最期まであなたと
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2年目の春、君は強くなっても謙遜することなく日々の鍛練を欠かさない。
1年前は幼かった彼女も、動作が時折大人っぽく見えてドキリとする。
女は化けるというが、彼女こそこの1年で綺麗に化けたと思う。
自分の彼女だからという贔屓目を抜きにしても悟もたまに彼女をじっと見ることが増えて、そのたびに私は彼女は私のものだと示す。
そんな私の攻防すら知らず、彼女は私に微笑みかける。
夏、悟と星漿体の少女の護衛と抹消の任務についた。
呪詛師からも非術師からも狙われる彼女ーー理子ちゃんは強がっているものの…普通の女の子だった。
今まで色んなことを我慢しながら生き、世界の為に死ねと差し出すつもりはなかった。
悟と話し合い、彼女が望むなら助けようと……
私達は"最強"だから出来ると疑わなかった。
……結果は、任務の失敗。
沖縄から高専に戻り、天元様の元へ行こうとした時に現れた侵入者。
気配などなく、悟の胸を突き刺した刀。
呪霊で飲み込ませるも、手応えがない。
悟の先に行けと言われて悟を信じて黒井さんと理子ちゃんを連れて行く。
薨星宮 参道で黒井さんと泣きながら別れる理子ちゃん。
本殿への道を説明し…彼女の意志に任せる。
天元様との同化か、拒否か。
彼女はまだ友達と……黒井さんや友達と一緒に居たいと、生きたいと願った。
だから一緒に帰ろうと手を差し伸ばし……
理子ちゃんも手を伸ばしたのに、その手が重なることは無かった。
頭を撃ち抜かれ目の前で倒れゆく理子ちゃん。
虚ろな瞳は何も映さず、冷たい床に倒れ赤が広がっていく……。
悟を殺して来たと話す侵入者に、私は負けた。
目覚めた時には硝子に治してもらい、敵の本拠地を調べて向かった先……悟は理子ちゃんを抱いていた。
今までとは比べ物にならない圧倒的な存在感。
何とも言えない後味の悪い結末に……私の中に大きなしこりとなって残った。
そのしこりが、時間が経つごとにどんどん大きくなり……私を蝕んでいく。
眠るたび、理子ちゃんの撃ち抜かれた姿が何度も再生される。
血溜まりに倒れ、広がっていく赤。
死を見てこなかったわけじゃないのに……理子ちゃんの虚ろな瞳が忘れられない。
いつしか、非術師に撃ち抜かれる彼女の夢を見るようになった。
私に笑いかけ、手を伸ばすのに……その手を取れず、光を失い倒れる彼女。
何度も何度も彼女が死に、死体が積み上がっていく。
彼女に心配されるが、私のこの黒い感情を彼女に見せるわけにはいかずに誤魔化す。
彼女に触れて、彼女が生きていることに安心する。
この笑顔を守りきれず……彼女も殺されてしまうのかと考えると、優しい彼女に術師なんて辞めてくれと言いたくなる。
優しい彼女だから
誰かの為に命を落とすのかと思うと怖くなる。
忙しくなりすれ違う日が増えた。
連絡が来るたび、彼女が生きているのだと安心する。
彼女に会うたび……閉じ込めてしまいたくなる。
一緒に眠ることが増えると、悪夢は見なくなったのだが……起きたときに腕のなかにいるこの温もりが、私の知らないところで冷えていくことを考えると……途端に恐ろしくなる。
大切な者を持つとこんなにも不安になるのだと、理子ちゃんを目の前で失った瞬間が目に焼き付いて離れないせいか………強く思うようになった。
以前のように"最強"だからと強気でいられないのは……私が"最強"では無くなってしまったせいなのか……。
一緒に居たいのに、いられない。
守りたいのに、守れない。
隣に居たいのに、突き放したくなる。
君が好きなのにーー怖くなる。
このままじゃ駄目だと、距離を置いてみたが……途端に寂しくなる。
彼女に触れたくて、抱き締めたくて、キスしたくて、めちゃくちゃにしたいと欲が顔を出す。
彼女も薄々気付いているのか、連絡が返って来なくなる時もあると、自分が選んだ事のはずなのに……どす黒い気持ちで覆われる。
ばったり出会った彼女。
何か口にしようとしていたが、それより先に彼女の目から涙が溢れ、慌てて顔を反らされる。
名前を呼ぶ声が動揺する。
全力でその場から逃げ出した彼女を呼んでも反応が無い。
姿が見えなくなる。
このまま……このまま、彼女を見逃せば
彼女を解放してやれる。
そう思っていたのに
身体は彼女を追いかけていた。
追い付いて、彼女の腕を引く。
腕を振り払われそうになるが、そのまま抱き込んだ。
「ごめん」
避けていた。
泣かせていた。
傷付けた。
「ごめん」
中途半端なことをして、彼女を苦しませているとわかっていても……
この謝罪が何の意味も無いことをわかっているのに……。
そっと手を添えるだけの彼女の腕は震えていた。
「ごめ、んなさ……っ!!」
「……名前」
「今すぐ…すぐ、いなくなる、からっ
もう、関わらない…からっ
……嫌いに、ならないで」
嫌いになるわけがない。
好きなんだ。
「名前?」
「ごめんなさいっ」
涙を流す彼女の後ろ姿に胸が苦しくなる。
追いかけて期待させて……私の口はこれから彼女を傷つける言葉を吐き出す。
このまま……このまま、別れの言葉を告げればいいのに、私はまだ迷っている。
「別れようと、思った」
「だから、距離を置こうとした」
「嫌いになれないから離れようとした」
震える彼女を強く抱き締める。
どうか……どうか、伝わって欲しい。
君がまだ、狂おしいほど好きだと……。
「まだ、私自身の答えが見つかってないんだ」
「名前を巻き込みたくない」
「けど」
「手離したくない私もいるっ」
「ごめん…」
「傷付けて、ごめん」
手離したくない。
怖い。
好きだよ。
怖い。
居なくならないで。
怖い。
私は彼女がいなくなる世界が……
何よりも怖いんだ。
「私……やだっ!!
傑くんが触れてくれないのも…
傑くんが他の誰かに優しくするのも…
傑くんが私以外の誰かを好きになるのも!!
我が儘だってわかってるっ
傑くんの邪魔だって……!!力になれないって頭では理解してても…嫌なんだよ!!」
正直、驚いた。
彼女に想われているのはわかっていても……
こんなにも、彼女に好かれていたなんて。
「手離されるくらいなら……
好きじゃないなら、傑くんの手で殺してよ」
場違いながら、嬉しさが込み上げてくる。
「好きだよ……好き、なんだよ!!
傑くんが私以外のことを考えていることすら腹が立つほど…っ!!
けど!!私は傑くんみたいな強さは無いから!!
傑くんを助けることも、救うことも出来ずに……何も出来ない私が!!一番っ!!腹が立つ!!」
嬉しさと、驚きと、悲しさと……
複雑に入り交じった気持ち。
こんなにも想われていて、私は幸せ者だと思った。
こんな私を……好いてくれて、ありがとう。
けど、私は彼女が思っているような人間ではない。
私は……もう、非術師を………。
「もう少し……もう少しだけ、考えさせて欲しい」
「………?」
「私の考えをまとめるから……私も答えが分からない。
だから、まだ迷っているんだ」
「傑くん?」
「私の話を聞いてくれるかい?」
ズルい私は……彼女の優しさに漬け込む。
彼女はきっと、私の話を聞けば……
離れていかないと、思ってしまった。
同じ道に堕ちて欲しくはないくせに
同じ道に堕ちてくれと頼むのだから……。
「私も名前が好きだ。
誰かに手渡したくないし、誰かの手に渡るくらいなら……私が手折りたいと思うくらい」
彼女を失いたくない。
彼女には笑っていて欲しいと願うくせに……
私の勝手で彼女を引きずり込もうとしている。
身勝手で、すまない。
けど……
彼女を誰にも手渡したくない。
彼女の首もとに顔を埋め、久々の彼女の匂いに気持ちが安らぐ。
溜め込んできた黒いモノが、少しだけ許されたような気持ちになり、涙が溢れる。
優しい彼女に漬け込む私を許さないでくれと願う。
春、君と笑い
夏、世界が色を無くし
秋、君を失いたくないと思い
冬、君から逃げようとした
どうかーーー
愚かな私を、君だけは許さないでくれ。
あとがき
2年目終わったーーーー!!!!
理子ちゃんと傑……すぐりこだよ。
何度読んでも勝てないよ、理子ちゃんの存在に。
傑の心は理子が最後に持っていきました……ってレベルですぐりこ。
だーかーら、難しいっっっ。
頭の中でありもしないすぐりこのめくるめく青春ストーリーが出来上がりつつあり、理子に勝てる女の子もういなくね?ねぇ、無理じゃんってなってます(笑)
さぁ、いよいよあとわずか。
気合いいれて頑張るぞ……!!
1年前は幼かった彼女も、動作が時折大人っぽく見えてドキリとする。
女は化けるというが、彼女こそこの1年で綺麗に化けたと思う。
自分の彼女だからという贔屓目を抜きにしても悟もたまに彼女をじっと見ることが増えて、そのたびに私は彼女は私のものだと示す。
そんな私の攻防すら知らず、彼女は私に微笑みかける。
夏、悟と星漿体の少女の護衛と抹消の任務についた。
呪詛師からも非術師からも狙われる彼女ーー理子ちゃんは強がっているものの…普通の女の子だった。
今まで色んなことを我慢しながら生き、世界の為に死ねと差し出すつもりはなかった。
悟と話し合い、彼女が望むなら助けようと……
私達は"最強"だから出来ると疑わなかった。
……結果は、任務の失敗。
沖縄から高専に戻り、天元様の元へ行こうとした時に現れた侵入者。
気配などなく、悟の胸を突き刺した刀。
呪霊で飲み込ませるも、手応えがない。
悟の先に行けと言われて悟を信じて黒井さんと理子ちゃんを連れて行く。
薨星宮 参道で黒井さんと泣きながら別れる理子ちゃん。
本殿への道を説明し…彼女の意志に任せる。
天元様との同化か、拒否か。
彼女はまだ友達と……黒井さんや友達と一緒に居たいと、生きたいと願った。
だから一緒に帰ろうと手を差し伸ばし……
理子ちゃんも手を伸ばしたのに、その手が重なることは無かった。
頭を撃ち抜かれ目の前で倒れゆく理子ちゃん。
虚ろな瞳は何も映さず、冷たい床に倒れ赤が広がっていく……。
悟を殺して来たと話す侵入者に、私は負けた。
目覚めた時には硝子に治してもらい、敵の本拠地を調べて向かった先……悟は理子ちゃんを抱いていた。
今までとは比べ物にならない圧倒的な存在感。
何とも言えない後味の悪い結末に……私の中に大きなしこりとなって残った。
そのしこりが、時間が経つごとにどんどん大きくなり……私を蝕んでいく。
眠るたび、理子ちゃんの撃ち抜かれた姿が何度も再生される。
血溜まりに倒れ、広がっていく赤。
死を見てこなかったわけじゃないのに……理子ちゃんの虚ろな瞳が忘れられない。
いつしか、非術師に撃ち抜かれる彼女の夢を見るようになった。
私に笑いかけ、手を伸ばすのに……その手を取れず、光を失い倒れる彼女。
何度も何度も彼女が死に、死体が積み上がっていく。
彼女に心配されるが、私のこの黒い感情を彼女に見せるわけにはいかずに誤魔化す。
彼女に触れて、彼女が生きていることに安心する。
この笑顔を守りきれず……彼女も殺されてしまうのかと考えると、優しい彼女に術師なんて辞めてくれと言いたくなる。
優しい彼女だから
誰かの為に命を落とすのかと思うと怖くなる。
忙しくなりすれ違う日が増えた。
連絡が来るたび、彼女が生きているのだと安心する。
彼女に会うたび……閉じ込めてしまいたくなる。
一緒に眠ることが増えると、悪夢は見なくなったのだが……起きたときに腕のなかにいるこの温もりが、私の知らないところで冷えていくことを考えると……途端に恐ろしくなる。
大切な者を持つとこんなにも不安になるのだと、理子ちゃんを目の前で失った瞬間が目に焼き付いて離れないせいか………強く思うようになった。
以前のように"最強"だからと強気でいられないのは……私が"最強"では無くなってしまったせいなのか……。
一緒に居たいのに、いられない。
守りたいのに、守れない。
隣に居たいのに、突き放したくなる。
君が好きなのにーー怖くなる。
このままじゃ駄目だと、距離を置いてみたが……途端に寂しくなる。
彼女に触れたくて、抱き締めたくて、キスしたくて、めちゃくちゃにしたいと欲が顔を出す。
彼女も薄々気付いているのか、連絡が返って来なくなる時もあると、自分が選んだ事のはずなのに……どす黒い気持ちで覆われる。
ばったり出会った彼女。
何か口にしようとしていたが、それより先に彼女の目から涙が溢れ、慌てて顔を反らされる。
名前を呼ぶ声が動揺する。
全力でその場から逃げ出した彼女を呼んでも反応が無い。
姿が見えなくなる。
このまま……このまま、彼女を見逃せば
彼女を解放してやれる。
そう思っていたのに
身体は彼女を追いかけていた。
追い付いて、彼女の腕を引く。
腕を振り払われそうになるが、そのまま抱き込んだ。
「ごめん」
避けていた。
泣かせていた。
傷付けた。
「ごめん」
中途半端なことをして、彼女を苦しませているとわかっていても……
この謝罪が何の意味も無いことをわかっているのに……。
そっと手を添えるだけの彼女の腕は震えていた。
「ごめ、んなさ……っ!!」
「……名前」
「今すぐ…すぐ、いなくなる、からっ
もう、関わらない…からっ
……嫌いに、ならないで」
嫌いになるわけがない。
好きなんだ。
「名前?」
「ごめんなさいっ」
涙を流す彼女の後ろ姿に胸が苦しくなる。
追いかけて期待させて……私の口はこれから彼女を傷つける言葉を吐き出す。
このまま……このまま、別れの言葉を告げればいいのに、私はまだ迷っている。
「別れようと、思った」
「だから、距離を置こうとした」
「嫌いになれないから離れようとした」
震える彼女を強く抱き締める。
どうか……どうか、伝わって欲しい。
君がまだ、狂おしいほど好きだと……。
「まだ、私自身の答えが見つかってないんだ」
「名前を巻き込みたくない」
「けど」
「手離したくない私もいるっ」
「ごめん…」
「傷付けて、ごめん」
手離したくない。
怖い。
好きだよ。
怖い。
居なくならないで。
怖い。
私は彼女がいなくなる世界が……
何よりも怖いんだ。
「私……やだっ!!
傑くんが触れてくれないのも…
傑くんが他の誰かに優しくするのも…
傑くんが私以外の誰かを好きになるのも!!
我が儘だってわかってるっ
傑くんの邪魔だって……!!力になれないって頭では理解してても…嫌なんだよ!!」
正直、驚いた。
彼女に想われているのはわかっていても……
こんなにも、彼女に好かれていたなんて。
「手離されるくらいなら……
好きじゃないなら、傑くんの手で殺してよ」
場違いながら、嬉しさが込み上げてくる。
「好きだよ……好き、なんだよ!!
傑くんが私以外のことを考えていることすら腹が立つほど…っ!!
けど!!私は傑くんみたいな強さは無いから!!
傑くんを助けることも、救うことも出来ずに……何も出来ない私が!!一番っ!!腹が立つ!!」
嬉しさと、驚きと、悲しさと……
複雑に入り交じった気持ち。
こんなにも想われていて、私は幸せ者だと思った。
こんな私を……好いてくれて、ありがとう。
けど、私は彼女が思っているような人間ではない。
私は……もう、非術師を………。
「もう少し……もう少しだけ、考えさせて欲しい」
「………?」
「私の考えをまとめるから……私も答えが分からない。
だから、まだ迷っているんだ」
「傑くん?」
「私の話を聞いてくれるかい?」
ズルい私は……彼女の優しさに漬け込む。
彼女はきっと、私の話を聞けば……
離れていかないと、思ってしまった。
同じ道に堕ちて欲しくはないくせに
同じ道に堕ちてくれと頼むのだから……。
「私も名前が好きだ。
誰かに手渡したくないし、誰かの手に渡るくらいなら……私が手折りたいと思うくらい」
彼女を失いたくない。
彼女には笑っていて欲しいと願うくせに……
私の勝手で彼女を引きずり込もうとしている。
身勝手で、すまない。
けど……
彼女を誰にも手渡したくない。
彼女の首もとに顔を埋め、久々の彼女の匂いに気持ちが安らぐ。
溜め込んできた黒いモノが、少しだけ許されたような気持ちになり、涙が溢れる。
優しい彼女に漬け込む私を許さないでくれと願う。
春、君と笑い
夏、世界が色を無くし
秋、君を失いたくないと思い
冬、君から逃げようとした
どうかーーー
愚かな私を、君だけは許さないでくれ。
あとがき
2年目終わったーーーー!!!!
理子ちゃんと傑……すぐりこだよ。
何度読んでも勝てないよ、理子ちゃんの存在に。
傑の心は理子が最後に持っていきました……ってレベルですぐりこ。
だーかーら、難しいっっっ。
頭の中でありもしないすぐりこのめくるめく青春ストーリーが出来上がりつつあり、理子に勝てる女の子もういなくね?ねぇ、無理じゃんってなってます(笑)
さぁ、いよいよあとわずか。
気合いいれて頑張るぞ……!!