最期まであなたと
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君に出会って恋をした。
君と過ごして愛を育んだ。
当たり前に隣にいることが幸せで
嘘つきな君も
意地悪な君も
弱い君も
優しい君も
正義感がある君も
強い君も
愛しくて
哀しかった。
16歳の春、君と出会い
16歳の夏、君に恋をし
16歳の秋、君達と仲間になれ
16歳の冬、君と通じあい
17歳の春、君と笑いあった。
2度目の春。
私達は一学年上がり、後輩が2人出来た。
明るい灰原くんに、冷静な七海くん。
性格が正反対な2人だが、なかなか上手くやっているらしい。
優秀な2人に、私は追い越されないように必死だ。
硝子ちゃんは木の根元に座り込んで一服しているなか、私は呪骸相手に森の中で戦っていた。
足場の悪い高専の敷地内の山は鍛練には丁度良く、木の影から狙ってくる呪骸の攻撃を避けて反撃し、受け止められ……少しでも気を抜けば、容赦なく攻撃を入れてくる呪骸なので神経を集中させる。
呪骸の背中のスイッチを辛うじて押せば、くったりと静かになったため、漸く気を抜いてその場に座り込む。
「名前、また鍛練かい?」
「わっ、傑くん…!!」
後ろから抱き上げられ、驚いて後ろを見れば、傑くんが笑っていた。
軽々と抱き上げられてわたわたと慌てる私を見て楽しそうにしているので、困った表情をすれば降ろしてくれた。
「お疲れ様」
「あ、ありがとう!!」
「それ先生の呪骸かい?」
「うん。特別に借りてきたの」
「へぇ」
「一応二級レベルで設定してくれているみたいだから、二級レベルの呪霊なら、ギリギリ倒せる……はず!!」
「そこは自信もって断言出来るようになれよ」
「五条くん」
「つーか、わざわざこんなとこ来なくても中庭でいいだろ」
ダルい、とボヤく五条くんに苦笑する。
確かに中庭でも鍛練は出来るのだが、私は去年からの癖でついここに来てしまうのだ。
「文句言うなら悟は来なくてもいいんだよ」
「そーだそーだ」
「二人とも何か用事あって探してくれてたの?そうだったらこんなところまで来させてごめんね……」
「特に用は無いよ。
私が名前に会いたかったから探しに来ただけさ」
抱き締められたまま、さらりと言う傑くんに私は照れてしまう。
付き合うようになり、硝子ちゃんにも五条くんにも祝福され、頑張って名前で呼べるようになってきたが……今までと変わらないが、あえていうなら傑くんのスキンシップが多くなった事。
今だって背後から覆うように抱き締めていて、今まで動いていたので汗臭く無いか心配になってくる。
出来る限り距離を開けようとしたら、その分ぎゅーぎゅーと隙間を無くされてしまい、照れ臭さでじたばたすれば、傑くんは楽しそうに笑う。
「イチャつくなよ」
「えっ、ご、ごめんなさい!!
そんな気もそんなつもりも…!!」
「羨ましいのかい?」
「場を選ばず盛んなっつってんだよ」
「一人者の嫉妬は見苦しいよ」
「あ?」
不穏な空気に傑くんと五条くんを交互に見る。
逃げたくても傑くんの腕の中にいるため、抜け出せずどうしようかと考えた結果
「す、傑くん!!」
「どうかしたかい?名前」
「あの……シャワー浴びて来ていいかな?」
「もう戻るのかい?」
「うん。先生にこの子返さなきゃいけないし…」
「なら一緒に戻るよ」
「名前が戻んなら私も戻ろ」
「硝子ちゃん付き合ってくれてありがとう」
「一服したかったから」
「ほどほどにね?」
「ん」
「五条くんもここまで来てくれてありがとう」
「別に」
4人で並んで戻る。
去年の今頃は隣を並ぶどころか何歩も間を開けていたのに、今こうして並んで歩けることが嬉しいくて表情が綻ぶ。
「どうかしたかい?
一人で笑って厭らしいね」
「えっ!?ち、違うよ!!厭らしくないよ!?」
「エロいこと考えてたのかよ」
「違う違う違う」
「嘘だよ。で、どうしたんだい?」
「………去年は並んで歩くなんて、考えつかなかったけど今は皆と並んで歩けることが嬉しいなって思っただけ、です」
実際言葉にすると、なんだか恥ずかしくなる。
かぁぁと、顔に熱が上がっていく私は呪骸で顔を覆う。
自分で言って恥ずかしくなるなんて、馬鹿だと思うとより恥ずかしくなる。
「………うちの子が可愛い」
「知ってる」
「こいつの純情さが眩しい」
「変なこと言ってごめんなさい」
「可愛いよ、名前」
「うん、可愛い」
「ほら、前見て歩かないとまた転けんぞ」
「うぅ……」
くすくすと笑う三人に、言わなきゃ良かったと思うがすでに遅し。
先生の所に着くまでからかわれるのだった。
今日も1日の授業が終わり、五条くんがDVDを見ようと談話室に集まった。
制服から着替えて硝子ちゃんと談話室に向かうと、すでに五条くんと傑くんがソファーに座って寛いでいる。
「名前」
傑くんに名前を呼ばれ、手招きされたので大人しく側に寄れば、腰を引き寄せられて隣に座る。
硝子ちゃんは五条くんとは反対のソファーに一人で座る。
五条くん既にセットしていたのか、再生のボタンを押していた。
「ちなみに何のDVD?」
「聞いて無かったのかい?」
「DVD見るって言われただけだから」
「硝子……」
「これも1つの経験だと思う」
「?」
意味深な硝子ちゃんと傑くんの反応に頭を傾げれば、DVDは何やら不気味な雰囲気が流れ出す。
「………五条くん、これって…」
「ホラー映画」
「!?」
立ち上がろうとしたのに、傑くんががっちりと腰を掴んでいて離れない。
焦りながら傑くんを見上げれば、めちゃくちゃいい笑顔で笑っていた。
「名前、映画が始まったら静かにしなきゃ駄目だろ?」
「騙した!!」
「騙してなんかいないさ」
「しょ、硝子ちゃんっ」
「名前、諦めなよ」
「五条くんっ!!」
「呪霊よりマシだろ」
誰も助けてくれる人がいない。
「ほら、静かに観ようね」
楽しそうに笑う傑くんが、今は一番の敵に見えた。
映画の最中、静かにしなきゃいけないのと
流れ出したら怖いものだとわかっていながら観てしまう。
悲鳴を上げないにしろ、隣の傑くんはもう腰を掴んでいなかったものの、私が傑くんの腕にベッタリと張り付く形となった。
傑くんの腕を盾にして、意味は無いとわかっているのだが、出来る限り視界を狭める。
突然出てくる幽霊に、ビクッとなるたび傑くんがくつくつ笑っていたが、私はそれどころではない。
やっとエンドロールが流れ出した時には、もはや傑くんの肩に顔を押し付けていた。
「そんな怖かったか?」
呆れたような五条くんの声。
怖いのも怖いが、突然に出てくるから嫌なのだ。
「悟が選んだ物にしては、良かったと思うよ」
「お前らがイチャつくために選んだんじゃねーよ」
「名前、今日一人で寝れる?」
「無理です……。硝子ちゃん…」
「おや?そこは私じゃないのかい?」
「傑くん意地悪したから駄目」
「すまなかったね」
優しく撫でてくれる傑くんにもっと撫でて欲しくて手に頭をぐりぐりと押し付ければくすくすと笑う声。
「可愛いね、名前」
「お前らさ……場所考えてイチャつけよ」
「羨ましいのかい?あげないけど」
「………やってらんね。部屋戻るわ」
「なら私も戻ろ」
「あ、じゃあ私も」
「私を置いていくのかい?」
拗ねた顔をする傑くん。
顔とは正反対に、私を抱く腕の力は緩むことがない。
「一緒に寝るなら勝手に部屋入って来なよ」
「えっ!硝子ちゃん!!」
「おやすみ」
無情にも置いていかれた私は、ちらりと傑くんを見れば、にこりと笑う。
そのまま傑くんの膝の上に乗せられる。
「みんな行っちゃったね」
「傑くんが離してくれないから」
「私との時間は取ってくれないのかい?」
「………それはズルいよ」
こつん、と傑くんの胸に頭を寄せれば、笑いながら頭を撫でてくれる。
傑くんに甘えて、そのまま目を閉じれば傑くんの心音が聞こえてきて、撫でられるのが気持ち良くて眠たくなってきてしまう。
これはいけないと、胸から頭を離せば傑くんと目があった。
「眠そうだね」
「このままだと寝ちゃいそう」
「寝たら硝子の部屋まで送るよ」
「もうちょっと、傑くんと起きていたい」
「それは嬉しいな」
他愛もない話をして、2人で笑う。
想いが通じあってから、私は少しだけ以前より自分に自信を持てている。
「名前」
触れるだけのキスをする。
誰かに見られていないかと私だけがドキドキして、周りを見てしまう姿に傑くんは笑う。
大きな手も
優しく細められる瞳も
目尻が下がるのも
私を見て、愛しいと言ってくれる傑くん。
私達は確かにこの瞬間
幸せだと笑っていた。
あとがき
こっからが難しい……
幸せに書ける自信が……っ
君と過ごして愛を育んだ。
当たり前に隣にいることが幸せで
嘘つきな君も
意地悪な君も
弱い君も
優しい君も
正義感がある君も
強い君も
愛しくて
哀しかった。
16歳の春、君と出会い
16歳の夏、君に恋をし
16歳の秋、君達と仲間になれ
16歳の冬、君と通じあい
17歳の春、君と笑いあった。
2度目の春。
私達は一学年上がり、後輩が2人出来た。
明るい灰原くんに、冷静な七海くん。
性格が正反対な2人だが、なかなか上手くやっているらしい。
優秀な2人に、私は追い越されないように必死だ。
硝子ちゃんは木の根元に座り込んで一服しているなか、私は呪骸相手に森の中で戦っていた。
足場の悪い高専の敷地内の山は鍛練には丁度良く、木の影から狙ってくる呪骸の攻撃を避けて反撃し、受け止められ……少しでも気を抜けば、容赦なく攻撃を入れてくる呪骸なので神経を集中させる。
呪骸の背中のスイッチを辛うじて押せば、くったりと静かになったため、漸く気を抜いてその場に座り込む。
「名前、また鍛練かい?」
「わっ、傑くん…!!」
後ろから抱き上げられ、驚いて後ろを見れば、傑くんが笑っていた。
軽々と抱き上げられてわたわたと慌てる私を見て楽しそうにしているので、困った表情をすれば降ろしてくれた。
「お疲れ様」
「あ、ありがとう!!」
「それ先生の呪骸かい?」
「うん。特別に借りてきたの」
「へぇ」
「一応二級レベルで設定してくれているみたいだから、二級レベルの呪霊なら、ギリギリ倒せる……はず!!」
「そこは自信もって断言出来るようになれよ」
「五条くん」
「つーか、わざわざこんなとこ来なくても中庭でいいだろ」
ダルい、とボヤく五条くんに苦笑する。
確かに中庭でも鍛練は出来るのだが、私は去年からの癖でついここに来てしまうのだ。
「文句言うなら悟は来なくてもいいんだよ」
「そーだそーだ」
「二人とも何か用事あって探してくれてたの?そうだったらこんなところまで来させてごめんね……」
「特に用は無いよ。
私が名前に会いたかったから探しに来ただけさ」
抱き締められたまま、さらりと言う傑くんに私は照れてしまう。
付き合うようになり、硝子ちゃんにも五条くんにも祝福され、頑張って名前で呼べるようになってきたが……今までと変わらないが、あえていうなら傑くんのスキンシップが多くなった事。
今だって背後から覆うように抱き締めていて、今まで動いていたので汗臭く無いか心配になってくる。
出来る限り距離を開けようとしたら、その分ぎゅーぎゅーと隙間を無くされてしまい、照れ臭さでじたばたすれば、傑くんは楽しそうに笑う。
「イチャつくなよ」
「えっ、ご、ごめんなさい!!
そんな気もそんなつもりも…!!」
「羨ましいのかい?」
「場を選ばず盛んなっつってんだよ」
「一人者の嫉妬は見苦しいよ」
「あ?」
不穏な空気に傑くんと五条くんを交互に見る。
逃げたくても傑くんの腕の中にいるため、抜け出せずどうしようかと考えた結果
「す、傑くん!!」
「どうかしたかい?名前」
「あの……シャワー浴びて来ていいかな?」
「もう戻るのかい?」
「うん。先生にこの子返さなきゃいけないし…」
「なら一緒に戻るよ」
「名前が戻んなら私も戻ろ」
「硝子ちゃん付き合ってくれてありがとう」
「一服したかったから」
「ほどほどにね?」
「ん」
「五条くんもここまで来てくれてありがとう」
「別に」
4人で並んで戻る。
去年の今頃は隣を並ぶどころか何歩も間を開けていたのに、今こうして並んで歩けることが嬉しいくて表情が綻ぶ。
「どうかしたかい?
一人で笑って厭らしいね」
「えっ!?ち、違うよ!!厭らしくないよ!?」
「エロいこと考えてたのかよ」
「違う違う違う」
「嘘だよ。で、どうしたんだい?」
「………去年は並んで歩くなんて、考えつかなかったけど今は皆と並んで歩けることが嬉しいなって思っただけ、です」
実際言葉にすると、なんだか恥ずかしくなる。
かぁぁと、顔に熱が上がっていく私は呪骸で顔を覆う。
自分で言って恥ずかしくなるなんて、馬鹿だと思うとより恥ずかしくなる。
「………うちの子が可愛い」
「知ってる」
「こいつの純情さが眩しい」
「変なこと言ってごめんなさい」
「可愛いよ、名前」
「うん、可愛い」
「ほら、前見て歩かないとまた転けんぞ」
「うぅ……」
くすくすと笑う三人に、言わなきゃ良かったと思うがすでに遅し。
先生の所に着くまでからかわれるのだった。
今日も1日の授業が終わり、五条くんがDVDを見ようと談話室に集まった。
制服から着替えて硝子ちゃんと談話室に向かうと、すでに五条くんと傑くんがソファーに座って寛いでいる。
「名前」
傑くんに名前を呼ばれ、手招きされたので大人しく側に寄れば、腰を引き寄せられて隣に座る。
硝子ちゃんは五条くんとは反対のソファーに一人で座る。
五条くん既にセットしていたのか、再生のボタンを押していた。
「ちなみに何のDVD?」
「聞いて無かったのかい?」
「DVD見るって言われただけだから」
「硝子……」
「これも1つの経験だと思う」
「?」
意味深な硝子ちゃんと傑くんの反応に頭を傾げれば、DVDは何やら不気味な雰囲気が流れ出す。
「………五条くん、これって…」
「ホラー映画」
「!?」
立ち上がろうとしたのに、傑くんががっちりと腰を掴んでいて離れない。
焦りながら傑くんを見上げれば、めちゃくちゃいい笑顔で笑っていた。
「名前、映画が始まったら静かにしなきゃ駄目だろ?」
「騙した!!」
「騙してなんかいないさ」
「しょ、硝子ちゃんっ」
「名前、諦めなよ」
「五条くんっ!!」
「呪霊よりマシだろ」
誰も助けてくれる人がいない。
「ほら、静かに観ようね」
楽しそうに笑う傑くんが、今は一番の敵に見えた。
映画の最中、静かにしなきゃいけないのと
流れ出したら怖いものだとわかっていながら観てしまう。
悲鳴を上げないにしろ、隣の傑くんはもう腰を掴んでいなかったものの、私が傑くんの腕にベッタリと張り付く形となった。
傑くんの腕を盾にして、意味は無いとわかっているのだが、出来る限り視界を狭める。
突然出てくる幽霊に、ビクッとなるたび傑くんがくつくつ笑っていたが、私はそれどころではない。
やっとエンドロールが流れ出した時には、もはや傑くんの肩に顔を押し付けていた。
「そんな怖かったか?」
呆れたような五条くんの声。
怖いのも怖いが、突然に出てくるから嫌なのだ。
「悟が選んだ物にしては、良かったと思うよ」
「お前らがイチャつくために選んだんじゃねーよ」
「名前、今日一人で寝れる?」
「無理です……。硝子ちゃん…」
「おや?そこは私じゃないのかい?」
「傑くん意地悪したから駄目」
「すまなかったね」
優しく撫でてくれる傑くんにもっと撫でて欲しくて手に頭をぐりぐりと押し付ければくすくすと笑う声。
「可愛いね、名前」
「お前らさ……場所考えてイチャつけよ」
「羨ましいのかい?あげないけど」
「………やってらんね。部屋戻るわ」
「なら私も戻ろ」
「あ、じゃあ私も」
「私を置いていくのかい?」
拗ねた顔をする傑くん。
顔とは正反対に、私を抱く腕の力は緩むことがない。
「一緒に寝るなら勝手に部屋入って来なよ」
「えっ!硝子ちゃん!!」
「おやすみ」
無情にも置いていかれた私は、ちらりと傑くんを見れば、にこりと笑う。
そのまま傑くんの膝の上に乗せられる。
「みんな行っちゃったね」
「傑くんが離してくれないから」
「私との時間は取ってくれないのかい?」
「………それはズルいよ」
こつん、と傑くんの胸に頭を寄せれば、笑いながら頭を撫でてくれる。
傑くんに甘えて、そのまま目を閉じれば傑くんの心音が聞こえてきて、撫でられるのが気持ち良くて眠たくなってきてしまう。
これはいけないと、胸から頭を離せば傑くんと目があった。
「眠そうだね」
「このままだと寝ちゃいそう」
「寝たら硝子の部屋まで送るよ」
「もうちょっと、傑くんと起きていたい」
「それは嬉しいな」
他愛もない話をして、2人で笑う。
想いが通じあってから、私は少しだけ以前より自分に自信を持てている。
「名前」
触れるだけのキスをする。
誰かに見られていないかと私だけがドキドキして、周りを見てしまう姿に傑くんは笑う。
大きな手も
優しく細められる瞳も
目尻が下がるのも
私を見て、愛しいと言ってくれる傑くん。
私達は確かにこの瞬間
幸せだと笑っていた。
あとがき
こっからが難しい……
幸せに書ける自信が……っ