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逃げよう、と踵を返したその時。
化け物の手が私の腕をかすった。
「うっ…!」
化け物、黒いモヤを纏っているのに手や腕の形ははっきりとあって、私はそれのせいで腕に傷ができ、大量の血がでてきた。
どうにか逃げようと化け物を背にして駆け出すが、足がまともに動かず倒れてしまう。
そのとき、ふと目に入ったのは、皮肉かと思ってしまうほど綺麗な十六夜月だった。
こんな時なのに。おばあちゃんの言葉を思い出す。
十六夜月の夜に、あの大きな4本の木に近寄っては行けないよ。南から北にその4本の木が作る正方形の中に入ってしまったら、あの世へと連れ去られてしまうからね。
もしかして私…。
ああ、おばあちゃんの言うことをよく聞くんだった。
きっとおばあちゃんの言っていたことが本当で、この化け物にあの世に連れていかれてしまうんだ…。
こんな時なのに、月を見上げながらそんなことをぼーっと考える。
「ケヒッ、ケヒッ…」
と、その化け物は、いとも軽々と私の上を飛び越えて、私の正面にまわる。
私を頭からでも食べるつもりか。
ごめんなさい、おばあちゃん、お母さん、お父さん、みんな…
死を覚悟してぐっ、と目をつぶった。