会計委員会のかく乱
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「こんの…っ、大馬鹿者っ!」
保健室で叫ぶ遥の言葉を、否定するものはいなかった。というよりも、だれしもが肯定して頷いた。
「なんで、会計委員が全員、熱出してるんだよ!」
「鍛え方が足りんっ」
そう言ってなおも胸を張る会計委員長に、遥はそうか、と言って忍び刀を取り出した。
「そうだな、言ってわからない石頭には言っても無駄だった。すまなかった」
「お、おい、遥、だからってなんで柄に手をかける!?」
「忍び刀というものは、狭い室内でも振り回せるように出来ている。止めるなよ、伊作」
「うん。今回ばかりは、僕も止めてあげないよ、文次郎」
「ちょ…っ」
「大丈夫だ、一瞬で済む」
何が大丈夫なものか。文次郎が慌てて算盤を出す。それで、どうやって居合い抜きに対抗するというのかは謎だ。
遥が何か言おうとする前に、布団の中から「ちょ、ちょっと待って」という声が上がる。会計委員会の一年生だ。
「加藤団蔵」
「遥先輩、潮江先輩は悪くないですから……」
「伊作せんぱ…っ、つっ」
「ああ、もう、田村、駄目だよ無理をしたら…」
「伊作の言う通りだ。お前たちそろって熱を出したんだからな」
「…ふん」
文次郎は日ごろから険しい顔をますます険しくして、後輩たちの枕元――保健室で胡坐をかいていた。
会計委員会の面々が、熱を出した。事件ともいえるその報せは、またたく間に学園を駆け巡る。会計委員会といえば、鍛錬と称して10キロの算盤を持って走り込みをしたり、三日三晩の完全徹夜をこなす、屈強な猛者たちだ。
言わずもがなの不運…もとい、保健委員会。
会計委員会と同じような目に、いやそれ以上の酷い目に合う体育委員会。
その二つと並んで、現在入りたくない委員会アンケートトップスリーを飾る。
そのキツイ活動に耐えうる彼らが、熱?
誰もがこう思ったに違いない。
絶対何かまた徹夜でやらかしたんだ。
頭の手ぬぐいを取り換えながら、伊作は大きくため息をついた。
「まあ、一週間ほとんど徹夜の後に曲者退治で大立ち回り、とどめに池で寝れば、だいたいこうなるはずなんだけどね…」
「ちっ、こいつらの具合は」
「疲労から来る一時的な熱だから、心配ないと思うけど」
そうか、と文次郎はそれ以上喋らずに、目を閉じた。
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