5億の女
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神威たちはクーデターが起こる戦火の中、花梨の元へ急いだ、
外れた場所にある生態医療研究所へ、早く、一刻も早く・・神威は一つだけ持ってきた石をぎゅっと握った。
花梨が好きだと行ったイエローストーン
星のように輝くその石は「ここから見上げた星そのものよ」と花梨は笑った
絶対に助ける、阿伏兎と高杉も神威の後に続く。
手術台に拘束されたまま花梨はぼんやりとした頭とまだ動かない体で周りを見る
まだ生きてる?ほっとした思いはすぐ絶望へ向かう
周りとをり囲む数人の研究員たち。
「いよいよですよ。これに貴女の脳が入るのですよ」
そう言って液体が張られた容器を見せられた。
「これが最後の注射です、もう打った瞬間に意識はなくなるので痛みはないですよ。
嬉しくて皆ゾクゾクしてるんですよ、何年これを待っていたか」
そう言って花梨の腕に再び注射針が近づいた
もうダメだ、流れ落ちた涙の意味は神威に会いたい、それだけだった。
ーーそのときだった、
ドアが爆破され爆風が部屋の中に入り込みさらに煙が充満した。
同時に銃声が立て続けに聞こえ、周りの気配が突然なくなり注射がそばに落ちて割れた。
「花梨さん!!」それは銃を持った蓮水だった
拘束をとき花梨を起こすが麻酔が抜けていない状態で体の自由が効かない。
花梨を急いで床に下ろし手術台の下に隠して蓮水は応戦する。
いち早く場所を特定し潜入し情報を提督に報告して蓮水は駆けつけてきたのだった。
「神威殿が来るまで頑張ってください」
蓮水の言葉が勇気を与えた。
医療部の警備が駆けつけ、銃口を蓮水に向ける
「その女の頭部は打つな、急所は外して脳は生きている状態だけでいい
その脳が欲しいんだ!」
狂信的な目で叫ぶ男は蓮水の後ろにいる花梨を指差し叫んだ
蓮水は思い出した、あの男は本部にいた男だと。
「私の命に変えてもお守りします」
蓮水はそういうとその男に向かって発砲した、
手術台を盾にして屈み銃を持ち直す。
「ここで伏せておいてください。動かないで」
いつも穏やかで優しい蓮水の顔が厳しいものに変わった。
じわじわ包囲網が迫る中一人蓮水は戦い続けた
麻酔が抜けていれば花梨も応戦できるぐらいの訓練は受けている
実際、粛清という処分対象を殺している、まともに動けない自分が歯痒いと唇をかむ。
「くっ!」銃撃の音と共に鮮血が目の前を舞う
ーーーー銃弾が蓮水の肩を撃ち抜いていた。
「蓮水!」腕を抑える蓮水のそばへ行こうとすると制止される
「そこにいてくださいと言ってるでしょう、私は大丈夫」
再び爆発音がして、陸戦部隊が飛び込むと同時に蓮水が言った
「神威殿!」と。
血が沸騰する、神威はそんな感覚に囚われていた、
花梨が殺されると聞いた時からこの状態は続いている皮膚のすべてが開いて熱を放出している
阿伏兎がこういう時の団長は危ねえ、と言うほど臨界ギリギリまできていた
夜兎としての本能なのか、それとも大事なものを奪おうとしたことへの怒りなのか
少なくとも花梨と結ばれてからというもの、それはもう神威は花梨を宝物のように大事にしていた
そして、花梨を木蓮から連れ出す算段を考えていた
それがこの事態だ、蓮水は本部に逆らい花梨を守ることを選んだからこそまだ望みが繋がった。
蓮水の後を追い、陸戦部隊と共に施設に突入すると。手術施設の中で蓮水は一人で戦っていた。
高杉も駆けつけ合流する、鬼兵隊もだ
阿伏兎が蓮水の足元にいる手術着姿の花梨を発見した。
「大丈夫か!?」抱き上げるがまだ若干ぐったりしている
「麻酔が切れていないんです、花梨さんをお願いします私は負傷したので運べません」
「わかった」そういうと阿伏兎は花梨を抱き抱えた。
「だんちょ〜、安心しろ、こっちは無事だぜ」
神威は阿伏兎の腕に抱かれている花梨を見て安堵し、残った残党を片付けていく
「よかったなぁ。タカラモンが無事で」高杉の言葉にも
「ああ」とあっさり答える
だが戦いに容赦はなかった、助けてくれという研究員をも殺していく
神威の足元にたくさんの死体が転がっていった
全ての残党が床に転がる死体と化した時、ようやく花梨は床に下ろされた。
神威の顔を見て花梨は自然と麻酔が切れていない不自由なその手を伸ばした。
「無事でよかった」そう言ってその手を握る神威もやっと穏やかな顔に戻った
蓮水もその姿を見てほっとした。そのとき影が走った。
走り出す影は少年兵?銃を見つけた蓮水はその前に立った
「お前は?」
そこにいたのは花梨の小姓だった
内通者として指名手配中だった
花梨を狙う銃口の前にとっさに蓮水は立ち塞がり少年に銃口を向けたが。。。
しかし一瞬戸惑った・・震え泣いている顔を見たからだ。
その瞬間、蓮水に向かって銃は火を吹いた
ゆっくり倒れる蓮水、さらに少年は花梨を狙う蓮水は立ち上がり少年を止めた
「撃つんじゃない、今ならまだ君は生きられる。銃を捨てて投降しなさい」
少年兵の目は怯え、恐怖、不安のあまり充血していた
「うおぉぉお」叫び声をあげ目を見開き、蓮水に向けて銃を連射した