5億の女
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翌日は新しい戦艦の進水式が行われる予定で神威たちも是非と言われて参加することになっていた
そこにはもちろん設計開発の責任者である花梨も参加していた
彼女は総責任者としての席に座ってその戦艦がドックから姿を表すのを待っていた
神威たちも来賓席に座る
ドックがあき、その戦艦がゆっくりと姿を現した
美しいミッドナイトブルーの旗艦級大型戦艦は全長1400M、変更式武装ユニットを搭載しスピード重視するための流線型の形で高速戦艦として開発と紹介された
神威たちは実際その戦艦を見たのは初めてだった
花梨が携わり設計開発したその戦艦の姿に神威はこんなモノを作れる花梨に尊敬の念を抱いた
そしてあとは巡洋艦、駆逐艦と紹介されていく
これらの責任者が花梨だなんて、あの牢獄で文句たらたら言ってた人と同じだとは到底思えない
椅子に座る彼女はとても満足そうにその戦艦を見つめていた。
そして空を埋め尽く戦艦、巡洋艦、駆逐艦とともにその大型戦艦は試験運行とデータ収集のために外宇宙へと飛び立っていった。
その後は慰労会も兼ねたパーティが開かれ軍の要人、政府関係者、様々な取引関係者が招かれ神威たちもそこにいた。
会場自体がかなり広く、誰がどこにいるかわからない状態でただ服装で軍人かどうかだけは判別できていた。
神威は政府関係者が話しかけてくるので協定のこともあり差し障りなく話をしつつも、食欲には勝てずビュッフェでずっと食べている状態だった
その神威の代わりに阿伏兎が忙しく動き回るが毎回のことなので阿伏兎自身もしかたねえと言った具合で様々な要人と会っていた。
春雨にはこう言った付き合いも大事なことだ
花梨は仲間たちと今回の進水式の成功を祝い乾杯してお互いを慰労し合い、今手掛けている新しい新造艦の話に沸き立っていた
花梨は途中から会場をそっと抜け出して外に出た、
誰もいない広場のベンチで仕事用のタブレットに電源を入れ、ダウンロードしておいた書籍を開いて読み出した。
それは宇宙航空原理について書かれている本
読もうと思ってなかなか読む時間がなく、こう言う時間に読もうと退屈な会場を出てきたと言うわけだ
読みだすと、集中して周りの音も聞こえなくなるのが花梨の癖で神威が話しかけても全く気づかない様子で目の前に立っても気づかない
神威にすればガン無視されてる?と勘違いしかねない状態で、耳元で聞こえるように名前を呼んだ。
びくっと体を震わせて何が起こったのかわからないような花梨にニコニコと
「さっきから呼んでるのにまるっきり無視だね〜」と言った
「あ、ああ〜ああ〜。そう〜、ごめんなさい。集中すると全く周りの音が聞こえなくて」
あたふたしながら手を合わせて神威に誤った
ストンと花梨の横に座るとタブレットを覗き込む神威に
「これ?読みかけの本よ、こういうときしか読めないから」そう言って見せてはくれるが
文字がいっぱいすぎと何かわけのわからないアルファベットに難しそうな数式まで書かれていて
全く理解不能・・
もともと春雨でほぼ育った神威と飛び級で学校を出て日々勉強を怠らない花梨のこう言ったものの学力差というのは明らかなモノだった
「花梨はいつもこんな風に本を読むのか?」
そう聞く神威に花梨は嬉しそうにいう
「そうよ、こうやっていろんな本を読んでいろんな知識が自分のものになっていくのが嬉しいのよ
昨日わからなかったことが今日学んで理解してそれが応用されていくってすごいって思わない?」
「昨日できなかった技が今日できるようになってるったことと同じと考えたら嬉しいかな」
「でしょう?私は神威たちみたいに体を使って戦って力をつけたりができないけど、
私は私にできることで力をつけたいの。それが知識を得て応用して発想することなの」
「そっか」
「そうよ、自ら得た知識は絶対に自分を裏切らない。神威が得た強さが絶対神威を裏切らないようにね」
花梨はそう言って笑った。
「花梨はその知識と応用でここで生きてるんだな」
「そうよ。とりあえず今はね・・いつか、絶対に私より優れた人は出てくる。でも・・
それまではここで必要とされるだろうから、追いつかれないように努力は続けるわ
そうやって生きてきたんだもの」
神威は自分もまた強さを追い求め追いつかれないように走り続けると言う点では花梨の考えに同調できる
方向性は違えど、どこか一緒なんだと思った