桜花歳時記
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八十八夜
左門「燕も飛び交い、いよいよ五月! 五月一日は八十八夜だ!」
三之助「そっか、そういえば小松田さんが茶摘みしてたっけ…」
作兵衛「夜もあんまり寒くなくなったし、良い季節になったよな。…ところでよ、左門が抱えてるその木箱は一体なんなんだ? まさか、また何か備品壊したんじゃねえだろうな」
左「ち、違うぞ! この箱は備品じゃない! ところで八十八夜といえば、お茶だろ!?」
作「な、なんだ急に?」
三「お茶、流行ってるよな。学園長先生がお茶好きな方だし…」
左「潮江先輩から聞いたんだが、八十八夜にお茶飲むと一年間無病息災らしいぞ! と、いうわけで、みんなでお茶の作法をこの期に習おうと思う!」
三「みんなでって…おれらも…?」
作「しかし、おめーほど、茶の湯の似合わねぇ奴はいねえな、左門…」
左「何を言うんだ! 僕はお茶大好きだぞ! 委員会の仕事で徹夜の時はお茶を渋くして飲むんだ! 目が冴えることこの上なし!」
三「おお、会計委員会はそうやって夜を乗り切ってんのか…、っつか…やっぱり力わざか…」
作「胃、悪くしねえのかよ?」
左「確かに吐くほどキツイが、吐くのはお茶のせいじゃない気がするぞ!」
作「そ、そうだな…」
左「しかし、茶道の作法がわからないな。立花先輩や遥先輩ならこういうの得意そうなんだが、ひとっ走り聞いてこようか!」
作「やめろ、こんなことで先輩方の手を煩わせるんじゃねえよ! そしておめえはそこから動くんじゃねえ!」
三「なあ、ところで左門、さっきから気になってたんだけど…、お前が抱えてる木箱の中身、すげーガチャガチャいってないか…?」
作「そうそう、備品じゃねえならなんなんだ、そりゃ」
左「そうだ、というわけで! これは、学園長先生からお借りしたお茶の道具だ!」
作「か、かしてくれたのか!?」
左「ああ!『茶の湯を習いたいじゃと?良かろう、お茶には鎮静作用もあるからの。少しはお前たちも落ち着きをもちなさい』って二つ返事でかしてくれたぞ!」
三「じゃあそれ茶碗とかか? 左門、お前、その木箱いまガチャンって置いたよな…」
左「おお、そういえば」
三「茶の湯の道具って、高いんだよな、作兵衛」
作「……………………」
左「作兵衛?」
三「うぉい、作兵衛! しっかりしろ!」
左「やっぱり急須からいれるお茶が一番だよな!」
三「お茶請け欲しいな」
作「ああ、そういやこの前食満先輩にもらった梅干しがあるんだ…食う?」
三「おー、気が利くな、作兵衛」
左「なあなあ、お茶の鎮静作用ってすごいな、三之助! 例え現実逃避だとしても!」
三「左門、ちょっと黙っててくれ、な?」
2012年五月の拍手文。加筆修正あり。
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