5億の女
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反政府軍では花梨の扱いについて議題に上がっていた
花梨の言うとおり彼らの要求に良い返事をしない木蓮政府はすでに花梨をさらった犯人の残党を捕らえていた。
と言うことはすでに首謀者の割出も行われている
反政府軍とはいえ木蓮の真の恐ろしさは知っている
穏やかで優しい顔を見せながら戦争になれば情け容赦なしで戦いを挑んでくる
下手をすれば降伏宣言すらも受け入れては守れない場合もある
裏切り、さらに敵には情け容赦ないのだ。
花梨もどんな状態にあっても自分を見失うこともなく、恐れもしないそれは木蓮の血がそうさせている部分が過分にあった
まだ彼女に関しては苛烈な部分はないが、どんな事態になろうと流されることなくやるべきことをやる
その武器が、戦艦が戦争でどれほどの人間の命を奪うことになろうと躊躇はない
自分が作るものは確実に人の命を奪う者だと花梨は知っている
それを目前で見ても、冷静に次の改良部分を探してまた戦場、もしくは試験地域で試験運用する
ゆえに花梨もまた命を狙われやすくなる“殺人兵器”を作っていることに違いはない
生かしておいても殺しても・・・一長一短があって会議は紛糾する
それを高杉は黙って見ていた、
しかし、役に立たないなら殺すと言う最終結論は出ていた。
捕虜交換、もしくは花梨のその才能開発力の協力どちらかしかなかった
身代金など5億払ったコトでいくらでも木蓮が金を出すことは証明ずみだ
第七師団があっさり5億を手に入れたように今回はそれ以上払うだろう
そうなると木蓮だけでなく、その金欲しさにこちらを攻撃し花梨を保護し金を手に入れたいと思う輩も出てくるかもしれない
この星域は木蓮星系だから住んでいる人間や組織もわかっているが、他の星系から来るとなれば話は別だ、
内政不干渉を敷いている木蓮が協力を依頼したらどうなるかはわかっている。
花梨はそれだけ木蓮では危険な存在だったとも言える
当の花梨は何を考えているのかさっぱりわからない
彼らは捕らえても想像したのと違いすぎ、とまどいすらも感じていた。
「このままじゃ殺されるぞ」そう言う高杉にすら
「仕方ないよね」で終わらせる、
その瞳は不安すら浮かべない。
「例えばだ、死ぬ前に会いたい奴はいないのか?親は?友達は?」
「いない。親はとっくにいないし、友達は学生時代も作ってない。
軍にきたら内廷になって
ますます友達も知り合いもできなくなったから、
今のとこ私のそば似たのは蓮水ぐらいじゃない?」
そこで花梨は思い出した
「あ、二人いるわ」
「誰だ?」
「神威と阿伏兎」
「なんでその二人なんだ?」
「第七師団にお世話になった時、自由で楽しかったから」
「自由で楽しかった??」
「そう、何も縛られないで自由だった、ほんの数日だったけどね」
「・・・・お前。何に縛られてる?」
「・・・神威にも話したことがあるわ、私は大きな鳥籠の中にいるからってね。
不自由を感じないけど、絶対空は飛べない・・多分木蓮軍の中にいたら皆そんな部分はある
でもどこにいても同じ、ここでも、春雨でも。。一個の小さな家庭でも、男女でも。親子でも
本当の自由なんてどこにもないわよ。まあ、このまま死ぬとしてもあなたがいるだけマシじゃない?
できれば嬲りもので死にたくはないわね」
「そんときゃ、俺が斬ってやるよ」
「そう。じゃ、そういう時はお願いするわ、あなたが斬ってよ・・・約束よ」そう言って星の海を眺め出した。
その目はどこか遠く何かを見つめて探すようだった