事務員さんの一服
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「よし、だいたい、片付いたか」
書類を整理して、床を拭き、とりあえず本を棚に戻した。それだけなのに、この疲労感はなんだろう。
「先輩、富松先輩放していいですか?」
ああ、そうだった、と遥は喜三太としんべヱに抑え込まれている作兵衛を覗きこんだ。
「大丈夫か、作兵衛」
「……あれ、俺は、一体何を…」
ズルズルとしんべヱの下から救い出せば、首をふってそう答える作兵衛。
記憶が若干飛んでいるようだが、とりあえずそれは都合がよい。
「小松田さん、俺は一体何をしてたんですか?」
「うーん僕もよく…。とりあえず、お茶でもいれるよ」
慌てて遥は「私が淹れますから!!!」と叫ぶ。これ以上散らかっていく事務室を見るのは忍びない。
白湯を口に含むとようやく一息ついた。作兵衛としんべヱも大きく息を吐いていた。
「遥さんをお嫁さんにすると安心だね」
ほのぼのと五人、机を囲んでお茶を飲んでいると、唐突に秀作は口を開いた。それに、ぶっとお茶をふきだしたのは、作兵衛。
「作兵衛!」
「すんませんっ」
つい、と言いながら彼は苦笑いする。まさかまさか。この学園で、彼女をそう評価する者がいようとは。
――何だ、八左ヱ門といい、作兵衛といい…。
遥が額を押さえると、一年生の二人は、キラキラとこちらを向いている。
「僕も、そう思いまーすっ」
「先輩、優しいし~」
「お前たち、本気で言ってんのか?」
思わず作兵衛が前かがみで一年生に寄ると、おい、とぺしっと頭をたたかれる。
「で、でも、遥先輩、食満先輩と付き合ってるんですよね」
頼りない事務員よりは、多少過保護で熱血で喧嘩っ早くても、自分の先輩の方がましだ。
先輩に頼るのはなんだか癪に障るが、この事務員が一直線に真面目なのは、周知の事実。
遥に盲目になる前に、釘をささねば。
作兵衛がそう牽制すると、小首を傾げて秀作は遥を見る。彼女は神妙な相貌でぶんぶんと手を振っている。
「まさか!」
「じゃあ、他の六年生の誰かと付き合ってるんですかあ?」
しんべヱは先ほど以上にほんわかとした表情で遥を見る。
「あのな…。私は今のところ忙しくて…」
しんべヱに、向き直って、諭そうとすると、今までナメクジさんに夢中だった喜三太が声を上げる。
「ええ?でも、遥先輩には、与し――むっ」
「頼むから、この学園でアイツの名前は出すな、喜三太。っていうか、誤解だから、それも」
饅頭を、喜三太の口の中いっぱいに放り込む。
しんべヱと秀作は、首をかしげてそのやり取りを見る。風魔時代の話かな、と勝手に納得した。少なくとも、現在彼女は学業と雑用に忙しいらしい。
「じゃあ先輩は、どんな人がいいんですかあ?」
しんべヱに聞かれて、きょとん、と遥は喜三太を手放す。
「どんな?」
「はい、僕でも大丈夫ですかあ?」
「うん、そうだね」
これには予想していなかったのか、作兵衛と喜三太は目を見開いた。いいんだ…と秀作が真剣に頷いた。
.
