おかえり
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意外だ、と留三郎は思った。
七松小平太が、思ったよりも落ち着いていたから。
てっきり、遥が帰ってきたとなれば、騒ぐか笑うか暴れるかすると思ったのだが。
伊作も、同じように考えていたようで、視線が合う。互いの心中で苦笑しあった。
「しかし、何を考えているんだ、アイツは」
定食の漬け物を口に放り、文次郎がブツブツと文句を言う。「帰ってきたにも関わらず、ちっとも姿を見せやしねえ」と眉根を寄せている。
留三郎も、こればかりには突っ掛かる気にもなれず、本当にな、と茶碗を置いた。
「顔、合わせ辛いんじゃないかな…」
伊作が、湯呑みから視線を外さずに呟く。
仙蔵が「まあ、風魔に行くと言った時に、誰かさんが思い切り怒鳴りつけたしな」と、受ける。
視線が集まり、文次郎は本日何度目かの舌打ちをして、みそ汁をすすった。
「誰かさんたちは、見送りにも来なかったし」
伊作が再び、ぽつりとこぼす。
見送りに来なかった、ろ組の二人はぴたりと箸を止めた。
「もう、済んだことだ!」
「………」
「しかしまあ、遥も確かに気まずいのかもな…」
坂東相模は足柄山。風魔にたって半年近く。一向に文も音沙汰もなかった。留三郎の言葉に、食堂はしん、となった。
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