5億の女
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ーーーー「俺、しばらくこっちにいようかな」神威はポツリといった。
「いいよね?阿伏兎、花梨」
何を考えて神威がそういったかはわからないけど、
一旦神威がそう言い出すと止めたところで聞かないってことをわかっている阿伏兎はお好きにしてくださいとしか言えなかった。
高杉はフラッと外に出て、その鳥籠の中を歩いた。紫煙をくゆらせ公園の中のベンチで座り空を見る
「大きな鳥籠か、上手く言ったもんだな」そう呟く
監視カメラが該当に光るのを見ながら何をしても見張られる生活か、
それでもどこにでも一人で移動できるならまだいい、花梨はいつでも人間の監視もつくーーーよく精神が持つもんだ。
知り合って間もない花梨だがその中で過ごした濃さが高杉にの心に影を落としていた。
神威は木蓮で一人自由に動き回っていた。
監視カメラがあちこちにあることはこの星に初めて降りた時からわかっていたせいか
気にしないで動けばいい、という結論を出していた、警戒心を抱かせないためにはそれが一番いい。
神威の食欲を満たす美味しいご飯を出す店は木蓮には山ほどあった
気が向けば入院中の蓮水にテイクアウトで差し入れもした。
そして蓮水からの伝言を預かったと言って花梨のもとへ向かう
蓮水からは小姓へは神威殿がいらしているときは席を外すようにと申し伝えがあり
研究室の入口と、窓あたりに監視カメラがある以外は花梨と普通に話ができていた。
流石に寝室に使ってる部屋とトイレとかにはついてないと花梨は笑って教えてくれた。
なんだかんだ言いつつ高杉もまだ木蓮に残っていて、ある日神威に小さな箱型のスイッチを渡した。
「何?」
「電磁シールドだ、花梨との会話でやばそうなことがあれば使えば少しの時間は磁場が狂って監視カメラが異常作動する」
「どういうこと?」
「まあ、盗聴器でもちゃんと反応する、念のためにもっとけ。赤は盗聴されてる、このボタンで電磁シールド派が出る」
「今は大丈夫みたいだね」
「気をつけるのは花梨といるときだな、・・あいつは結構やばい状況にいるのかもしれん、だからお前は残ったんだろう?」
「最初に巻き込んだのはこっちだからね。」
「・・それだけか?」
「それだけだよ。」
「じゃあ、俺が拐ってもいいな、惚れてるわけじゃなさそうだしな」意味深に笑うシンスケに神威はムッとしたが
「惚れてなくても、花梨はシンスケについていかないよ」そう言って背を向けた。
「・・・素直じゃない」
そう言って高杉は神威の背中を見て笑った
実際、花梨の周りに不穏な動きを感じたのは戻って一週間当たりだった
花梨についている副官や小姓たちはどちらかと言えば花梨を気遣う位感じでそばにいる
研究所から出たときに不穏な人の気配をやたら感じていた。
たぶんシンスケもそれを悟っているんだろう。
・・・・・・・・・・
木蓮は滅多に大雨が降ることはない、温暖な気候で江戸的に言えば常春といった星だ。
それなのにその日は大雨が降った。
神威もホテルに帰り損ねて
「徹夜で仕事をするからここにいたら?ソファ空いてるし寝れるよ」
そういってくれた花梨の言葉に甘えることにした。
どうせ花梨は寝るときは寝袋だしありがたく自分はソファ。
奥の寝室は使わせてくれないらしい、そこは一応線引きしてるのが彼女らしい
先に眠りに落ちたのは神威で花梨は3次元CADで新しいエンジンのシステムを組んでいた
雨脚はどんどん強くなる、小さなノックがして副官が顔を覗かせた。
「まだ仕事ですか?」
「今日は徹夜かなあ。明日バナナ持ってきて」
「もう用意してあります、客人はもうお休みですか?」
ソファで熟睡してる神威を見て笑いながら言った。
「今日はどうしたんでしょうね、この雨。何年ぶり?」
「一年半はこんな雨ありませんでしたね、私は龍翔提督と宇宙にいることが多いので
データでしか知り得ませんが」
「宇宙じゃ雨も降らないものね。でも無限よね。」
「そうですね、花梨さんは宇宙は好きですか?」
「ほとんど出ないけど、この前龍翔提督に旗艦に乗せてもらって
たまには自分が設計した船に乗るのもいいと思ったわ」
「作るばかりで乗船はされないですからね。今度また乗りましょう、私も提督にもお願いしてみます」
「ありがとう、もう遅いから休んでください。明日の朝お願いしますね」
「承知しました、部屋に戻りますが何かあれば呼んでください」
「今日は、強いボディガードがいるから大丈夫よ、寝てるけど起きたらこんな強い人はいないから」
「ごもっともです」
副官は敬礼をして部屋を出て行った