先輩シリーズ (五条)
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※傀儡3ヶ所ってなってるけど
ご都合主義の別枠の一個。
「名前、ここ来て良かったのか?」
「上はいい顔しないだろーね」
「だよな」
銃を片手に、愛刀を腰に。
式神片手に帳の中を動く二人。
「五条入って結構時間経ったな」
「コレが本当の事言ってんなら急がなきゃ」
「嘘ハ言わなイ」
メカ丸の形をした手のひらサイズの傀儡。
呪霊側と繋がっている容疑者の一人であり、このハロウィンまで姿を消していたメカ丸。
大和と共に帳の中に侵入し、悟の所へと急ぐ。
「五条が封印ねぇ……実感沸かねぇんだけど」
「事実ダ」
「君が既に死んでいて、悟が封印されたのが本当だとしても君のやったことは許されることじゃないよ、メカ丸」
「………わかっていル」
「若いのに命を無駄にするんじゃない。
君一人でどうにかなってんなら、
既に私達は世界征服してんだから」
「確かに。お前と五条ならやりかねない」
「大和、撃つよ」
「シャレにならんからやめて?」
「………もっとマジメに頼ム。
事態ハあまり良く無イ」
「そもそもお前がちゃっちゃと情報伝えていたらこんなことに……ぐはっ」
大和の頭を叩く名前。
しゃがみこみ恨めしい顔をしている。
「それはメカ丸だけの責任じゃない。
私達大人が気にかけてあげられなかった責任だよ」
「イヤ、事実俺ハ仲間を裏切っテ
敵に情報を渡していたんダ。
そう言われテも仕方がなイ」
「理由はどうであれ、今は君が頼りだ。
しっかり働いて来世で幸せになりなさい」
「………俺、名前のそーゆーとこ好き」
「漢前ダナ」
「自分で考えて行動した結果を
今さらあれこれ言わないよ。
……天与呪縛の苦しみは本人にしかわからない。
生きることも、認められる事も
天与呪縛というだけで
この世界から置いていかれる」
おにーさんも、真希も、メカ丸も。
「君が犯した罪は消えることが無いし
許されることではない。
けど、今こうして私達に情報くれ
力になってくれている君が
その命を掛けてまで残したものを私は疑わない」
「………アンタと生きてる内ニもっと話せバ良かっタ」
「惚れちゃうわよ?」
くすり、と笑う名前に
メカ丸も傀儡ではあるのに
ほのかに笑った気がした。
「で!どーすんだ?
術師入れない帳あんだろ?」
「帳を降ろしてイル術師の居場所まデは…」
「何言ってんの?
壊すに決まってるでしょ」
一般人を襲っている呪霊を片っ端から撃ち抜きながら進む名前。
「大和、あんたの式神一体私に貸して」
「いいけどどーすんの?」
「式神から情報あんたに伝わるでしょ?
大和は七海君、日下部さん、当主にも
式神飛ばして情報共有させて。
多分まだあの人達動いてないから」
「携帯代わりってことね」
「外は伊地知君がしっかりしてるだろうから
中で戦いながら大和なら出来るでしょ」
「呪詛師もいる中?
着いてっちゃ駄目?」
「特級相手にあんた邪魔」
「あ、はい」
すんっ、と表情を無くした大和。
術師を入れない帳の前に来て
名前は帳に触れる。
すると、バチィっと、手が弾かれた。
「大丈夫か?」
「ふーん……時間が無いから手荒に行こうか」
「………お前、年々五条に似てきてるな」
「夫婦ですから」
くすり、と笑う名前。
帳に手をかざし、1人分の綻びを作る。
「ハ?」
「この帳壊してもいいけど、
壊した途端に呪霊噴き出す……ってなったら困るからとりあえず私先に行くね」
「そんナ簡単ニ……」
「こいつ、五条の嫁だぞ?
チートなことするのわりと普通だから。
ほら、お前のお気に入り」
「もふもふ!!何だか久しぶりだね」
「死ぬなよ」
「死なないよ」
くすり、と笑って帳の中に入ろうとしたら
突然響いた声。
「ナナミーーーン!!!!」
帳の中に響き渡る大声は虎杖くんのもの。
「ナナミンいるーーー!??
五条先生があっ
封印されたんだけどー!!!」
「………あいつヤベー。七海に殺られるぞ」
「ははっ!!けどこれで全員に伝わったね」
「俺、ここ待機してたら皆来そうだな」
「携帯役よろしくね」
とぷん、と中に入れば
元に戻った帳。
「さて……と、お姫様を救出に行きますか」
目の前には呪霊達。
下手に帳を解放しなくて
良かったかもしれないと
一歩踏み出せば呪霊が襲いかかって来た瞬間
そのまま浄化されていく。
「ごめんね。
一般人にも君たちにも構ってる暇無いんだ」
「………意外だナ。優しイ人間だと思っていタ」
「そう?私は非情な人間だよ。
大切なモノとその他ではっきりさせてるから
捨てるものは捨てちゃうの」
全員は助けられない。
だから私は私欲で動く。
走って地下へと急ぐ。
人が襲われていても、通行の邪魔をする者だけ
祓って進む。
吹き抜けている部分へ飛び込めば
違和感に気付く。
人は沢山いるのに、全員が呆然としていて
生きているのに、意識が無い。
立ったまま気絶しているような……
「悟の領域展開?」
ここで?
しかし、この人工密度の中領域展開を
したとして、全員が生きている。
「しっかりしロ。目の前だゾ」
「………そうね。人間は後回しでいいわ」
コツリ、コツリと名前の足音だけが響く。
立ったまま気絶している人間達の間
何かを囲うようにしている特級呪霊達。
「何か楽しいモノでもあるのかしら?」
「………何故呪術師がここに」
「こんばんは、特級さん達。
いきなりだけどうちのお姫様はどちらかしら?」
「早くない?もう呪術師の帳破られたの?」
「いや、彼女は特殊だから」
火山のような呪霊。
継ぎはぎの呪霊。
樹木のような呪霊の姿は無いが
これらは一度悟と七海が出会っている。
あとは布を被った芋虫のような蛸呪霊に
顔に印の入った2つに縛った人間。
蛸は火山と同類だろうが
印の入った人間はきっと高専から盗まれた
九相図の受肉した1人だろう。
そして………
絶対に居るはずのない人間。
「やぁ、先輩」
額に縫い目がある以外
見た目も、話し方も、雰囲気も
全て私の知る男の姿。
だけど
「どなた?」
「酷いな、先輩。忘れちゃったのかい?」
「生憎、可愛い後輩の皮を被った
偽物のアンタとは知り合いじゃないんだけど
胸くそ悪いからその姿止めてくれる?」
「君も五条悟もキッショいな。
何で違うとわかるわけ?
けど残念。コレは私の身体だよ。
偽物でも無ければ、姿を変えることも出来ないんだ。
五条 悟がコレの処理をきちんとしなかったからね」
「そう……」
目の前の後輩は去年
命を掛けて殺し合いをした。
最期は悟が………。
あの日のことを忘れた事はない。
そして
私達が苦楽を共にし、笑い合った学生時代も。
「返してね。傑の身体」
「君に何が出来る?」
「ふふっ、馬鹿にしてるの?
悟がいなくなったからって
最強がいなくなったわけじゃないのよ?」
「対人戦は苦手だろ?無理するな」
「この女殺していーの?」
「焼けば良かろう」
「特級ごときが舐めてんじゃないわよ」
「「「!!!」」」
破魔の範囲を広げた瞬間
目を見開き動けない呪霊達。
コツリ、コツリと近寄るほど
その力は増す。
「九相図も偽物も破魔は効かない、か」
「そりゃあね」
「小娘………お前、何者だっ」
「すんごいピリピリすんだけど!!」
「ただの嫁だよ」
ぎゃーぎゃー騒ぐ呪霊達。
一気に駆け出し
まずは九相図の首に向かって足を振り抜く。
すぐに腕でガードされたが、身体を捻り
2撃目を。
舌打ちが聞こえ、九相図の横っ面を
銃の持ち手で殴り付ける。
怯んだ隙に胴を蹴り飛ばした。
その勢いのまま振り向いた先にいる夏油を
頭を狙って銃で撃つが、避けられた。
顔に向かって足を蹴りあげれば
簡単に足を捕まれる。
「足癖が悪いね」
「これでいいんだよ」
にっこりと笑い、破魔の範囲を狭める。
すると、呪霊三体は立っていることすら出来ずに
膝を着いてしまう。
目を細める夏油にほくそ笑む。
「相手が特級だろうと、呪霊相手なら
私は悟にも負けないよ」
「対人戦には向いていないだろ?」
「あら?どこの情報?
悟と傑を負かせたのは私だよ」
地面を蹴り、夏油の首へと足を絡ませ
勢いよく身体を捻りながら後ろへ倒れれば
夏油の身体が浮いて地面へと叩き付けられる。
寸のところで足を離し、手を地面に付くことで
頭を打ち付けることを回避したらしいが
離された足を振り上げて踵を落とせば
距離を置き、離れる夏油。
「可愛い後輩の顔ばかり狙うね」
「何かムカつくから」
「私は君のことを気に入っているんだ。
稀にしか現れない破魔の力持ちは
とても貴重な存在だからね」
「使えない力の間違いだよ」
「いーや、使えるよ。
破魔の力持ちは代々贄としてとても優秀だから」
「………何が言いたいの」
「呪霊に毒でもあるが、
最高の餌でもあるってことだよ」
「素直に食べられる気は無いけど」
「食べる?まさか。
それよりもっと有効に活用するさ。
こちらには受肉した脹相がいるからね。
きっと面白い実験になるよ」
笑みを浮かべていた名前だったが
その言葉に眉を寄せて顔を歪ませる。
「趣味悪いわ」
「だから君は殺さないよ」
「そう?けど残念ね。
私の目的は今ここに居ることで
達成しているのよ」
再び綺麗な笑みを見せる名前。
彼女のいる場所は獄門疆の目の前だ。
何かの印を結ぶと
呪霊共々彼女の周りに結界が出来る。
笑っていた夏油は
眉を寄せて名前を睨み付ける。
「お前っ」
「呪霊達は私が近くにいる限り動けないし
むしろこの状況なら
ゆっくり浄化されていってるのかしら?」
「小娘っ」
「まじでダルいし痛いんだけど!!」
「私の目的はお姫様奪還。
もうすぐ優秀な後輩達が来るわ」
「チッ。1人で乗り込んできたかと思えば
確かに君は適任だったね…」
「………傑、ごめんね。
貴方も取り戻したいけど
私は私の大切なモノを優先する。
だから貴方も、私にお姫様扱いされたくないなら
黙っていいようにされてちゃ駄目だよ」
「………っ!!
君たちは本当、厄介な存在だ」
「大和、こっちは問題無いから
偽物に動揺なんてしないで
さっさと帳壊して死なない程度に早く来なさいよ」
最強じゃなくても
特級じゃなくても
出来ることをする。
「さあ、我慢比べしようか」
にっこりと笑い
愛刀を手に立つ名前。
この女、最強の隣に立つことの出来る
唯一の存在也。
あとがき
お姫様奪還先走り。
途中からメカ丸もビックリな
先輩の暴走。
傑の脳ミソ、加茂でしたっけ?
九相図の実験してたあの人っぽくないです?
呪肉した人間なので脹相って
子供作れるんじゃね?とか思ってます。
領域展開されたら終わりだけど
破魔の力は領域展開さえ封じます(笑)
じゅわっと浄化ではなく
じりじり浄化。拷問か。
悟みたくゴリゴリすりつぶすわけじゃなく
じりじり焼いていく(笑)
この夫婦怖い
ご都合主義の別枠の一個。
「名前、ここ来て良かったのか?」
「上はいい顔しないだろーね」
「だよな」
銃を片手に、愛刀を腰に。
式神片手に帳の中を動く二人。
「五条入って結構時間経ったな」
「コレが本当の事言ってんなら急がなきゃ」
「嘘ハ言わなイ」
メカ丸の形をした手のひらサイズの傀儡。
呪霊側と繋がっている容疑者の一人であり、このハロウィンまで姿を消していたメカ丸。
大和と共に帳の中に侵入し、悟の所へと急ぐ。
「五条が封印ねぇ……実感沸かねぇんだけど」
「事実ダ」
「君が既に死んでいて、悟が封印されたのが本当だとしても君のやったことは許されることじゃないよ、メカ丸」
「………わかっていル」
「若いのに命を無駄にするんじゃない。
君一人でどうにかなってんなら、
既に私達は世界征服してんだから」
「確かに。お前と五条ならやりかねない」
「大和、撃つよ」
「シャレにならんからやめて?」
「………もっとマジメに頼ム。
事態ハあまり良く無イ」
「そもそもお前がちゃっちゃと情報伝えていたらこんなことに……ぐはっ」
大和の頭を叩く名前。
しゃがみこみ恨めしい顔をしている。
「それはメカ丸だけの責任じゃない。
私達大人が気にかけてあげられなかった責任だよ」
「イヤ、事実俺ハ仲間を裏切っテ
敵に情報を渡していたんダ。
そう言われテも仕方がなイ」
「理由はどうであれ、今は君が頼りだ。
しっかり働いて来世で幸せになりなさい」
「………俺、名前のそーゆーとこ好き」
「漢前ダナ」
「自分で考えて行動した結果を
今さらあれこれ言わないよ。
……天与呪縛の苦しみは本人にしかわからない。
生きることも、認められる事も
天与呪縛というだけで
この世界から置いていかれる」
おにーさんも、真希も、メカ丸も。
「君が犯した罪は消えることが無いし
許されることではない。
けど、今こうして私達に情報くれ
力になってくれている君が
その命を掛けてまで残したものを私は疑わない」
「………アンタと生きてる内ニもっと話せバ良かっタ」
「惚れちゃうわよ?」
くすり、と笑う名前に
メカ丸も傀儡ではあるのに
ほのかに笑った気がした。
「で!どーすんだ?
術師入れない帳あんだろ?」
「帳を降ろしてイル術師の居場所まデは…」
「何言ってんの?
壊すに決まってるでしょ」
一般人を襲っている呪霊を片っ端から撃ち抜きながら進む名前。
「大和、あんたの式神一体私に貸して」
「いいけどどーすんの?」
「式神から情報あんたに伝わるでしょ?
大和は七海君、日下部さん、当主にも
式神飛ばして情報共有させて。
多分まだあの人達動いてないから」
「携帯代わりってことね」
「外は伊地知君がしっかりしてるだろうから
中で戦いながら大和なら出来るでしょ」
「呪詛師もいる中?
着いてっちゃ駄目?」
「特級相手にあんた邪魔」
「あ、はい」
すんっ、と表情を無くした大和。
術師を入れない帳の前に来て
名前は帳に触れる。
すると、バチィっと、手が弾かれた。
「大丈夫か?」
「ふーん……時間が無いから手荒に行こうか」
「………お前、年々五条に似てきてるな」
「夫婦ですから」
くすり、と笑う名前。
帳に手をかざし、1人分の綻びを作る。
「ハ?」
「この帳壊してもいいけど、
壊した途端に呪霊噴き出す……ってなったら困るからとりあえず私先に行くね」
「そんナ簡単ニ……」
「こいつ、五条の嫁だぞ?
チートなことするのわりと普通だから。
ほら、お前のお気に入り」
「もふもふ!!何だか久しぶりだね」
「死ぬなよ」
「死なないよ」
くすり、と笑って帳の中に入ろうとしたら
突然響いた声。
「ナナミーーーン!!!!」
帳の中に響き渡る大声は虎杖くんのもの。
「ナナミンいるーーー!??
五条先生があっ
封印されたんだけどー!!!」
「………あいつヤベー。七海に殺られるぞ」
「ははっ!!けどこれで全員に伝わったね」
「俺、ここ待機してたら皆来そうだな」
「携帯役よろしくね」
とぷん、と中に入れば
元に戻った帳。
「さて……と、お姫様を救出に行きますか」
目の前には呪霊達。
下手に帳を解放しなくて
良かったかもしれないと
一歩踏み出せば呪霊が襲いかかって来た瞬間
そのまま浄化されていく。
「ごめんね。
一般人にも君たちにも構ってる暇無いんだ」
「………意外だナ。優しイ人間だと思っていタ」
「そう?私は非情な人間だよ。
大切なモノとその他ではっきりさせてるから
捨てるものは捨てちゃうの」
全員は助けられない。
だから私は私欲で動く。
走って地下へと急ぐ。
人が襲われていても、通行の邪魔をする者だけ
祓って進む。
吹き抜けている部分へ飛び込めば
違和感に気付く。
人は沢山いるのに、全員が呆然としていて
生きているのに、意識が無い。
立ったまま気絶しているような……
「悟の領域展開?」
ここで?
しかし、この人工密度の中領域展開を
したとして、全員が生きている。
「しっかりしロ。目の前だゾ」
「………そうね。人間は後回しでいいわ」
コツリ、コツリと名前の足音だけが響く。
立ったまま気絶している人間達の間
何かを囲うようにしている特級呪霊達。
「何か楽しいモノでもあるのかしら?」
「………何故呪術師がここに」
「こんばんは、特級さん達。
いきなりだけどうちのお姫様はどちらかしら?」
「早くない?もう呪術師の帳破られたの?」
「いや、彼女は特殊だから」
火山のような呪霊。
継ぎはぎの呪霊。
樹木のような呪霊の姿は無いが
これらは一度悟と七海が出会っている。
あとは布を被った芋虫のような蛸呪霊に
顔に印の入った2つに縛った人間。
蛸は火山と同類だろうが
印の入った人間はきっと高専から盗まれた
九相図の受肉した1人だろう。
そして………
絶対に居るはずのない人間。
「やぁ、先輩」
額に縫い目がある以外
見た目も、話し方も、雰囲気も
全て私の知る男の姿。
だけど
「どなた?」
「酷いな、先輩。忘れちゃったのかい?」
「生憎、可愛い後輩の皮を被った
偽物のアンタとは知り合いじゃないんだけど
胸くそ悪いからその姿止めてくれる?」
「君も五条悟もキッショいな。
何で違うとわかるわけ?
けど残念。コレは私の身体だよ。
偽物でも無ければ、姿を変えることも出来ないんだ。
五条 悟がコレの処理をきちんとしなかったからね」
「そう……」
目の前の後輩は去年
命を掛けて殺し合いをした。
最期は悟が………。
あの日のことを忘れた事はない。
そして
私達が苦楽を共にし、笑い合った学生時代も。
「返してね。傑の身体」
「君に何が出来る?」
「ふふっ、馬鹿にしてるの?
悟がいなくなったからって
最強がいなくなったわけじゃないのよ?」
「対人戦は苦手だろ?無理するな」
「この女殺していーの?」
「焼けば良かろう」
「特級ごときが舐めてんじゃないわよ」
「「「!!!」」」
破魔の範囲を広げた瞬間
目を見開き動けない呪霊達。
コツリ、コツリと近寄るほど
その力は増す。
「九相図も偽物も破魔は効かない、か」
「そりゃあね」
「小娘………お前、何者だっ」
「すんごいピリピリすんだけど!!」
「ただの嫁だよ」
ぎゃーぎゃー騒ぐ呪霊達。
一気に駆け出し
まずは九相図の首に向かって足を振り抜く。
すぐに腕でガードされたが、身体を捻り
2撃目を。
舌打ちが聞こえ、九相図の横っ面を
銃の持ち手で殴り付ける。
怯んだ隙に胴を蹴り飛ばした。
その勢いのまま振り向いた先にいる夏油を
頭を狙って銃で撃つが、避けられた。
顔に向かって足を蹴りあげれば
簡単に足を捕まれる。
「足癖が悪いね」
「これでいいんだよ」
にっこりと笑い、破魔の範囲を狭める。
すると、呪霊三体は立っていることすら出来ずに
膝を着いてしまう。
目を細める夏油にほくそ笑む。
「相手が特級だろうと、呪霊相手なら
私は悟にも負けないよ」
「対人戦には向いていないだろ?」
「あら?どこの情報?
悟と傑を負かせたのは私だよ」
地面を蹴り、夏油の首へと足を絡ませ
勢いよく身体を捻りながら後ろへ倒れれば
夏油の身体が浮いて地面へと叩き付けられる。
寸のところで足を離し、手を地面に付くことで
頭を打ち付けることを回避したらしいが
離された足を振り上げて踵を落とせば
距離を置き、離れる夏油。
「可愛い後輩の顔ばかり狙うね」
「何かムカつくから」
「私は君のことを気に入っているんだ。
稀にしか現れない破魔の力持ちは
とても貴重な存在だからね」
「使えない力の間違いだよ」
「いーや、使えるよ。
破魔の力持ちは代々贄としてとても優秀だから」
「………何が言いたいの」
「呪霊に毒でもあるが、
最高の餌でもあるってことだよ」
「素直に食べられる気は無いけど」
「食べる?まさか。
それよりもっと有効に活用するさ。
こちらには受肉した脹相がいるからね。
きっと面白い実験になるよ」
笑みを浮かべていた名前だったが
その言葉に眉を寄せて顔を歪ませる。
「趣味悪いわ」
「だから君は殺さないよ」
「そう?けど残念ね。
私の目的は今ここに居ることで
達成しているのよ」
再び綺麗な笑みを見せる名前。
彼女のいる場所は獄門疆の目の前だ。
何かの印を結ぶと
呪霊共々彼女の周りに結界が出来る。
笑っていた夏油は
眉を寄せて名前を睨み付ける。
「お前っ」
「呪霊達は私が近くにいる限り動けないし
むしろこの状況なら
ゆっくり浄化されていってるのかしら?」
「小娘っ」
「まじでダルいし痛いんだけど!!」
「私の目的はお姫様奪還。
もうすぐ優秀な後輩達が来るわ」
「チッ。1人で乗り込んできたかと思えば
確かに君は適任だったね…」
「………傑、ごめんね。
貴方も取り戻したいけど
私は私の大切なモノを優先する。
だから貴方も、私にお姫様扱いされたくないなら
黙っていいようにされてちゃ駄目だよ」
「………っ!!
君たちは本当、厄介な存在だ」
「大和、こっちは問題無いから
偽物に動揺なんてしないで
さっさと帳壊して死なない程度に早く来なさいよ」
最強じゃなくても
特級じゃなくても
出来ることをする。
「さあ、我慢比べしようか」
にっこりと笑い
愛刀を手に立つ名前。
この女、最強の隣に立つことの出来る
唯一の存在也。
あとがき
お姫様奪還先走り。
途中からメカ丸もビックリな
先輩の暴走。
傑の脳ミソ、加茂でしたっけ?
九相図の実験してたあの人っぽくないです?
呪肉した人間なので脹相って
子供作れるんじゃね?とか思ってます。
領域展開されたら終わりだけど
破魔の力は領域展開さえ封じます(笑)
じゅわっと浄化ではなく
じりじり浄化。拷問か。
悟みたくゴリゴリすりつぶすわけじゃなく
じりじり焼いていく(笑)
この夫婦怖い