大器晩成型
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一日早いが、友人たちの何人かは補習授業を受けるために、登校しているはずだった。
中在家長次が峠を越え、学園までの一本道に差し掛かった頃、後ろの方から自身の名を呼ばれた。
「中在家先ぱーいっ!」
元気に駆け寄ってくる、私服姿の少年。
きり丸。
そう、微かに呼ぶと、彼はそれをきちんと聞き取って「へへっ」と笑った。きり丸と中在家長次は、同じ委員会に入っている。
きり丸は、無口で無表情な長次に、物おじしないで話し掛ける奇特な一年生の一人だ。普段のややキツい言動も、目端が効く証拠だと、長次は思っている。
「…きり丸」
お前は補習があると言っていたはずだ。何故いま、こんな所に?
そう尋ねようとした長次を見て取ったのか、きり丸は、いやあ、と頭をかいて後ろを指差す。
「子守のアルバイトが終わらなくて」
指した先には、一年は組の担任、土井半助のやつれた姿。
「すっかり補習の事忘れて、引き受けちゃってて」
なるほど、赤ん坊を放り出すわけにもいかず、結局遅刻覚悟で半日、子守をしたわけか。
一年は組の教科担当教師である土井半助は、長次をみとめて首をかしげる。
「六年ろ組の中在家長次…、まさかお前は補習じゃないだろう? どうしたんだ、まだ登校するには早いだろうに」
「………小平太が、補習でいるはずなので」
「あー…そうか、七松小平太か。放っておくと部屋が半壊するだろうしな、大変だな、お前も」
半助にボソッと返すと、さすがは忍びか、一を聞いて十を悟ってくれた。
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