を、私は硝子ちゃんに触れる前に叩き落とした。
「いって!!」
「触らないでください」
「お前何すんだよ!!」
「俺らが優しくしてやってんのに調子乗ってんじゃねーぞ」
「道端で見知らぬ女性に声を掛けてしつこくするのが優しさならいりません。
硝子ちゃん、行こう」
「ふざけんなよ!!」
逆上してきた男が手を伸ばしてきたので、腕を取って捻り、ついでに足払いをすれば綺麗に転んだ。
「いっ!!」
「警察呼びますよ」
もう一人へと視線を向けると、男達は文句を言いながらさっさといなくなる。
「硝子ちゃん、大丈夫?」
「………うん、平気」
「良かった。あ、次あそこ入ってみたい」
「いいね」
その後、二回ほど声を掛けられたが二人は軽くあしらい買い物を楽しんだ。
帰宅してから二人で買った品物を取り出し楽しむ二人。
「買い物に行ってきたのかい?」
「夏油くん、こんばんは」
「こんばんは。何買ってきたんだい?」
「うひゃっ」
お風呂上がりなのか、髪の毛を下ろしている姿。始めてみるその姿に、高校生とは思えない色気があってドキリとする。後ろの背凭れから覗き込んできた夏油くんの少し濡れた髪の毛が首もとにサラリと当たり変な声が出てしまった。
「すまない」
「いや、あの……大丈夫デスから、あの……」
「ん?」
「………近いよ、夏油くん」
「そうかい?」
にっこりと笑う夏油くんに困り果てていると、硝子ちゃんが夏油くんに向かってゴミを投げつけていた。
簡単にキャッチし、ゴミ箱に入れる無駄の無い動きに思わず拍手してしまう。
「器用だね、夏油くん」
「名前もできるさ」
「無理だよ。私運動音痴だし」
「今日は楽しかったかい?」
「うん!!硝子ちゃんとね……」
夏油くんは私達の話に飽きずに付き合ってくれた。
沢山話してると喉が渇き、飲み物を買いに行ってくるとその場を離れた。
「楽しかったみたいだね」
「楽しかったよ。
途中で何回か声掛けられてしつこかったけど」
「は?」
「全部名前が対処したんだよね。
手慣れてるというか、弱くはないよね」
「自信が無いだけで弱くはないと思うよ」
「硝子ちゃん、夏油くんお茶で良かった?」
「わざわざ買ってきたのかい?払うよ」
「いいの。お話付き合ってくれたお礼」
「話くらいならいつでも聞くさ」
「じゃあ、今度夏油くんに奢ってもらおうかな?」
「わかったよ。ありがとう」
「サンキュー、名前」
「ところで名前」
「ん?なぁに、夏油くん」
「名前はよく街で声を掛けられるのかい?」
夏油くんの質問に頭を傾げる。
なんの事だろうと硝子ちゃんを見れば、今日みたいなやつ、と呟かれる。
「んー…今日は硝子ちゃんと居たからかなぁ」
「へぇ」
「呪霊と遭遇しないように生きてたから」
「……あぁ、逃げ回ってたと言ってたね」
「うん。巻き込まないように、巻き込まれないようにしてたから」
「名前ってモテるじゃん」
「まさか!!硝子ちゃんと居たからだよ」
「地元でも声掛けられたことあるでしょ?」
「んー……あれはどっちかというと、果たし状みたいな…」
「「は?」」
きょとんとする硝子ちゃんと夏油くん。
私は苦笑いするしかない。
「護身術習い出してから、ちょっと呼び出されること増えて」
「ほら、モテるじゃん」
「それが……たまたまだったんだけど
呪霊と遭遇して逃げてる時に、道端で喧嘩してる人達がいて……邪魔だし命掛かってるからちょっと手加減出来ずに倒しちゃって」
「それで?」
「その人達、地元じゃちょっと強いやんちゃな人達だったみたいでね」
「名前スケバンじゃん」
「どこ中の何とかを倒したのはお前かーと
勝負の呼び出しが多くて」
「勝ったのかい?」
「まさか。誤魔化してお引き取り願ったよ」
「なのに呼び出しってやっぱモテてんじゃん」
「噂しか知らない人は引き下がってくれたけど、やんちゃな人達が引いてくれなくてね……
もっとしつこくなってきて、面倒になったから警察に連絡したの」
「ストーカーになったのかい?」
「いつでもどこでも後着いてきて
試しに倒したら嬉しそうにするから気持ち悪くて……
最終的には警察にお願いしたけど
純粋に慕ってるだけだからって何もしてもらえなくて」
あの頃、呪霊とあの変な人達から逃げることに必死だったなぁ……と、遠い目をしてしまう。
「……夏油」
「鈍感もここまでいくと凄いね」
「ん?」
「鈍感だから真っ白なんだよ」
「名前はそのままでいるんだよ」
なぜか夏油くんに撫でられる。
硝子ちゃんも呆れているが、頷いている。
「強いけど弱いのも考えものだね」
「?」
「名前、今度出掛けるときは私も一緒に行くよ」
「いいの?あ、でも色んなとこブラブラするから……ね、硝子ちゃん」
「荷物持ちにいーじゃん」
「私が一緒に行きたいんだ。ダメかい?」
「………ダメ、じゃない……ですからっ
ちょっと近い……」
いつもと違う髪型に、頭を傾げる夏油くんの色気が半端じゃない。
垂れ流したままこちらを覗き見るものだから、なぜかこちらが恥ずかしくなる。
「夏油」
「ふふっ、硝子に怒られてしまうから私は部屋に戻るよ。
飲み物、ありがとう」
「あ、うんっ!!」
ひらひらと手を振る夏油くんに手を振る。
「名前、夏油に翻弄されてんじゃん」
「へ!?いや、だって……
あんな風に男の人と接したことないから……」
「彼氏いたことないの?」
「無い……です」
「ふーん」
にやにやと笑う硝子ちゃんに、私は頭を傾げるのだった。
あとがき
強いけど弱い。
名前ちゃんはただ弱いイメージで書いてるけれど、対一般人だと強いですよ。
呪術界では弱くても、非術師相手ならばなんとか。