桜花歳時記
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学園大豆畑計画
八左ヱ門「あ、先輩!こっちこっち!」
『ハチ…どうした、五年生揃って。まだ昼ご飯を食べてなかったのか?』
勘右衛門「せんぱいぃ、見たら分かるでしょ、おれたち実習明けですよ…」
『おわ、勘右衛門、髪の毛がますます不可思議な感じに乱れてるぞ』
雷蔵「先輩もお食事まだなんですね、ご一緒しませんか?」
『雷蔵…、お前も髪の毛凄いが…いろんなものくっついてるが…あれ、風呂上がりは落ち着いてたよな…?』
雷「あれは椿油ですいてますから。油断して湿気にあたるとこうなっちゃうんです」
三郎「センパイ、ご飯なに食べますか?」
『鉢屋、せめてお前だけでもモサモサウィッグはずせ。雷蔵に合わせなくていい。食事の時に邪魔だろうが…』
兵助「みんな、豆腐定食でいいよな!」
八「おれらも豆腐か!?」
兵「これから寝るんだから、あんまり重いもの食べると胃もたれするぞ」
八「おれ胃袋丈夫なんだよ」
勘「おれもけっこう平気」
雷「ぼくも寝る前に何食べても大丈夫だけど、豆腐で良いよ」
三「わたしデリケートだから豆腐で」
兵「おばちゃん、豆腐定食六個ー!」
『久々知は豆腐好きだな』
兵「あ」
三「あ、センパイ、これあげます」
『こら、鉢屋。嫌いなおかずを寄越すな。ちゃんと食べなさい、ほら小さく切ってあげるから』
三「い、いいですよ、いいですよ、ちゃんと食べますから」
勘「あ、先輩、知ってる?新しくできたうどん屋さんが美味しいらしいんですよ」
『勘右衛門は飲食店関係強いな』
勘「えへへ」
雷「そういえば、先輩が読みたいって言ってた新刊本がはいったそうですよ」
『あ、じゃあ、後で顔を出す。雷蔵が今日の図書室当番?』
雷「はい、待ってますね」
八「先輩、あの――」
兵「先輩!私の名前を呼んでください!」
『久々知?』
兵「それですよ、それ…。他のメンバーはみんな愛称とか名前とかなのに、どうして私だけ苗字で呼ぶんです」
『どうしてって…』
雷「三郎も『鉢屋』だよね」
兵「コイツはもともと『三郎』だったのを『鉢屋』って呼んでくださいっていったんじゃないか、贅沢だ!」
三「そ、それはさておき!」
八「五年生きて来て今さら…」
兵「だって勘右衛門は学級委員長委員会に入って『尾浜』から『勘右衛門』になったのに…この際私も名前で――…」
八「だって兵助、そんなに先輩と絡みがないじゃねえか」
兵「…か、絡んでるっ!ちゃんと喋ってる!ね、先輩!」
『ああ』
八「先輩と兵助ってなに喋ってんだ?会話成り立つのか?どっちもほぼ天然ボケじゃねえか」
兵「だれが天然だ。天然で許されるのは豆腐だけだ」
八「だからお前は許されねえよ、反省しろよ、豆腐小僧」
勘「そういえば、長屋の縁側でよく本を広げてるけど…あれって何を喋ってるんです?」
『ああ、学園の使ってない場所に畑を作ろうかと思って…』
八「畑…?」
兵「大豆畑」
八「やっぱりか!言うと思ったよ、大豆馬鹿二人!」
『何を言う、大豆は立派な蛋白源だ。籠城の際には必ず役に立つぞ!丁度いい!』
兵「そうだ!それに大豆は畑の土を肥やすんだ!丁度いい!」
八「漢方の黒大豆なら、薬草園に植えてありますよ!?――…ぐっちゃぐちゃになったけど…」
三「あきらめろ、無駄だ」
八「…おれたちこのまま学園生活、肉食えなくなるのかな…」
三「しっかりしろ、八左エ門。そんなことはないさ、そんなことは――…」
兵「そういうわけで、名前で呼んでください」
『うーん…しかしな…』
雷「先輩、何か問題でも」
『久々知は三文字なんだ』
八「はい?」
『兵助だと四文字…字数が多いと咄嗟に呼ぶ時長いからな…』
雷「そんな一文字なのに…」
兵「こういうところは先輩やっぱり『六年ろ組』だなあって実感しますね…」
雷「でもさ、そうすると勘右衛門はよく『尾浜』の三文字から『勘右衛門』の五文字に呼び方変えてもらえたね」
勘「ああ!そうそう、委員会に入った時に同じような事言われた!」
雷「で?」
勘「で、じゃあ『勘ちゃん』って呼んでくださいっていったんだけど、長い沈黙の後で『勘右衛門』にするって言われたんだ!ね、先輩!」
『まあな』
勘「勘ちゃんって呼んでくださってもいいんですが」
『いや…、そのうちな』
「「「「勘ちゃん策士………」」」」
2010・11月拍手文(加筆修正あり)
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