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皆様どうもおはよう、こんにちは、こんばんは。タイトルが見知ったものだって?ははは、気にするなよ子猫ちゃん。
あ、うざい?ごめんね?
ちょっとこれから1人で語るけど気にしないで☆
私苗字 名前は日本に住んでいて、そりゃあ平凡に暮らしていた。
同級生でちょっとヤバいなぁーなんて思っていた奴……まぁ、悪い奴ではないのだが、ちょっ……かなり……うん、ヤバいな☆って思ってみんなから距離置かれてる人と当たり障りなく話していたのだが、彼女からしたら私は大親友だったらしい。
幼稚園から小・中・高と一緒で社会人になり、交流が無くなり、世間と社会に揉まれながら推しにお金を流しつつ、それなりに楽しく過ごしていた。
なのに、だ。
突然久しぶりに現れた彼女に、おや、久しぶり☆と声を掛けた瞬間刺された。
ん?みたいな。
ちなみにその時の彼女がこちら。
「酷い、酷いよ名前ちゃん。
私がいるのに色々な人に愛想振り撒いて
私だけでいいのに。私がいるのに。
私のこと振り回して楽しい?」
ごふっ
「大丈夫。私もすぐ逝くからね」
なーんて笑いながら、自分の首刺していた彼女を見たのが最期だったよ。
………え。何で私刺されたし。
しかも君女。私も女。
美人も美女も好きだが……あえて言おう。
そっちの趣味はぬぇ。
神よ、私の人生どこで間違えた?
できることなら来世はもっとマシな人生を謳歌し、長生き出来るスキルをください。
私、贅沢言わないから。
って願ったはずなのに。
私の隣には、ふわふわ髪の誰が見ても可愛らしいお人形のような女の子の姿。
こちらを見上げながら腕を絡ませて
にっこにこだ。
世の中の男達はきっとこの子の笑顔と、見た目に騙されてコロッと落ちるであろう容姿。
「名前ちゃん、名前ちゃん。
私の名前ちゃん」
ねぇ、神様?
私長生きできるスキルを下さいって言ったよね?
なんでこの子おるの?
「もう余所見しちゃ嫌だよ?」
タマヒュンしたわ。
私女の子だけど。タマ無いけど。
生まれ変わって赤ちゃんプレイ後
第2の人生は長生き!!と楽しく生きようと幼き頃決めたのに、気付いたらご近所の同級生と出会ったのが彼女だった。
私を見た瞬間、目が輝き、ファーストキスを奪われた。
その時の私は死んだ魚のような目をし、神って何だろう?と思った。
第2の人生開始後、終了のお知らせ。
前世よりも格段にヤンデレ度がパワーアップしていた彼女。どうしよう?どうしろと?
四苦八苦しながら彼女のご機嫌を損ねないように過ごすことに日々全力を尽くした。
だって彼女、なぜかいつも懐に刃物仕込んでるんだもの。
何かの時に突然頬横をシュッと過り、ハイライトが消えてこちらを見る彼女。
そして私の真横にはハサミ。
「私の名前ちゃんに近寄らないでよ」
まじでタマヒュンした。
女の子だけど。
この時彼女の何の機嫌を損ねたのかと思ったが、どうやら後々わかったのだが……私、変なもの見えるようになった。
虫なのか、動物なのか、人なのか……お化けに近いソレはよく見れば街のあちらこちらに居た。
目を合わせなければ、明らかな場所に行かなければ無害なソレ。
やはり何も知らず誘われるがまま、彼女を置いて友達と肝だめししたのが駄目だった。
初めて見た異質なソレに、呼吸が止まり、また人生詰んだ……と思ったら、なぜか彼女が現れて、私が襲われる前にソレを八つ裂きにした。
………刀で。
銃刀法違反……とか言えない雰囲気だった。
なんでここわかった?とか
助けてくれてありがとう、とか
色々な言葉が浮かぶが、ただ1つ。
「名前ちゃんに触れないでよ。
名前ちゃんは私だけのものなの。
名前ちゃんに触れていいのも、一緒にいていいのも、殺していいのも私だけなの。
ねぇ、どうして私から離れるの?
ねぇ、どうして私から奪うの?
私の名前ちゃんなのに……」
この子怖い。
何よりもこの子が怖い。
私はこの時理解した。
彼女がいれば私は長生き出来て、彼女がいない時、または彼女を蔑ろにした時に私の人生終わるんだ、と。
私の神は彼女らしい。
ジーザスッッ!!!!
しかし、諸君よ、聞いてくれ。
彼女を甘やかせば甘やかすだけ、彼女は濃厚に病んでいくんだ。
甘やかした結果、襲われかけたので止めた。
お化けから助けてくれた時や、私の危険回避をしてくれた時に頭撫でたり、抱き締めてあげるだけで、彼女には至福の時間らしいことに気付き、それ以外は彼女が勝手に引っ付いてるので、好きにさせている。
他の友達と付き合うときも、仕方ないからね、君のためにも人付き合いは大事なんだよ〜という感じでのらりくらりと地雷を踏みつけないように生きた。
同級生達からあの子ヤバいけどよく付き合っていられるね〜んて言われたこともあるが、その後同級生が死なない程度に不幸な怪我をしていたので、私はGPSと盗聴仕掛けられてるんだと思う。
気付いたら居場所把握されてるし。
そんなこんなで、生まれ変わってベリーハードな人生を歩んできて、精神的に老婆な私。
今回、高校を選ぶときも一波乱あった。
普通の高校選ぼうとしていたのだが、彼女が頑なに譲らなかった東京都立呪術高等専門学校に行こうと言われてなにそのヤバそうな学校?やだよ、なんて普通に返したのが悪かった。
久しぶりに地雷を踏み抜き、ハサミ喉元に突きつけられながら服脱がされた。
危うく人生終了するとこだった。
で、地元を離れ東京に寮生活を始めることになった。
親が反対するかと思ったのに、なーぜーかすんなりと進路が通った。
そして長々と回想という現実逃避をしていた私の目の前で、なぜか彼女は同級生の男子生徒に喧嘩を売っている。
「ねぇ、止めなくていいの?あれ」
「ははは、無理。
アレに手を出したら私また刺される」
「物騒だね」
「既に一回殺られてるからトラウマだよね」
「御愁傷様」
「あの人凄いね。アレ相手に互角かー」
「他人事だね」
よくわからないまま入学した学校で、同級生は四人。しかも、顔面偏差値高くて、私何でここに入学出来たのか不安になる。
そして顔合わせと自己紹介の時に、事件は起こった。じーーーっとこちらを眺めていた白髪のサングラスのイケメンが、何気無く私を指差して呟いた。
「何でお前呪われてんの?」
「ん?私呪われてんの、やっぱ」
「は?しかもお前何か変じゃね?
本当に人間かよ」
「え?一回死んでるから私おかしいのか?」
「あ?」
「ん?」
会話が噛み合わない気がして、女の子を1人挟んでの会話だが、お互いに見詰めあってしまう。
多分、それが駄目だった。
普段は気をつけていたのに、あまりに会話が噛み合わないため、じっとまともに人の顔を見てしまったのだ。
「うわ、めっちゃ綺麗な目」
「は?お前……」
その瞬間、私の真横からハサミが飛んだ。
イケメンくんの顔面に飛んでいったハサミだったが、イケメンくんの顔に当たる前に空中で止まっている。
今までにない経験に、おぉ、と目を輝かせていると、背中が重くなり首に何かが巻き付いた。
「その目、抉り出してやる…」
「やべ、ごめんねイケメンくん」
「アンタ大丈夫?顔色悪くなってるけど」
「ここが私の人生の終着点か……
名も知らぬ同級生よ、ごめんね」
「えーっと……そろそろ離してあげたらどうだい?」
「貴方達も私から名前ちゃんを奪うの?
酷い、酷いよ。私のなのに。私だけのものなのに」
「レズかよ」
「死んでよ」
どこから取り出したのか、銃刀法違反な彼女はイケメンくんに襲いかかった。
ガッシャーンと窓の割れる音と共に、消えた二人。
先生が黙ってこちらを見る。やめて。
「苗字」
「私悪くないでーす」
「止めろ」
「先生、私に死ねって言ってます?」
お互い真顔で言葉を交わす。
夜蛾先生は入学前にアレと別々に面談しているため、アレのヤバさは多少理解している。
割れた窓から外を眺めれば、物騒な物振り回しながらイケメンくんを仕留めようとしている彼女。そして、どーなっているのか、彼女の武器が寸前で止まり、余裕で煽っているイケメンくん。
「平和だ……」
「あれを見ながらそう言えるって
アンタ相当やべーよ」
「前世で何を間違えたのか、同級生がヤンデレになっていて、刺されて目の前で自殺され
第2の人生始まった数年後に、近所に記憶持ったままいた恐怖で生きてきたからねぇ」
「まじかよ」
「ちなみに、この学校のこと何一つ理解してないんだけど、私生きていけるかな」
「嘘だろ」
「首もとに刃物突き付けられながら、衣類ひんむかれて呪詛唱えられたから」
「「…………」」
「とりあえずお化け?は見えるけど、私としてはあの呪いみたいなヤンデレを呪術?で祓えるかが私のこの学校での目標かな」
「「頑張れ」」
可哀想なものを見る目を向けられた。
うん、大丈夫。
「私、苗字 名前。
アレに呪われてるけど、頑張って生きて」
「夏油傑だよ。
彼女はどうしたら止まるんだい?」
「呼んだら止まるかもね」
「家入 硝子。
じゃあ呼べばいいじゃん」
「呼んだら私の平和が無くなる。
あの人チートみたいだから、もう少し頑張って欲しい」
「生け贄か」
「とりあえず予防策として、視線が合わないことと、苗字で呼ぶことを許してね」
「下の名前じゃ駄目なのかい?」
「二人とも出来ればちょっと移動してくれる?」
なんだ?と大人しく移動してくれた二人。
「………傑くんと硝子ちゃんって呼ぶとね」
シュッと飛んできた何かが
私の真横の壁にビィィィンッと、突き刺さる。
ハサミだった。
夏油くんと、家入さんが表情を失くした。
ちらりと外を見れば、此方を殺気に満ちた瞳で恨めしく見ている彼女。
禍々しさで何か生み出すんじゃないかな?と思える魔王がいた。
二人も彼女を見て、再び私を見る。
「不思議なことにSECOMが働くんだぁ……
餌食になるのは私なんだろうけど」
「わかった」
「盗聴もGPSも付けられていないはずなのにね…」
「君、よく生きていたね」
「私もそう思う」
禍々しさが酷くなってきて、本当に何か生み出しそうなので、そろそろ頃合いか、と窓の外を眺める。
「真珠」
呟いた彼女の名前。
すると、首に何かが勢いよく抱き着いてきて、反動で後ろに倒れそうになるが、抱き着いてきた本人が窓の縁に立って、倒れそうな私が支えられる。
倒れないことを確認し、縁から降りた彼女は改めて私の首に腕を絡ませてうっとりとした顔で見上げてくる。
「なぁに、名前ちゃん?」
「呼んだだけ」
「そーなの?」
「嘘。真珠が側にいないから寂しくなったの」
にっこりと笑えばぱぁぁあああと煌めく表情。
そしてぐりぐりと頭を擦り付けてくる。
「私も!!私も寂しかった!!
名前ちゃんったらあんな白髪を綺麗だなんて、私の耳がおかしくなってたみたい。それに、私以外の名前も聞こえたけれど、言ってないよね?私しか見ないで。私の名前しか呼ばないで。私だけでいいんだから」
「あははは」
笑うしかねぇ!!!
べったり引っ付く彼女を見て、夏油くんと、家入さんがどん引いている。
「お前、そんなことされてるから呪われてんだよ」
「………余計なこと言わないで」
「お前のやってること呪詛師じゃん」
「違う。名前ちゃんは私の神様なの。
私の神様を私がどうしようと私の勝手でしょ」
「愛より歪な呪いなんてねぇよ」
「歪んでなんか無いよ。私と名前ちゃんは相思相愛なの。前世からのね」
「うへぇ、ガチのレズかよ」
「そんなのと一緒にしないでよ」
再び殺気を出し始めた彼女の頭を撫でれば、嬉しそうにすり寄ってきた。
「イケメンくん、頼むからそれ以上は煽らないで」
「お前いつかそいつに殺されるぞ」
「いや、五条本当に止めておけ」
「悟、苗字さんの背中にハサミ食い込んでるんだ」
「は?まじかよ」
そう、さっきから背中に回った腕のどこから出てきたのか、背中に刃物が当たっている。
だからお願い。私のために止めて欲しい。
「私、やっぱここが墓場な気がする……」
「その時は私も一緒に逝くね」
「はははっ、長生きしたいのに、どーしてこうなった……」
思わず遠いところを見てしまう。
これは、私がヤンデレを祓うための物語である。
あとがき
ヤンデレによって神格化させられつつある子の話。
あ、うざい?ごめんね?
ちょっとこれから1人で語るけど気にしないで☆
私苗字 名前は日本に住んでいて、そりゃあ平凡に暮らしていた。
同級生でちょっとヤバいなぁーなんて思っていた奴……まぁ、悪い奴ではないのだが、ちょっ……かなり……うん、ヤバいな☆って思ってみんなから距離置かれてる人と当たり障りなく話していたのだが、彼女からしたら私は大親友だったらしい。
幼稚園から小・中・高と一緒で社会人になり、交流が無くなり、世間と社会に揉まれながら推しにお金を流しつつ、それなりに楽しく過ごしていた。
なのに、だ。
突然久しぶりに現れた彼女に、おや、久しぶり☆と声を掛けた瞬間刺された。
ん?みたいな。
ちなみにその時の彼女がこちら。
「酷い、酷いよ名前ちゃん。
私がいるのに色々な人に愛想振り撒いて
私だけでいいのに。私がいるのに。
私のこと振り回して楽しい?」
ごふっ
「大丈夫。私もすぐ逝くからね」
なーんて笑いながら、自分の首刺していた彼女を見たのが最期だったよ。
………え。何で私刺されたし。
しかも君女。私も女。
美人も美女も好きだが……あえて言おう。
そっちの趣味はぬぇ。
神よ、私の人生どこで間違えた?
できることなら来世はもっとマシな人生を謳歌し、長生き出来るスキルをください。
私、贅沢言わないから。
って願ったはずなのに。
私の隣には、ふわふわ髪の誰が見ても可愛らしいお人形のような女の子の姿。
こちらを見上げながら腕を絡ませて
にっこにこだ。
世の中の男達はきっとこの子の笑顔と、見た目に騙されてコロッと落ちるであろう容姿。
「名前ちゃん、名前ちゃん。
私の名前ちゃん」
ねぇ、神様?
私長生きできるスキルを下さいって言ったよね?
なんでこの子おるの?
「もう余所見しちゃ嫌だよ?」
タマヒュンしたわ。
私女の子だけど。タマ無いけど。
生まれ変わって赤ちゃんプレイ後
第2の人生は長生き!!と楽しく生きようと幼き頃決めたのに、気付いたらご近所の同級生と出会ったのが彼女だった。
私を見た瞬間、目が輝き、ファーストキスを奪われた。
その時の私は死んだ魚のような目をし、神って何だろう?と思った。
第2の人生開始後、終了のお知らせ。
前世よりも格段にヤンデレ度がパワーアップしていた彼女。どうしよう?どうしろと?
四苦八苦しながら彼女のご機嫌を損ねないように過ごすことに日々全力を尽くした。
だって彼女、なぜかいつも懐に刃物仕込んでるんだもの。
何かの時に突然頬横をシュッと過り、ハイライトが消えてこちらを見る彼女。
そして私の真横にはハサミ。
「私の名前ちゃんに近寄らないでよ」
まじでタマヒュンした。
女の子だけど。
この時彼女の何の機嫌を損ねたのかと思ったが、どうやら後々わかったのだが……私、変なもの見えるようになった。
虫なのか、動物なのか、人なのか……お化けに近いソレはよく見れば街のあちらこちらに居た。
目を合わせなければ、明らかな場所に行かなければ無害なソレ。
やはり何も知らず誘われるがまま、彼女を置いて友達と肝だめししたのが駄目だった。
初めて見た異質なソレに、呼吸が止まり、また人生詰んだ……と思ったら、なぜか彼女が現れて、私が襲われる前にソレを八つ裂きにした。
………刀で。
銃刀法違反……とか言えない雰囲気だった。
なんでここわかった?とか
助けてくれてありがとう、とか
色々な言葉が浮かぶが、ただ1つ。
「名前ちゃんに触れないでよ。
名前ちゃんは私だけのものなの。
名前ちゃんに触れていいのも、一緒にいていいのも、殺していいのも私だけなの。
ねぇ、どうして私から離れるの?
ねぇ、どうして私から奪うの?
私の名前ちゃんなのに……」
この子怖い。
何よりもこの子が怖い。
私はこの時理解した。
彼女がいれば私は長生き出来て、彼女がいない時、または彼女を蔑ろにした時に私の人生終わるんだ、と。
私の神は彼女らしい。
ジーザスッッ!!!!
しかし、諸君よ、聞いてくれ。
彼女を甘やかせば甘やかすだけ、彼女は濃厚に病んでいくんだ。
甘やかした結果、襲われかけたので止めた。
お化けから助けてくれた時や、私の危険回避をしてくれた時に頭撫でたり、抱き締めてあげるだけで、彼女には至福の時間らしいことに気付き、それ以外は彼女が勝手に引っ付いてるので、好きにさせている。
他の友達と付き合うときも、仕方ないからね、君のためにも人付き合いは大事なんだよ〜という感じでのらりくらりと地雷を踏みつけないように生きた。
同級生達からあの子ヤバいけどよく付き合っていられるね〜んて言われたこともあるが、その後同級生が死なない程度に不幸な怪我をしていたので、私はGPSと盗聴仕掛けられてるんだと思う。
気付いたら居場所把握されてるし。
そんなこんなで、生まれ変わってベリーハードな人生を歩んできて、精神的に老婆な私。
今回、高校を選ぶときも一波乱あった。
普通の高校選ぼうとしていたのだが、彼女が頑なに譲らなかった東京都立呪術高等専門学校に行こうと言われてなにそのヤバそうな学校?やだよ、なんて普通に返したのが悪かった。
久しぶりに地雷を踏み抜き、ハサミ喉元に突きつけられながら服脱がされた。
危うく人生終了するとこだった。
で、地元を離れ東京に寮生活を始めることになった。
親が反対するかと思ったのに、なーぜーかすんなりと進路が通った。
そして長々と回想という現実逃避をしていた私の目の前で、なぜか彼女は同級生の男子生徒に喧嘩を売っている。
「ねぇ、止めなくていいの?あれ」
「ははは、無理。
アレに手を出したら私また刺される」
「物騒だね」
「既に一回殺られてるからトラウマだよね」
「御愁傷様」
「あの人凄いね。アレ相手に互角かー」
「他人事だね」
よくわからないまま入学した学校で、同級生は四人。しかも、顔面偏差値高くて、私何でここに入学出来たのか不安になる。
そして顔合わせと自己紹介の時に、事件は起こった。じーーーっとこちらを眺めていた白髪のサングラスのイケメンが、何気無く私を指差して呟いた。
「何でお前呪われてんの?」
「ん?私呪われてんの、やっぱ」
「は?しかもお前何か変じゃね?
本当に人間かよ」
「え?一回死んでるから私おかしいのか?」
「あ?」
「ん?」
会話が噛み合わない気がして、女の子を1人挟んでの会話だが、お互いに見詰めあってしまう。
多分、それが駄目だった。
普段は気をつけていたのに、あまりに会話が噛み合わないため、じっとまともに人の顔を見てしまったのだ。
「うわ、めっちゃ綺麗な目」
「は?お前……」
その瞬間、私の真横からハサミが飛んだ。
イケメンくんの顔面に飛んでいったハサミだったが、イケメンくんの顔に当たる前に空中で止まっている。
今までにない経験に、おぉ、と目を輝かせていると、背中が重くなり首に何かが巻き付いた。
「その目、抉り出してやる…」
「やべ、ごめんねイケメンくん」
「アンタ大丈夫?顔色悪くなってるけど」
「ここが私の人生の終着点か……
名も知らぬ同級生よ、ごめんね」
「えーっと……そろそろ離してあげたらどうだい?」
「貴方達も私から名前ちゃんを奪うの?
酷い、酷いよ。私のなのに。私だけのものなのに」
「レズかよ」
「死んでよ」
どこから取り出したのか、銃刀法違反な彼女はイケメンくんに襲いかかった。
ガッシャーンと窓の割れる音と共に、消えた二人。
先生が黙ってこちらを見る。やめて。
「苗字」
「私悪くないでーす」
「止めろ」
「先生、私に死ねって言ってます?」
お互い真顔で言葉を交わす。
夜蛾先生は入学前にアレと別々に面談しているため、アレのヤバさは多少理解している。
割れた窓から外を眺めれば、物騒な物振り回しながらイケメンくんを仕留めようとしている彼女。そして、どーなっているのか、彼女の武器が寸前で止まり、余裕で煽っているイケメンくん。
「平和だ……」
「あれを見ながらそう言えるって
アンタ相当やべーよ」
「前世で何を間違えたのか、同級生がヤンデレになっていて、刺されて目の前で自殺され
第2の人生始まった数年後に、近所に記憶持ったままいた恐怖で生きてきたからねぇ」
「まじかよ」
「ちなみに、この学校のこと何一つ理解してないんだけど、私生きていけるかな」
「嘘だろ」
「首もとに刃物突き付けられながら、衣類ひんむかれて呪詛唱えられたから」
「「…………」」
「とりあえずお化け?は見えるけど、私としてはあの呪いみたいなヤンデレを呪術?で祓えるかが私のこの学校での目標かな」
「「頑張れ」」
可哀想なものを見る目を向けられた。
うん、大丈夫。
「私、苗字 名前。
アレに呪われてるけど、頑張って生きて」
「夏油傑だよ。
彼女はどうしたら止まるんだい?」
「呼んだら止まるかもね」
「家入 硝子。
じゃあ呼べばいいじゃん」
「呼んだら私の平和が無くなる。
あの人チートみたいだから、もう少し頑張って欲しい」
「生け贄か」
「とりあえず予防策として、視線が合わないことと、苗字で呼ぶことを許してね」
「下の名前じゃ駄目なのかい?」
「二人とも出来ればちょっと移動してくれる?」
なんだ?と大人しく移動してくれた二人。
「………傑くんと硝子ちゃんって呼ぶとね」
シュッと飛んできた何かが
私の真横の壁にビィィィンッと、突き刺さる。
ハサミだった。
夏油くんと、家入さんが表情を失くした。
ちらりと外を見れば、此方を殺気に満ちた瞳で恨めしく見ている彼女。
禍々しさで何か生み出すんじゃないかな?と思える魔王がいた。
二人も彼女を見て、再び私を見る。
「不思議なことにSECOMが働くんだぁ……
餌食になるのは私なんだろうけど」
「わかった」
「盗聴もGPSも付けられていないはずなのにね…」
「君、よく生きていたね」
「私もそう思う」
禍々しさが酷くなってきて、本当に何か生み出しそうなので、そろそろ頃合いか、と窓の外を眺める。
「真珠」
呟いた彼女の名前。
すると、首に何かが勢いよく抱き着いてきて、反動で後ろに倒れそうになるが、抱き着いてきた本人が窓の縁に立って、倒れそうな私が支えられる。
倒れないことを確認し、縁から降りた彼女は改めて私の首に腕を絡ませてうっとりとした顔で見上げてくる。
「なぁに、名前ちゃん?」
「呼んだだけ」
「そーなの?」
「嘘。真珠が側にいないから寂しくなったの」
にっこりと笑えばぱぁぁあああと煌めく表情。
そしてぐりぐりと頭を擦り付けてくる。
「私も!!私も寂しかった!!
名前ちゃんったらあんな白髪を綺麗だなんて、私の耳がおかしくなってたみたい。それに、私以外の名前も聞こえたけれど、言ってないよね?私しか見ないで。私の名前しか呼ばないで。私だけでいいんだから」
「あははは」
笑うしかねぇ!!!
べったり引っ付く彼女を見て、夏油くんと、家入さんがどん引いている。
「お前、そんなことされてるから呪われてんだよ」
「………余計なこと言わないで」
「お前のやってること呪詛師じゃん」
「違う。名前ちゃんは私の神様なの。
私の神様を私がどうしようと私の勝手でしょ」
「愛より歪な呪いなんてねぇよ」
「歪んでなんか無いよ。私と名前ちゃんは相思相愛なの。前世からのね」
「うへぇ、ガチのレズかよ」
「そんなのと一緒にしないでよ」
再び殺気を出し始めた彼女の頭を撫でれば、嬉しそうにすり寄ってきた。
「イケメンくん、頼むからそれ以上は煽らないで」
「お前いつかそいつに殺されるぞ」
「いや、五条本当に止めておけ」
「悟、苗字さんの背中にハサミ食い込んでるんだ」
「は?まじかよ」
そう、さっきから背中に回った腕のどこから出てきたのか、背中に刃物が当たっている。
だからお願い。私のために止めて欲しい。
「私、やっぱここが墓場な気がする……」
「その時は私も一緒に逝くね」
「はははっ、長生きしたいのに、どーしてこうなった……」
思わず遠いところを見てしまう。
これは、私がヤンデレを祓うための物語である。
あとがき
ヤンデレによって神格化させられつつある子の話。