5億の女
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「さっき何か作ってたの?」
「ああ、電子回路基板の試作なんだけど、機械に頼らず自分でやってみようかと思って
コンピューターで全部やっても良かったんだけど、弄りながらやるのも好きだから」
コーヒーを飲みながら花梨はニコニコという、それはあの牢獄にいた時の不満たらたらの顔と随分違っていた。
「戻ってからずっとほぼここか?」阿伏兎の問いかけに
「ほぼここ、寝泊りしてるわ」と苦笑いで返す
「ここなら黙ってても食事に時間には運ばれて来るし、着替えも服も支給されてるから
困らないようにはできてるから、別にいいけど。この建物というか敷地からも出てないわ」
「よくそれで耐えられるなお前さん」
「。。あの牢獄よりはマシよ、な〜んてね」と悪戯に笑う・・
ーーー第七師団にいた時とまた印象が変わる。
「こうして仕事してるの好きだからね。超ブラック企業でも耐えられるのよ」
その部屋を見渡すと奥には様々な機材、パソコン、工具様々なものが理路整然と並んでいる
ここで一人で彼女は黙々と仕事をこなしている
「そういえば神威たちはどうしてここに?」
「どこの星も国もこういう海賊との関わりは何かしらあるからね、ここもそうだよ
協定を結ぶために来たんだよ」
「へえ、春雨とね協定をね、確かに反政府側と組まれたらえらいことになっちゃうよね」
政治的話は基本上層部と政府しかしないから花梨には無縁な話で、
これが軍属で親が政治家だったり、財閥出身だったりすると
反政府に牛耳られる事は政治生命、軍人生命、自分たちの権利、立場全てに影響を受けるから
海賊や裏社会とのつながりも持っておきたいことも理解できる
同じ国や軍に属していても、立場の違いは明らかで花梨は自分の頭脳だけでここまでやってきた叩き上げの部類に入る
きっかけは奨学金返済不要と年金、給料 就職活動だったけれど。
いずれにせよ、国や星、星系に至るまでを現状のまま存続していくには清廉だけではやっていけないことも事実。
大人になれば理解もしているから、特に春雨が協定を結ぶこともなんら不思議ではなかった。
表には必ず裏があり、光には影があるように背中合わせで全ては一緒に存在するモノで
それぞれにその場で生きるものがある
花梨自身の仕事もそうだ、軍人としての役割と自身の自制がなければ
彼女によって開発された全ての兵器などの技術はいとも簡単に外に漏れさせること、
密かに売ってしまうことも可能なのだ。全てはそこで働くものの自制心で成り立つのが軍部とも言える
それに・・軍人もまた大義を掲げ、その大義のために逆らうものは殺すのだから
海賊だろうと軍人だろうと大差はない、そう花梨は考えている
その日はせっかく神威たちが訪ねてくれたからと久しぶりに研究所の外に出て食事をすることになった。
かれこれ二週間はこの施設から出てなかったことに気付いて一人笑ってしまう
少なくとも花梨は軍部で要人扱いとはいうものの裏方に位置する立場で表立って有名ではない
軍部内ではこの人ありと言われるほどではあるものの一般には知られていない
戦艦に乗り凱旋する提督たちとは違うが彼らが乗っているのは彼女が設計し造船された旗艦、戦艦である故に
彼らも一目置く存在になっていた。
結局行く場所は統合本部の近くのレストランだった
彼女自身、苦学生でやってきたので、今そこそこ給料をもらっても贅沢をしないので
一番使いやすいレストランに案内することになってしまった
これが他の提督などならば、こう少し高級な洒落た見せた美女がいる店になるのだろう
しかし、花梨はまだ23歳で確かに社会人になってから6年目ではあるもののあまりそう言った店に行くことがない。
女性であることもそうだが、目立つ部署にいないから誘われることもない
ーーーーついでに言えば前後にわたってまな板な体系は女性らしさがない。
少年のような体つきとも言える。なので色恋などとは無縁である
賑やかなレストランで空腹を満たす神威の食欲は第七師団にお世話になった時
一緒に食べたのを変わりなく、いったいどこにそれが入るのかが不思議でならない
花梨自身も比較的食べる方で女性らしくないだのなんだの言われているが、
研究所の中にほとんどいる花梨には食べることが唯一の楽しみでもある
なんでも胃に入ればいい程度の楽しみだから美食と言うわけではない。
例えばインスタントラーメンでもなんでもいい、美味しく胃袋を満たせれば。