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「何…?」
先に学園に着いていた食満留三郎は、しばらく聞かなかった名前に、ポカンと口を開けた。
学園は全寮制だ。長屋が用意され、二人、もしくは三人で使うのが普通だった。
同室の善法寺伊作は、部屋に転がり込んできたかと思うと(文字通り、板の間の段差に躓いて転がり込んできた)、息を整えるよりも早く、一言、叫んだ。
遥が、帰ってきた!と。
「アイツは、相模の風魔に留学中だろが」
「だから、帰ってきたんだよ!」
半年前。
唐突に決まった留学で、何も言わずに遥は、学園を去った。
いや、同じ組で、同室者の二人は何か聞いていたのかもしれないが。
少なくとも、は組の二人は当日まで何も知らないまま遥を送り出した。
当時はその事実に悔しいやら情けないやらで、自身には珍しく怒っていたものだが、半年も過ぎれば頭も冷える。
今はただ、同級生が慕わしい。
「遥か…」
伊作に事の次第を聞けば、あやふやなことこの上ない。
「名前と背格好が同じってだけだろうよ」
無駄な期待はしたくない。
たった半年会わないだけだったが、懐かしい、あの声が蘇る。
「留三郎、あの小平太が確信してるんだ」
遥が帰ってきてるって。
そう伊作に言われれば、留三郎も、唸るしかない。
小平太の勘と仙蔵の火薬の腕は疑うな。それが最高学年である六年生の常識だ。
「それが本当なら、遥は学園長の所だろうな」
補習の後にでも、学園長の庵に行ってみようか。
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