夏油
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「いいな………」
「何がだい?」
「6月の花嫁」
たまたま見ていた雑誌で特集されていたページ。
私のベッドに横になり寛ぎながら見る彼女。
ベッドに寄りかかっていた私が
広げている雑誌に目を向ければ
色々なウェディングドレスを着た女性達が皆幸せそうに映っている。
「6月の花嫁ねぇ」
「ただの花嫁じゃない。
6月の花嫁が羨ましい」
「そこ、拘りあるんだ?」
「響きが良くない?」
「うーん………」
「実際には日本じゃ無理だけどね。
休み無いし、雨季だし」
「だいたい5月とかの連休の時が多いね」
「ちなみに呪術師ならもっとキツイ。
式すら挙げられず、入籍だけになりそう」
「確かにね。
万年人手不足だから」
現実問題に、悲しみながら
雑誌の花嫁を指でなぞる。
「けど、憧れるなぁ」
「名前は結婚願望あるのかい?」
「そりゃああるよ。
女は誰だって白いドレスに包まれて
光さすステンドグラスの前で
愛を誓いたいものさ」
「なんだい、それ」
「教会ってステンドグラスなイメージだから?」
どこか抜けてる彼女の言葉に
くつくつと笑う。
「なにさー。傑は結婚しないの?」
「私は考えたことないなぁ」
「………傑、白いタキシード似合い…」
「なんだよ」
「似合いそうだけど、髪型……
ハーフアップ?それともお団子?
……オールバック?ふっ」
「勝手に想像して笑うんじゃない」
べちり、と額を叩くが
ツボに入ったのかプルプルと震えている。
「私的にはお洒落にサイド編み込んで
ハーフアップかなぁ」
「おや?新郎は私なのかい?」
「傑以外に私を貰ってくれる人いるの?」
「私じゃないかもしれないだろ」
そう告げると、むすっと顔をしかめる彼女。
「傑のばーか」
「私じゃなくても、名前なら
もっといい人と出会える可能性があるだろ」
「ばーかばーか」
「未来のことはわからないだろ?
私の気が変わることもあるし
名前の気が変わることもある」
「傑って時々女心をドブに捨てるよね」
「は?」
「現実主義なんだろうけど
もう少し乗ってくれてもいいと思いまーす」
むすっとしながら
何故か頭をつつかれる。
横になっていた名前がおもむろに起き上がり、私の髪をほどいて触る。
「こら、髪で遊ぶな」
「傑はもっと欲張っていいと思うよ」
「なんだい?いきなり」
「たまに、我慢するでしょ?
そこが大人っぽく見えることもあるけど
私相手に大人っぽく見せなくて良くない?」
「気にしたこと無いんだけどな」
「悟といたらただの悪ガキかなってとこあるし」
「………」
「大人っぽい傑も好きだけど
子供らしい馬鹿なことしてる傑も好きだよ」
「………愛されてるね、私は」
「当たり前じゃん。
傑のこと幸せにするのは私の役目だからね!!」
「役目なのかい?」
「そう。
重たいくらい愛してるから
傑を幸せにするのは私なんだよ。
そしたら私も幸せじゃん?」
髪を編み込まれ
後ろでもそもそ手を動かす名前。
「大丈夫。
傑がもしも違う人と結婚式するなら
黒いドレス着て奪いに行ってやるから」
「全く大丈夫じゃないだろ、それ」
「はい、出来た!!」
鏡を手渡されれば
サイドが三つ編みで編み込まれ
後れ毛はそのままに
ハーフアップにお団子にされた姿。
「……そうか。
姿がドレス着て、私がタキシード着ればいいのか」
「どうしてそうなったんだい?」
「傑を幸せに愛を誓うなら
私がタキシード着ればいいでしょ?」
「嫌だよ。
名前はウェディングドレスを着ておくれ」
「………何色がいーい?」
「やっぱり白かな?」
「どんなやつがいーだろ?
私後ろ長いやつがいいな」
「こんなのかい?」
「ロングトレーン!!色々あるんだね」
「タキシードも色々あるもんだね」
二人で携帯を見ながら
あれだ、これだと話し合う。
「教会もいいけど、浜辺で写真撮りたい」
「なら、前撮りを海で撮って
教会で式を挙げればいいんじゃないか?」
「いいね。
お披露目の友人代表は悟?硝子?」
「悟だろうね」
「七海と灰原で何か出し物してくれないかな?」
「悟が張りきりそうだ」
「ふふっ」
「どうしたんだい?」
「何だかんだ、傑も私と同じように
未来のこと話してくれるのが嬉しくて」
ふにゃりと笑う笑顔に
彼女から顔を背ける。
熱くなる顔に赤くなっていることを知られたくないが、後ろからくすくすと笑い声が聞こえる。
耳を触られながら
その耳元で彼女が囁く。
「傑、大好き」
「知ってるよ」
「傑は?」
ちらりと彼女を見て
頬に手を添えて唇にキスをする。
「これじゃ駄目かい?」
「コレも嬉しいけど言葉が欲しいなー」
「仕方ないね」
ベッドに乗り上げ名前を見下ろす。
へにゃりと表情を緩ませる彼女が可愛らしく
服の裾から手を入れる。
「私の言葉は高いんだよ」
「じゃあ、うんっと甘い言葉をお願いしたいな」
「名前のサービス次第かな」
「トロトロに蕩けちゃうくらい
甘い言葉を所望する」
「わかったよ。お姫様」
くつり、と笑いながら
息ができなくなるくらい
甘いキスを。
いつか、の未来を語る。
彼女には内緒だが
いつだって願う。
満面の笑顔で、真っ白なドレスを着た君が
私に両手を広げている姿を。
あとがき
幸せ小話。
「何がだい?」
「6月の花嫁」
たまたま見ていた雑誌で特集されていたページ。
私のベッドに横になり寛ぎながら見る彼女。
ベッドに寄りかかっていた私が
広げている雑誌に目を向ければ
色々なウェディングドレスを着た女性達が皆幸せそうに映っている。
「6月の花嫁ねぇ」
「ただの花嫁じゃない。
6月の花嫁が羨ましい」
「そこ、拘りあるんだ?」
「響きが良くない?」
「うーん………」
「実際には日本じゃ無理だけどね。
休み無いし、雨季だし」
「だいたい5月とかの連休の時が多いね」
「ちなみに呪術師ならもっとキツイ。
式すら挙げられず、入籍だけになりそう」
「確かにね。
万年人手不足だから」
現実問題に、悲しみながら
雑誌の花嫁を指でなぞる。
「けど、憧れるなぁ」
「名前は結婚願望あるのかい?」
「そりゃああるよ。
女は誰だって白いドレスに包まれて
光さすステンドグラスの前で
愛を誓いたいものさ」
「なんだい、それ」
「教会ってステンドグラスなイメージだから?」
どこか抜けてる彼女の言葉に
くつくつと笑う。
「なにさー。傑は結婚しないの?」
「私は考えたことないなぁ」
「………傑、白いタキシード似合い…」
「なんだよ」
「似合いそうだけど、髪型……
ハーフアップ?それともお団子?
……オールバック?ふっ」
「勝手に想像して笑うんじゃない」
べちり、と額を叩くが
ツボに入ったのかプルプルと震えている。
「私的にはお洒落にサイド編み込んで
ハーフアップかなぁ」
「おや?新郎は私なのかい?」
「傑以外に私を貰ってくれる人いるの?」
「私じゃないかもしれないだろ」
そう告げると、むすっと顔をしかめる彼女。
「傑のばーか」
「私じゃなくても、名前なら
もっといい人と出会える可能性があるだろ」
「ばーかばーか」
「未来のことはわからないだろ?
私の気が変わることもあるし
名前の気が変わることもある」
「傑って時々女心をドブに捨てるよね」
「は?」
「現実主義なんだろうけど
もう少し乗ってくれてもいいと思いまーす」
むすっとしながら
何故か頭をつつかれる。
横になっていた名前がおもむろに起き上がり、私の髪をほどいて触る。
「こら、髪で遊ぶな」
「傑はもっと欲張っていいと思うよ」
「なんだい?いきなり」
「たまに、我慢するでしょ?
そこが大人っぽく見えることもあるけど
私相手に大人っぽく見せなくて良くない?」
「気にしたこと無いんだけどな」
「悟といたらただの悪ガキかなってとこあるし」
「………」
「大人っぽい傑も好きだけど
子供らしい馬鹿なことしてる傑も好きだよ」
「………愛されてるね、私は」
「当たり前じゃん。
傑のこと幸せにするのは私の役目だからね!!」
「役目なのかい?」
「そう。
重たいくらい愛してるから
傑を幸せにするのは私なんだよ。
そしたら私も幸せじゃん?」
髪を編み込まれ
後ろでもそもそ手を動かす名前。
「大丈夫。
傑がもしも違う人と結婚式するなら
黒いドレス着て奪いに行ってやるから」
「全く大丈夫じゃないだろ、それ」
「はい、出来た!!」
鏡を手渡されれば
サイドが三つ編みで編み込まれ
後れ毛はそのままに
ハーフアップにお団子にされた姿。
「……そうか。
姿がドレス着て、私がタキシード着ればいいのか」
「どうしてそうなったんだい?」
「傑を幸せに愛を誓うなら
私がタキシード着ればいいでしょ?」
「嫌だよ。
名前はウェディングドレスを着ておくれ」
「………何色がいーい?」
「やっぱり白かな?」
「どんなやつがいーだろ?
私後ろ長いやつがいいな」
「こんなのかい?」
「ロングトレーン!!色々あるんだね」
「タキシードも色々あるもんだね」
二人で携帯を見ながら
あれだ、これだと話し合う。
「教会もいいけど、浜辺で写真撮りたい」
「なら、前撮りを海で撮って
教会で式を挙げればいいんじゃないか?」
「いいね。
お披露目の友人代表は悟?硝子?」
「悟だろうね」
「七海と灰原で何か出し物してくれないかな?」
「悟が張りきりそうだ」
「ふふっ」
「どうしたんだい?」
「何だかんだ、傑も私と同じように
未来のこと話してくれるのが嬉しくて」
ふにゃりと笑う笑顔に
彼女から顔を背ける。
熱くなる顔に赤くなっていることを知られたくないが、後ろからくすくすと笑い声が聞こえる。
耳を触られながら
その耳元で彼女が囁く。
「傑、大好き」
「知ってるよ」
「傑は?」
ちらりと彼女を見て
頬に手を添えて唇にキスをする。
「これじゃ駄目かい?」
「コレも嬉しいけど言葉が欲しいなー」
「仕方ないね」
ベッドに乗り上げ名前を見下ろす。
へにゃりと表情を緩ませる彼女が可愛らしく
服の裾から手を入れる。
「私の言葉は高いんだよ」
「じゃあ、うんっと甘い言葉をお願いしたいな」
「名前のサービス次第かな」
「トロトロに蕩けちゃうくらい
甘い言葉を所望する」
「わかったよ。お姫様」
くつり、と笑いながら
息ができなくなるくらい
甘いキスを。
いつか、の未来を語る。
彼女には内緒だが
いつだって願う。
満面の笑顔で、真っ白なドレスを着た君が
私に両手を広げている姿を。
あとがき
幸せ小話。