最期まであなたと 2
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傑くんに紹介された双子の女の子達は傑くんの足元に隠れるように引っ付いてこちらをうかがっている。
可愛らしい見た目の双子に、私はなぜか敵意を向けられている。
「私はこれから仕事だから仲良くするんだよ」
「す、傑くん……」
「名前なら大丈夫さ。
二人とも、この人が私の大切な人だよ」
袈裟を着た傑くんは笑顔で私と双子を残していなくなってしまった。
傑くんはどうやらとある宗教団体を乗っ取り、呪いとお金を集めながら教祖として仕事をしているらしい。
昔はきっちりと髪をまとめていたのに、今はハーフアップのお団子だ。
そして袈裟を着て、何ともあべこべな姿だと苦笑してしまったのは記憶に新しい。
高専から追放理由となった村人殺しも、この双子が関わりがあるとしか聞いておらず詳しい話は双子から聞いたらいいと言われてしまった。
「………あの」
視線を合わせるようにしゃがんで声を掛けてみるが、警戒するように距離を置かれてしまう。
どうしたものかと、双子を見つめるがどこか怯えたように殺気混じりに睨まれてしまう。
子供の相手などしたことがない為、こんなに警戒されてはどうしたらいいのかと困ってしまう。
「………あんた」
「え?」
「夏油様のなに」
「げっ、げとう…さま?」
「夏油様はアンタを大切な人と仰ったけど私達は認めない」
金髪の女の子がキッと睨む。
私なビクッと身体を竦めてしまう。
「えっと……私…」
「ハッキリ話なよ」
「ブツブツ…話すな…」
「ごっ、ごめんなさい」
双子の圧にこちらが気圧され、なぜか正座してしまった。
「あの……私、苗字 名前と申します」
「覚える気無い」
「ふっ二人のお名前は……?」
「教える気は…ない」
「夏油様がアンタを大切だと言うから何もしないけれど」
「私達から夏油様を取らないで」
双子はジロリと私を睨み付ける。
取らないで……
双子の切実な願いに、何か理由があるのだろうが私だって譲れないものがある。
「二人がどんな経緯で傑くんと一緒に居るのか教えてもらってないからわからないけど……
私だって傑くんと一緒に居たいから
私から取らないで……欲しい、かな」
「は?」
「吊るすよ」
双子の圧が本当に怖い。
大人気なく強気でいこうと思っても、元々が弱いから子供にすら勝てそうにない。
傑くんに大丈夫と言われたが、軽く心が折れてしまいそうだ。
心の距離も、物理的距離も縮まらないままお昼のメロディが鳴り響き、そんな時間かと時計を見る。
キッチンはあるし、冷蔵庫を見ればある程度食材はある。
「何か食べたいものはある?」
「お前が作った物なんか食べない」
「………何か食べるのはある?」
「話しかけてこないで」
もう心が限界だよ、傑くん……。
涙は零れないが、心が悲鳴をあげている。
ちなみにお昼はオムライスだ。
なぜって?心を慰めるために付けていたテレビでオムライス特集していたから食べたくなった。
慣れないキッチンに何とか作り終われば、ガサゴソと棚を漁っている双子。
取り出したのはお菓子。
「……あの、ご飯は?」
「だから話しかけるなって言ってるだろ」
「私達が何食べようと関係無い」
「いやいや、関係無いかもしれないけど今お菓子食べたらご飯入らないよ?」
「うるさい」
ガサガサと袋を開けて食べ出した子供達。
難しい……と、一人寂しくご飯を食べていたら傑くんが入って来た。
「夏油様!!」「おかえりなさい!!」
輝かしい笑顔を向ける二人。
傑くんは駆け寄る二人の頭を撫でる。
「ただいま。いい子にしていたかい?」
「「はい!!」」
「いい匂いだね。ご飯は食べたのかい?」
「これ食べてます」
「またお菓子かい?仕方ない子達だね」
「だって、食べたこと無いものばかりだから」
「美味しくて……」
「晩御飯はきちんと食べるんだよ」
和やかな会話。
しかし、私は聞き捨てならない言葉にポカンと口を開いたまま見てしまう。
「………傑くん」
「オムライスかい?いいな」
「ちょっと聞きたいんだけど……
その子達、いつもお菓子なの?」
「私が一緒の時は食べるけれど間食は多いかもしれないね」
「………誰か作ってるの?」
「出前やデリバリーが多いかな」
「何してるの……傑くん」
頭を抱えてしまった。
たまに思うが、傑くんは術式のせいか食べることにあまり執着が無いように思う。
お腹が減ったら食べればいい、みたいな……。
取っておいた3つのオムライスに卵を乗せるために再びキッチンへ。
卵をといていれば、背後から顔を出し肩に顎を乗せてくる傑くん。
下ろした髪が首筋などに刺さり少しだけくすぐったい。
「卵はトロトロ?」
「トロトロがいい?」
「出来るのかい?」
「お店みたいのは期待しないで、失敗しても許してね」
「わかったよ」
子供達の分もトロトロにし、出来上がったものをテーブルへ。
じっとこちらを見つめてくる子供達をしっかり見る。
「お菓子じゃなくてご飯食べて」
「………」
「傑くんが甘やかしているのはわかった。
けど、これから君達は成長していかなきゃいけないんだからしっかり食べて。お菓子はご飯じゃないよ」
「貴女には関係無い」
「ある。傑くんが大事にしているなら、私にとっても大切にしなきゃいけないものだから」
「アンタが作った物は食べたくない」
「………あのねぇ、私達も大人とは言えない年齢だけど、君達よりは大人で君達は守られる年齢の子なの!!
私が嫌いでも用意されたご飯に罪は無いの。
まずはご飯食べるの!!」
「何入ってるかわからない物なんかいらない」
「泥?ネズミ?虫?
そんなの食べるくらいならいらない」
「自分のと一緒に作ったのにそんなの入れるわけないでしょ!?
私そんなゲテモノ好きじゃないよ!!」
この子達が訳ありなのはわかっていても、どれだけ酷い環境に居たのかと問い詰めたくなる。
「私は料理人でもないし、口に合うかわからないけれど普通の物しか作れないよ」
「「………」」
「はははっ!!美々子、菜々子
名前は君達が疑うような人ではないよ」
「………でも、夏油様」
「大丈夫。名前は私に付いて来てくれるような優しい人なんだ。
君達のこともすごく大切にしてくれるし守ってくれる」
「傑くんもちゃんと食べてよ。
ほっとくと傑くんも食べ無いんだから」
「名前が作ってくれるなら喜んで」
何が面白いのか、クスクスと笑っている傑くん。
子供達は恐る恐るテーブルに近付いて一口ずつ食べる。
そして……泣きながら食べ出してしまった。
「えっ!?」
「すぐに信じろなんて君達にとって難しいと分かってる。
けど、名前のことは信じてあげてくれないかい?」
「傑くん……」
「冷めてしまう前に食べてしまおう」
泣きながらオムライスを頬張る子供達を見ながら優しい顔をする傑くん。
私は三人に聞けないままオムライスを口に運んだ。
それから3食、やることの無い私は買い物に行きご飯を作る。
子供達はまだまだ距離があり、話しかけても返事すらないが……ご飯だけは食べてくれるようになった。
子供の好きなメニューやら健康面を考えながら毎日作るのは頭が痛い。
世の中のお母さんは偉大だと思い、今日は何にしようと某料理サイトを眺める。
「………何食べよう」
「ねぇ」
「ん?どうかした?」
「何でも作れるの」
「何でも……品物によるけど何か食べたい物あった?」
「………ハンバーグ」
「チーズ入ったやつ」
「晩御飯ハンバーグがいいの?」
小さく頷いてくれたので、笑みが溢れる。
距離を縮めようと歩み寄ってくれた二人。
「一緒に買い物行く?」
「いいの?」
「いいよ。あ、けどお菓子買うなら一つだけにしてね」
「そこまで子供扱いするな」
「お菓子いらない?」
「………クッキー作って」
「前に食べたの……美味しかった」
顔を反らしながら話す二人に、なぜだか涙が出てくる。
泣き出した私にぎょっとする二人はオロオロとし始め、そんな姿に笑ってしまった。
「買い物行って、クッキーの材料も買おうか。
帰って来たらクッキー作って
その後、ハンバーグ一緒に作ろう」
「いいの?」
「いいよ。
傑くんに美味しいクッキーとハンバーグ一緒に作ろう」
「「うん!!」」
まだ少しだけ距離はあるけれど、このまま仲良くなれればいいな、と思う。
この日、初めて三人で傑くんが帰って来たときに「おかえり」と言えた。
キョトンとした顔をした後、クッキーを手渡しに行った二人を見て、嬉しそうに笑う傑くんがいた。
あとがき
その後の第二部開始ーー!!!
出来るだけ甘く
出来るだけ傑が幸せに笑っていられる話を書けたらいいなぁ。
可愛らしい見た目の双子に、私はなぜか敵意を向けられている。
「私はこれから仕事だから仲良くするんだよ」
「す、傑くん……」
「名前なら大丈夫さ。
二人とも、この人が私の大切な人だよ」
袈裟を着た傑くんは笑顔で私と双子を残していなくなってしまった。
傑くんはどうやらとある宗教団体を乗っ取り、呪いとお金を集めながら教祖として仕事をしているらしい。
昔はきっちりと髪をまとめていたのに、今はハーフアップのお団子だ。
そして袈裟を着て、何ともあべこべな姿だと苦笑してしまったのは記憶に新しい。
高専から追放理由となった村人殺しも、この双子が関わりがあるとしか聞いておらず詳しい話は双子から聞いたらいいと言われてしまった。
「………あの」
視線を合わせるようにしゃがんで声を掛けてみるが、警戒するように距離を置かれてしまう。
どうしたものかと、双子を見つめるがどこか怯えたように殺気混じりに睨まれてしまう。
子供の相手などしたことがない為、こんなに警戒されてはどうしたらいいのかと困ってしまう。
「………あんた」
「え?」
「夏油様のなに」
「げっ、げとう…さま?」
「夏油様はアンタを大切な人と仰ったけど私達は認めない」
金髪の女の子がキッと睨む。
私なビクッと身体を竦めてしまう。
「えっと……私…」
「ハッキリ話なよ」
「ブツブツ…話すな…」
「ごっ、ごめんなさい」
双子の圧にこちらが気圧され、なぜか正座してしまった。
「あの……私、苗字 名前と申します」
「覚える気無い」
「ふっ二人のお名前は……?」
「教える気は…ない」
「夏油様がアンタを大切だと言うから何もしないけれど」
「私達から夏油様を取らないで」
双子はジロリと私を睨み付ける。
取らないで……
双子の切実な願いに、何か理由があるのだろうが私だって譲れないものがある。
「二人がどんな経緯で傑くんと一緒に居るのか教えてもらってないからわからないけど……
私だって傑くんと一緒に居たいから
私から取らないで……欲しい、かな」
「は?」
「吊るすよ」
双子の圧が本当に怖い。
大人気なく強気でいこうと思っても、元々が弱いから子供にすら勝てそうにない。
傑くんに大丈夫と言われたが、軽く心が折れてしまいそうだ。
心の距離も、物理的距離も縮まらないままお昼のメロディが鳴り響き、そんな時間かと時計を見る。
キッチンはあるし、冷蔵庫を見ればある程度食材はある。
「何か食べたいものはある?」
「お前が作った物なんか食べない」
「………何か食べるのはある?」
「話しかけてこないで」
もう心が限界だよ、傑くん……。
涙は零れないが、心が悲鳴をあげている。
ちなみにお昼はオムライスだ。
なぜって?心を慰めるために付けていたテレビでオムライス特集していたから食べたくなった。
慣れないキッチンに何とか作り終われば、ガサゴソと棚を漁っている双子。
取り出したのはお菓子。
「……あの、ご飯は?」
「だから話しかけるなって言ってるだろ」
「私達が何食べようと関係無い」
「いやいや、関係無いかもしれないけど今お菓子食べたらご飯入らないよ?」
「うるさい」
ガサガサと袋を開けて食べ出した子供達。
難しい……と、一人寂しくご飯を食べていたら傑くんが入って来た。
「夏油様!!」「おかえりなさい!!」
輝かしい笑顔を向ける二人。
傑くんは駆け寄る二人の頭を撫でる。
「ただいま。いい子にしていたかい?」
「「はい!!」」
「いい匂いだね。ご飯は食べたのかい?」
「これ食べてます」
「またお菓子かい?仕方ない子達だね」
「だって、食べたこと無いものばかりだから」
「美味しくて……」
「晩御飯はきちんと食べるんだよ」
和やかな会話。
しかし、私は聞き捨てならない言葉にポカンと口を開いたまま見てしまう。
「………傑くん」
「オムライスかい?いいな」
「ちょっと聞きたいんだけど……
その子達、いつもお菓子なの?」
「私が一緒の時は食べるけれど間食は多いかもしれないね」
「………誰か作ってるの?」
「出前やデリバリーが多いかな」
「何してるの……傑くん」
頭を抱えてしまった。
たまに思うが、傑くんは術式のせいか食べることにあまり執着が無いように思う。
お腹が減ったら食べればいい、みたいな……。
取っておいた3つのオムライスに卵を乗せるために再びキッチンへ。
卵をといていれば、背後から顔を出し肩に顎を乗せてくる傑くん。
下ろした髪が首筋などに刺さり少しだけくすぐったい。
「卵はトロトロ?」
「トロトロがいい?」
「出来るのかい?」
「お店みたいのは期待しないで、失敗しても許してね」
「わかったよ」
子供達の分もトロトロにし、出来上がったものをテーブルへ。
じっとこちらを見つめてくる子供達をしっかり見る。
「お菓子じゃなくてご飯食べて」
「………」
「傑くんが甘やかしているのはわかった。
けど、これから君達は成長していかなきゃいけないんだからしっかり食べて。お菓子はご飯じゃないよ」
「貴女には関係無い」
「ある。傑くんが大事にしているなら、私にとっても大切にしなきゃいけないものだから」
「アンタが作った物は食べたくない」
「………あのねぇ、私達も大人とは言えない年齢だけど、君達よりは大人で君達は守られる年齢の子なの!!
私が嫌いでも用意されたご飯に罪は無いの。
まずはご飯食べるの!!」
「何入ってるかわからない物なんかいらない」
「泥?ネズミ?虫?
そんなの食べるくらいならいらない」
「自分のと一緒に作ったのにそんなの入れるわけないでしょ!?
私そんなゲテモノ好きじゃないよ!!」
この子達が訳ありなのはわかっていても、どれだけ酷い環境に居たのかと問い詰めたくなる。
「私は料理人でもないし、口に合うかわからないけれど普通の物しか作れないよ」
「「………」」
「はははっ!!美々子、菜々子
名前は君達が疑うような人ではないよ」
「………でも、夏油様」
「大丈夫。名前は私に付いて来てくれるような優しい人なんだ。
君達のこともすごく大切にしてくれるし守ってくれる」
「傑くんもちゃんと食べてよ。
ほっとくと傑くんも食べ無いんだから」
「名前が作ってくれるなら喜んで」
何が面白いのか、クスクスと笑っている傑くん。
子供達は恐る恐るテーブルに近付いて一口ずつ食べる。
そして……泣きながら食べ出してしまった。
「えっ!?」
「すぐに信じろなんて君達にとって難しいと分かってる。
けど、名前のことは信じてあげてくれないかい?」
「傑くん……」
「冷めてしまう前に食べてしまおう」
泣きながらオムライスを頬張る子供達を見ながら優しい顔をする傑くん。
私は三人に聞けないままオムライスを口に運んだ。
それから3食、やることの無い私は買い物に行きご飯を作る。
子供達はまだまだ距離があり、話しかけても返事すらないが……ご飯だけは食べてくれるようになった。
子供の好きなメニューやら健康面を考えながら毎日作るのは頭が痛い。
世の中のお母さんは偉大だと思い、今日は何にしようと某料理サイトを眺める。
「………何食べよう」
「ねぇ」
「ん?どうかした?」
「何でも作れるの」
「何でも……品物によるけど何か食べたい物あった?」
「………ハンバーグ」
「チーズ入ったやつ」
「晩御飯ハンバーグがいいの?」
小さく頷いてくれたので、笑みが溢れる。
距離を縮めようと歩み寄ってくれた二人。
「一緒に買い物行く?」
「いいの?」
「いいよ。あ、けどお菓子買うなら一つだけにしてね」
「そこまで子供扱いするな」
「お菓子いらない?」
「………クッキー作って」
「前に食べたの……美味しかった」
顔を反らしながら話す二人に、なぜだか涙が出てくる。
泣き出した私にぎょっとする二人はオロオロとし始め、そんな姿に笑ってしまった。
「買い物行って、クッキーの材料も買おうか。
帰って来たらクッキー作って
その後、ハンバーグ一緒に作ろう」
「いいの?」
「いいよ。
傑くんに美味しいクッキーとハンバーグ一緒に作ろう」
「「うん!!」」
まだ少しだけ距離はあるけれど、このまま仲良くなれればいいな、と思う。
この日、初めて三人で傑くんが帰って来たときに「おかえり」と言えた。
キョトンとした顔をした後、クッキーを手渡しに行った二人を見て、嬉しそうに笑う傑くんがいた。
あとがき
その後の第二部開始ーー!!!
出来るだけ甘く
出来るだけ傑が幸せに笑っていられる話を書けたらいいなぁ。