5億の女
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「明日は外宇宙へ私は出るので帰りは明後日になりますが、お願いしていたデータの暗号化作業は終わりましたか?」
蓮水が仕事中の花梨に聞いた
「全部終わってるわ、でも私が覚えてること全てって・・なぜ?」
「龍翔提督から木蓮の軍の根幹部分だから保存しておきたいと。暗号化して研究所で保管する形を取りたいと」
「確かに私の頭の中でのデータはあるから・・研究員が見られるようにするの大事よね。」
本部からそういうことは聞いてないのにと思いながらも、
蓮水が研究員皆が情報を共有することは大事だというし、それもそうだと納得して作業を行った
膨大な資料とデータ、開発中のものも全て暗号データ化した。
多分私の中の仕事に関する重大事項は許可さえあれば誰でも見られる
その作業をしながら、どこか肩の荷が降りたような気がした。
そして、蓮水が研究所を留守にした夜事件は起こった。
もう休もうかと思ったとき、いきなりドアが開いた。
「花梨様。本部からの命令により身柄を拘束させていただきます」
そう言って数人の男が花梨を拘束した。
「どういうこと?身柄を拘束って!蓮水は知ってるの?離して!」
部屋の物を手当たり次第に投げてセキュリティサービスのボタンを押すが反応しない
それでも相手の隙を縫って別のドアから逃げようとするも、そこにも男たちはいた
押さえ込まれても必死で争ったが
女一人ではどうしようもなく、花梨はそのまま車に乗せられ両側を屈強な男に押さえ込まれていた。
いつもの、そう、今までの花梨ならばもういいやと人生を諦めるかのように落ち着き払い開き直っていた・
でも神威との関係の中でそれが変化していたのも事実で以前のように思うことはなかった
ただ、誰かの手によって殺されて死ぬのなら神威に殺されて死にたい、という願いはまだどこかで持っていた。
今まで感じたことのない不安が花梨を襲う。
連れて行かれた先は、生態医療研究所のラボだった。
ここは花梨も入ったことがない施設で軍部とは切り離された部署だった。
引きずられるように内部へ連れて行かれた花梨が目にしたものは、人体実験に使われる保存装置がずらりと並んだ廊下だった。
その中に人体が何体も並び、中には何か実験をした後のようなものもあった。
腕だけのものもあったり、下半身だけのものがあったり。死体慣れしている花梨だからこそ
なんとか気丈にそれを見て通ることもできたが、常人ならば気が狂うほど怖がる景色だった。
奥の一際大きい装置の前に研究所員がいた。
「やっとこの日が来ましたよ」
その声に震えが走ったのは身についた警戒心からだろうか。
花梨は微かに覚えていた。
身体検査で何度も私を調べて嬉々としていた男の顔を。
「あの装置は人間の脳を保存し、そこからその脳に詰まった知識を利用するために作られたんですよ、そしてその脳を使い人工知能の向上をさらに目指すんです。
あなたは、その1番に選ばれた優秀な脳を持ってるんですよ。嬉しいでしょう?あなたの脳は永遠にあの中で生きて、木蓮のそして私たちの研究材料になる」
目を見開いて男を見る花梨に言葉を続ける
「この脳を見つけたときは嬉しかった、ここの研究員も喜びました。
未知数の脳でしたからね。
脳神経組織で見れば木蓮で唯一無二の脳だ。」
そう、花梨はもともとスキップで17歳の時点で大学卒業をするほどの知能を持っていた。
当然、努力もあったが、それ以上にすぐれた脳の構造からの方が影響が大きい
だから研究所へ閉じ込め研究ばかりをさせ、知識をとことんまで入れ込んでいった
予想通りの結果を出して来る花梨だったが、他に神経がいくようでは困る
ーーーそれが神威との関係だった。