第一章 誰が為
お名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
は、速い…!
女の子の姿が視界ギリギリに入る距離をなんとか保ちつつ追いかける。
すると、女の子は急にビルとビルの間の細い路地に入った。
女の子を追いかけるのに必死で気づかなかったけど、大通りから外れた少し廃れた通りまで来ている。
「ねぇ、ちょっと、大丈夫…?!」
女の子が曲がっていった路地にようやく私もたどり着き、息を切らしながら言う。
カァン!!!
鋭い金属音がして、その音に驚き顔を上げると、女の子の後ろ姿のむこうに、黒いモヤがシュワ…っと消えていくところだった。
「大丈夫?!」
私は慌ててかけよる。
「大丈夫よ。ちょうどザコを祓ったところ。でも、突然こんなところに呪霊がでるのはおかしいわね。ちょっと伊地知さんに連絡するから待ってて。」
じゅ、じゅれい…?
女の子は私に構わず電話をかける。
「伊地知さん、近くにいるから、ここに来てくれるそうよ。お姉さん、荷物持たせた上に走らせちゃってごめんね。」
「ううん、大丈夫。それより呪霊、って言うのは…。」
「ああ、この前お姉さんが見たあの化け物よ。今私が祓ったのは、この前ほど強い呪霊じゃなかったけど。でも、この世界には、思ったよりも多くの呪霊がいてね。それが人間を襲ったりするのよ。そんな奴らから、人間を守るために私たちがいる。ただの高校生に見えるかもしれないけど、こう見えても、呪術師、っていう、仕事してるのよ、私。」
「そう、なんだ…。人間を守ってる…。」
「大層な話に聞こえるかもしれないけど!でも、私は、私が私であるために呪術師を続けてる。自分らしくあるために。」
ああ、そうか。
自分らしく。そして誰かのために。人を守るために。
呪霊、というものが見えるのも私らしさであって。そしてその力を使って人を守ることが出来るのはわたしにしかできないことであって。
こんなことを知った以上、私はこれまでのようにただただ毎日を過ごすことは出来ない。
「ね、ねえ!」
「わ、びっくりした。どうしたの、お姉さん?」
「私にも、なにかお手伝いできないかな?!」