立花千姫様の買い物
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「おい、遥」
渡り廊下を歩いていた遥は、名を呼ばれて足を止めた。振り向けば、美しい少女がヒラヒラと手をふっている。
つややかな、みどりなす黒髪。
陶器のような白い肌に、紅をひいた薄い唇。
「仙蔵……」
遥がつぶやくと、立花仙蔵は、上等の小袖を着込んでくすりと笑った。
「なんだ、その顔は。私がせっかく着飾っているのだ。何か言うことはないのか?」
「いや、相も変わらずお美しいことで」
「うん」と仙蔵は満足そうにうなずいて、遥に紙面を手渡した。
「外出届?」
「お前の分も出してきた。町へ行くぞ」
「え?」
「ええっ! 二人とも町に出るのか!?」
「小平太、いつの間に」
背後にいた七松小平太が詰め寄ってきた。
「私も行きたい!」
「で、では、七松委員長、今日の委員会は中止ですね!?」
小平太の言葉に、彼に付き従う滝夜叉丸は声を高くする。
「小平太、別に遊びに行くわけじゃない。今日は我慢しろ」
「えー……」
「ええー……」
仙蔵に無下にされ、唇を尖らせて、小平太と、ついでに滝夜叉丸は不満をもらす。
「でも、何しに行くの?」
遥は尋ねる。
仙蔵はくすりと笑って後ろの小袖姿の子どもを指差した。彼女、いや、彼はペこりと遥に向かって頭を下げた。
「え、確か、一年は組の作法委員会……」
「委員会活動だ、付き合え、遥」
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