5億の女
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「ここの飯もうまいね」
そう言って皿を平らげていく神威を隣に見て
向かいの花梨も女性にしてはかなり食べるな、と阿伏兎は二人を見ていた。
食べ続ける神威は置いといて、阿伏兎は花梨といろんな話をしていた
学生時代のことも興味深かった、阿伏兎たちはそう言う経験はしてない分新鮮ではあったが
花梨は高校、大学と奨学金で学校へ通っていたためバイト三昧だったと笑う
「普通の女子大生が軍人ってキツくなかったか?」
そう聞く阿伏兎に
「キツイなんてもんじゃなかった。訓練で毎日明日はもう死ぬと思ってたわ」と笑った
「後悔したか?」
「ええ。したした。毎日した。奨学金返済免除とかそう言うの考えなきゃよかったって。」
「普通ここまでの地位に着いたら、後悔なんてしてないとか言うもんだぜ?」
「するって、こんなキツかったの生まれて初めてだったから。
私、最初は事務職で採用のはずだったのに、
なんでここで訓練してんの?って、配属先が決まってからまた大変だし」
「内偵か?」
「そうよ。こんなペーペーにさせる?って、まあそれで色々慣れたことも多かったけどね
軍隊の現実を知ると言うか、軍人を知ると言うか、で、今に至るだけど」
「今の部署はなんで決まったんだ?」
「もともと大学で勉強してたことのスライドよ。だから水を得た魚って感じになったのよ
超忙しいブラックで、これも死にそうだと思ったこと何回もあったけどね」
阿伏兎はそんな話をする花梨の顔がそれでも楽しそうに見えていた
おそらく、それがあって今の花梨があるのを本人が一番わかっているからこんなふうに言えるんだろうと思っていた
神威はご飯をかきこみながら二人の話を聞いていた
花梨の印象は最初の頃とさほど変わらない
死体に動揺ひとつしないのは軍人で、内偵時代にたくさんの死体を見てきたから
キモが座っているのも軍人だから
あの船の中で殺されるかもしれないのに平然とした顔で飯を食ってた
挙句身代金交渉で自分から金額を釣りあげる始末
つかみどころがなさすぎて、でも面白い。
阿伏兎との話も面白かった、軍に入って後悔ばかり・・って思わず吹き出しそうになった
・・でもどこか本音が見えない。神威は彼女をも見るとそんな気分になっていった
あっけらかんとしているように見えるけど、自分の生についてさほど執着もない
まだ知り合って間もない彼女は今まであった誰とも違う気がしていた
まあ、人の内臓見ながらでもホルモン食べられる女なんてそうそういないだろうけど。