学園長の我儘
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美しい竹林は、朝から続く細い雨にぬれて、いっそう青々しく幻想的だ。
その露地の中を抜けていくと、小さな茶室が姿を現す。
学園のほぼ中央にある学園長の庵は、竹林と池の中にあり、騒々しい学舎からは想像がつかないほど、静かでたおやかな空間だった。
「遥や」
「はい、学園長」
「こうして、細い雨の続く日、ふと思うのじゃ」
はい、それだけ呟いて、遥は傍に控えている。
大川平次渦正は、軒にしたたる滴を数えた。
「わしはもう、長くない」
「………学園長」
「だから、生きているうちに、その日一日を大切に過ごすべきだと思うのじゃ」
「…そんな事を、おっしゃるものではありません…」
遥、だからな。
学園長は、遥を振り返る。
「わしは、峠の茶店の団子が食べたい」
「そんなわけで!鉢屋!学級委員長委員会、集合だ!!」
遥の号令に、渡り廊下で控えていた鉢屋三郎は、猛ダッシュで逃げ出した。
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