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「あの……俺と付き合ってください!!」
働いていたカフェで、最近よく通ってくれるようになった男の人からまさかの告白をされ、約1ヶ月……。
彼は不思議な人です。
大学生の私はバイトをしながら一人暮らし。
お洒落なカフェでのバイトを夢見て、ここだ!!と一目惚れした隠れ家的なカフェに通い、オーナーを必死に口説いて働かせていただいた。
隠れ家的なカフェであるのに、わりとお客様の足が途絶えず、充実したバイトと大学生活を楽しんでいたのだが、そりゃ恋もしたいなーと友達と大学の人と遊んだり、合コンもやったがこの人!!というのはご縁が無かった。
そんななか、とある常連さんがお連れ様と一緒に来たことから、お連れ様は頻繁に通ってくれるようになり、常連さんと来るときもあれば一人で来ることもあり、このお店を気に入ってくれたのだと私も嬉しくなった。
お客様と当たり障り無い会話をしながら、働くのは楽しくて、私とは違う世界で生きる社会人の辛さや、社会人の楽しさを話す方々の知識は私にとって面白い知識として記憶されていき、成人しているとはいえまだ学生の身分としては、社会人というものに夢を見てしまう。
話を戻して……告白してくれた彼とは、付き合ってみることにした。
話上手であり、聞き上手なのか彼と話すことが楽しかったのもあったし、一つではあるが、年上と付き合うことにちょっとした憧れがあった。
「名前ちゃん、お待たせ!!」
「お疲れ様、猪野くん」
「琢真でいーのに」
「琢真くん?」
「………かわい。うん、そっちがいい!!」
ニカッ、と笑う彼はバイト終わりに迎えに来てくれた。
すっ、と片手を慣れたように繋いで隣に並ぶと身長も高く色んな話をしてくれる。
しかし……しかし、だ。
「ねぇ、琢真くん」
「ん?なに?どっかでご飯食べてく?」
「琢真くんはご飯食べた?」
「まだ。だから付き合ってくれる?」
「うん」
「何系食べたい?」
手を繋いで無い方の手で、スマホを弄る。
いつも奢ってくれて、お金を渡そうとすれば困っていないと言われる。
「琢真くん、琢真くん」
「ん?行きたいとこあった?」
「琢真くんって何のお仕事なの?」
「………え?」
「常連さんの七海さんはよくスーツで来てくれるから、会社勤めなんだろうけど……
琢真くん、いつもその格好だから何の仕事かな?と思って」
「ちゃんと洗濯してるよ!?」
「あ、うん?」
同じ服ばかりあるかな?と思っていたが
どうやら違うらしい。
真っ黒な上下はラフな格好に見えるし、必ずニット帽を被っている。
似合っていないわけではないが、全体的に黒くて、たまに闇に溶け込みその中から出てこられるとビクッとすることがある。
「あー、一応これ仕事着なんだ」
「………変わった会社ダネ」
「まぁね。ちょっと特殊だから」
「七海さんもその特殊な会社なの?」
「うん。まじ七海さん凄いんだぜ!!」
キラキラと子供のように目を輝かせる琢真くん。初めて来店した時から思っているが、琢真くんは七海さんが大好きである。
年上の出来る男!!な七海さんを慕っていて、凄い後輩力で、あまりお話が得意ではなさそうな七海さんが(ちなみに、一人の時は基本的に話さない)楽しそうに琢真くん相手には、会話が弾んでいる。
琢真くんの話はだいたい楽しいが、七海さんの話をさせると本人が気付いているかはわからないが、目を輝かせながらうきうきと話している。
「あ、ごめん。一人で話して」
「琢真くんの話、面白いから平気」
「ありがとな。あ、どこで食べる?」
「琢真くんがお腹いっぱいなるところ」
ご飯を食べて、琢真くんは私の家に来る。
琢真くんの家に行くこともあるが、本当に何の仕事をしているのかわからないが、いいマンションに住んでいて驚いた。
なのに、私の手狭な部屋が好きだと、来てくれる。
その日によるが、泊まって行くこともあれば、送るだけの日もあり、今日は泊まって行くらしい。
一つだけだが、大人の余裕を見せてくれたと思えば、大型犬のように甘えてきて可愛らしい一面もあるので、人の懐に入っていけるような高い対人スキルに絆されてしまう。
「風呂借りていい?」
「うん。服は?」
「こないだ置いてったやつある?」
「あるよー」
はい、とこれまた黒いスウェットを手渡せば、お風呂場へと消えていく。
いつものニット帽はテーブルに起きっぱなしだったので、畳もうと手を伸ばせばふと、おかしなことに気付く。
「え………」
ニット帽だと思っていたそれは、実は目出し帽でした。
目だけ開いたそれをまじまじと見て、いつもの琢真くんを思い出す。
たしかに……たしかに、大きめなニット帽だと思っていたが…
まさか目出し帽だとは思わないだろう。
仕事も特殊だと言っていて、私の脳内では物凄い勢いで彼への印象が変わる。
実は彼は…………
「名前ちゃん、風呂先ありがとな。
次……」
お風呂から出てきた琢真くんを見て、思わず土下座してしまう。
「売らないでください……っ」
「えっ!?なにが起こったの!!?」
半泣きになりながら、震える私にギョッとする琢真くん。
目出し帽を両手で差し出し、頭を下げる。
「ごめんね……特殊な仕事だと言っていたけど、流石に裏世界の人とのお付き合いは出来ません……っ!!無知故に本当に申し訳ありませんでした!!今まで奢っていただいた品々も頑張ってバイト増やすのでどうか身売りだけは……!!」
「待って待って待って。
何かすごい勘違いしてね?」
「はっ!!もしや、七海さんも……??
見た目は真面目な会社員風だけど、実はそれは仮の見た目で、本質は裏世界の幹部の一人で琢真くんはその部下……??
それならそのラフな格好も納得するし、お金廻りがいいことも納得!!
七海さん……若頭なの?」
「ぶはっ!!
あながち間違ってない設定だけど違うから!!
俺ら確かに特殊な仕事だけど、ヤクザとかマフィアとかじゃないから!!」
「え、じゃあ何で目出し帽?」
「あー……うん……趣味?」
言いにくいことなのか、まさかの趣味と言われて少しだけ引いた。
琢真くんは私の妄想に再びケラケラ笑いだし、お腹を押さえている。
「名前ちゃん、妄想力ありすぎ」
「彼氏が目出し帽いつも被っている衝撃は
顔を隠したいことがある……強盗するのかな?って」
「しないから!!」
「琢真くん、謎な人だけど
また今日も謎が深まったよ……」
「うーん……言ってもいいんだけど、多分名前ちゃんにとっては夢物語かも」
「聞かない方がいい?」
「聞いてくれるなら話す」
ニッ、と人懐っこい笑顔を見せる琢真くん。
社会人に憧れを抱き、少々妄想癖が激しい私ではあるが、彼の話はまるでお伽噺のような、漫画の世界のような話にわくわくしてしまう。
先輩のように、先生のように、私のわからないことを一つ一つ教えてくれる琢真くんは楽しそうで、一晩中彼について教えてもらった。
ちょくちょくと忙しい彼は、全国各地に仕事に行ってしまうことがあるが、帰って来たらお土産と共に私に会いに来てくれる。
「ただいま、名前ちゃん」
「おかえり、琢真くん。
今回は少し長かったんだね」
「ちょっと北海道まで行かされてたから」
「北海道!?」
「ほら、お土産」
「いつもご苦労様。お土産もありがと」
私の彼は呪術師で
人々を襲う呪い相手に日々命をかけて戦ってくれている。
人懐っこい性格で
話上手だし、聞き上手。
年上相手ならば高い後輩力を発揮し
年下相手ならば先輩面したいが、いまいち決まらない。
甘えん坊なところもあるのが可愛らしく思ってしまう。
本人に可愛いと言えば、拗ねてしまうが。
けど、やはり
目出し帽と真っ黒な上下は少し異質で
少しだけセンスを疑う。
「会えなかった分、充電させて」
「私、明日朝一で授業入ってるんですが」
「加減はする」
「………」
「俺頑張ったからご褒美」
「仕方ないなぁ」
目を細め、ニカッと笑う彼の顔が近付いてきて唇が重なる。
不思議な人だが……私はこの人を知れば知るほど、のめり込んで堕ちてしまっているのだった。
あとがき
目出し帽の衝撃からの猪野くん。
可愛いよ、可愛らしいよ猪野くん。
五条さんのいない本誌では
猪野くんがフィーバーなう
働いていたカフェで、最近よく通ってくれるようになった男の人からまさかの告白をされ、約1ヶ月……。
彼は不思議な人です。
大学生の私はバイトをしながら一人暮らし。
お洒落なカフェでのバイトを夢見て、ここだ!!と一目惚れした隠れ家的なカフェに通い、オーナーを必死に口説いて働かせていただいた。
隠れ家的なカフェであるのに、わりとお客様の足が途絶えず、充実したバイトと大学生活を楽しんでいたのだが、そりゃ恋もしたいなーと友達と大学の人と遊んだり、合コンもやったがこの人!!というのはご縁が無かった。
そんななか、とある常連さんがお連れ様と一緒に来たことから、お連れ様は頻繁に通ってくれるようになり、常連さんと来るときもあれば一人で来ることもあり、このお店を気に入ってくれたのだと私も嬉しくなった。
お客様と当たり障り無い会話をしながら、働くのは楽しくて、私とは違う世界で生きる社会人の辛さや、社会人の楽しさを話す方々の知識は私にとって面白い知識として記憶されていき、成人しているとはいえまだ学生の身分としては、社会人というものに夢を見てしまう。
話を戻して……告白してくれた彼とは、付き合ってみることにした。
話上手であり、聞き上手なのか彼と話すことが楽しかったのもあったし、一つではあるが、年上と付き合うことにちょっとした憧れがあった。
「名前ちゃん、お待たせ!!」
「お疲れ様、猪野くん」
「琢真でいーのに」
「琢真くん?」
「………かわい。うん、そっちがいい!!」
ニカッ、と笑う彼はバイト終わりに迎えに来てくれた。
すっ、と片手を慣れたように繋いで隣に並ぶと身長も高く色んな話をしてくれる。
しかし……しかし、だ。
「ねぇ、琢真くん」
「ん?なに?どっかでご飯食べてく?」
「琢真くんはご飯食べた?」
「まだ。だから付き合ってくれる?」
「うん」
「何系食べたい?」
手を繋いで無い方の手で、スマホを弄る。
いつも奢ってくれて、お金を渡そうとすれば困っていないと言われる。
「琢真くん、琢真くん」
「ん?行きたいとこあった?」
「琢真くんって何のお仕事なの?」
「………え?」
「常連さんの七海さんはよくスーツで来てくれるから、会社勤めなんだろうけど……
琢真くん、いつもその格好だから何の仕事かな?と思って」
「ちゃんと洗濯してるよ!?」
「あ、うん?」
同じ服ばかりあるかな?と思っていたが
どうやら違うらしい。
真っ黒な上下はラフな格好に見えるし、必ずニット帽を被っている。
似合っていないわけではないが、全体的に黒くて、たまに闇に溶け込みその中から出てこられるとビクッとすることがある。
「あー、一応これ仕事着なんだ」
「………変わった会社ダネ」
「まぁね。ちょっと特殊だから」
「七海さんもその特殊な会社なの?」
「うん。まじ七海さん凄いんだぜ!!」
キラキラと子供のように目を輝かせる琢真くん。初めて来店した時から思っているが、琢真くんは七海さんが大好きである。
年上の出来る男!!な七海さんを慕っていて、凄い後輩力で、あまりお話が得意ではなさそうな七海さんが(ちなみに、一人の時は基本的に話さない)楽しそうに琢真くん相手には、会話が弾んでいる。
琢真くんの話はだいたい楽しいが、七海さんの話をさせると本人が気付いているかはわからないが、目を輝かせながらうきうきと話している。
「あ、ごめん。一人で話して」
「琢真くんの話、面白いから平気」
「ありがとな。あ、どこで食べる?」
「琢真くんがお腹いっぱいなるところ」
ご飯を食べて、琢真くんは私の家に来る。
琢真くんの家に行くこともあるが、本当に何の仕事をしているのかわからないが、いいマンションに住んでいて驚いた。
なのに、私の手狭な部屋が好きだと、来てくれる。
その日によるが、泊まって行くこともあれば、送るだけの日もあり、今日は泊まって行くらしい。
一つだけだが、大人の余裕を見せてくれたと思えば、大型犬のように甘えてきて可愛らしい一面もあるので、人の懐に入っていけるような高い対人スキルに絆されてしまう。
「風呂借りていい?」
「うん。服は?」
「こないだ置いてったやつある?」
「あるよー」
はい、とこれまた黒いスウェットを手渡せば、お風呂場へと消えていく。
いつものニット帽はテーブルに起きっぱなしだったので、畳もうと手を伸ばせばふと、おかしなことに気付く。
「え………」
ニット帽だと思っていたそれは、実は目出し帽でした。
目だけ開いたそれをまじまじと見て、いつもの琢真くんを思い出す。
たしかに……たしかに、大きめなニット帽だと思っていたが…
まさか目出し帽だとは思わないだろう。
仕事も特殊だと言っていて、私の脳内では物凄い勢いで彼への印象が変わる。
実は彼は…………
「名前ちゃん、風呂先ありがとな。
次……」
お風呂から出てきた琢真くんを見て、思わず土下座してしまう。
「売らないでください……っ」
「えっ!?なにが起こったの!!?」
半泣きになりながら、震える私にギョッとする琢真くん。
目出し帽を両手で差し出し、頭を下げる。
「ごめんね……特殊な仕事だと言っていたけど、流石に裏世界の人とのお付き合いは出来ません……っ!!無知故に本当に申し訳ありませんでした!!今まで奢っていただいた品々も頑張ってバイト増やすのでどうか身売りだけは……!!」
「待って待って待って。
何かすごい勘違いしてね?」
「はっ!!もしや、七海さんも……??
見た目は真面目な会社員風だけど、実はそれは仮の見た目で、本質は裏世界の幹部の一人で琢真くんはその部下……??
それならそのラフな格好も納得するし、お金廻りがいいことも納得!!
七海さん……若頭なの?」
「ぶはっ!!
あながち間違ってない設定だけど違うから!!
俺ら確かに特殊な仕事だけど、ヤクザとかマフィアとかじゃないから!!」
「え、じゃあ何で目出し帽?」
「あー……うん……趣味?」
言いにくいことなのか、まさかの趣味と言われて少しだけ引いた。
琢真くんは私の妄想に再びケラケラ笑いだし、お腹を押さえている。
「名前ちゃん、妄想力ありすぎ」
「彼氏が目出し帽いつも被っている衝撃は
顔を隠したいことがある……強盗するのかな?って」
「しないから!!」
「琢真くん、謎な人だけど
また今日も謎が深まったよ……」
「うーん……言ってもいいんだけど、多分名前ちゃんにとっては夢物語かも」
「聞かない方がいい?」
「聞いてくれるなら話す」
ニッ、と人懐っこい笑顔を見せる琢真くん。
社会人に憧れを抱き、少々妄想癖が激しい私ではあるが、彼の話はまるでお伽噺のような、漫画の世界のような話にわくわくしてしまう。
先輩のように、先生のように、私のわからないことを一つ一つ教えてくれる琢真くんは楽しそうで、一晩中彼について教えてもらった。
ちょくちょくと忙しい彼は、全国各地に仕事に行ってしまうことがあるが、帰って来たらお土産と共に私に会いに来てくれる。
「ただいま、名前ちゃん」
「おかえり、琢真くん。
今回は少し長かったんだね」
「ちょっと北海道まで行かされてたから」
「北海道!?」
「ほら、お土産」
「いつもご苦労様。お土産もありがと」
私の彼は呪術師で
人々を襲う呪い相手に日々命をかけて戦ってくれている。
人懐っこい性格で
話上手だし、聞き上手。
年上相手ならば高い後輩力を発揮し
年下相手ならば先輩面したいが、いまいち決まらない。
甘えん坊なところもあるのが可愛らしく思ってしまう。
本人に可愛いと言えば、拗ねてしまうが。
けど、やはり
目出し帽と真っ黒な上下は少し異質で
少しだけセンスを疑う。
「会えなかった分、充電させて」
「私、明日朝一で授業入ってるんですが」
「加減はする」
「………」
「俺頑張ったからご褒美」
「仕方ないなぁ」
目を細め、ニカッと笑う彼の顔が近付いてきて唇が重なる。
不思議な人だが……私はこの人を知れば知るほど、のめり込んで堕ちてしまっているのだった。
あとがき
目出し帽の衝撃からの猪野くん。
可愛いよ、可愛らしいよ猪野くん。
五条さんのいない本誌では
猪野くんがフィーバーなう