5億の女
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今日は何か行き詰まっているようだと、蓮水は花梨の様子を見て声をかけてみた
花梨は床の上をゴロゴロ〜っと何度も回転しながら目を閉じている
行き詰まると大抵このポーズだというのはここに来てすぐわかった
「どうかしましたか?飲み物持ってきましょうか?」
「あ〜蓮水〜、出てこないんだよ〜、出てこない〜〜〜な〜んにも浮かばない、
困ったよ〜頭が止まってるよ〜」
「気分転換になんかしますか?チェスでもどうです?」
「チェスは嫌、蓮見が絶対勝つ」
「オセロは?」
「それも蓮水が勝つじゃん」
「じゃあ、五目並べ」
「却下」
「二人でババ抜きか七並べ」
「面白くない・・あ、ジェンガにしようよ」
「それ花梨さんが得意なやつじゃないですか、私が勝てるのは奇跡に近い」
「ダメ?蓮水〜〜ダメ??」
「う〜〜いいですよ、それにしましょう」
蓮水はこうやってスランプ状態になる花梨に付き合わされることが常だった。
こういう時の花梨は子供のようにはしゃぐ、そんな姿を見て蓮水は笑う
この研究室での毎日は蓮水にとっては失いたくないものになりつつあった
ーーーー誰も知らない花梨がいる、そんな気がしていた。
結局蓮水は3時間もジェンガに付き合わされた。その日仕事は一切しなかった花梨だが
翌日はスランプが解消されたのか丸一日PCに向かって食事すらまともに取らなかった
でもそれは波に乗ってる証拠で誰も近づけない。蓮水はその後ろ姿を誇らしげに見ていた
これが、花梨さんだと。
でも翌朝きてみればあの寝袋花梨になっている。ベッドで寝てくださいと言ってもここで寝る
「花梨さん、朝です〜〜」そう声をかけるが起きてこない
普段ならもぞもぞ動きだすはずなのに、よほど疲れているのかと思い近付くと息が荒い?
「花梨さん!?え?」ーーーひどい熱を出していた。
慌てて花梨を寝袋から引っ張り出して、ベッドに抱えて運んだ
「頭痛いよ、暑いよ・蓮水・・」譫言のようにそう訴えた。
蓮水は急いで医師を呼び寄せた。どうもインフルエンザだったようで花梨も調子が悪いのを黙っていたようだった。
スランプのように見えたのは調子が悪かったせいだった。
二日間は蓮水がついていたが、やっぱり蓮水にも感染して蓮水も寝込んだ
三日目、うとうとしていると人の気配がした、蓮水が起きてきたのかと思ったがそうじゃない。
治りが遅くまだ発熱している状態の自由が効きにくい体でベッドから起き上がれない
ここで蓮水以外の気配があること自体おかしい。
ここはセキュリティもしっかりしてるはずなのに・・私の部屋には基本蓮水しか入れないはずなのに。不安になりセキュリティサービスのボタンを急いで押した
でも人影は濃くなる
「誰?」
「花梨さん逃げてください!」かすれた蓮水の声が聞こえた。
数人の男が入り込んでいた。追うようにセキュリティサービスが駆け込んできても一瞬で倒されてしまう
重火器を持った男と傘を持った男・・傘って・・夜兎?一瞬神威を思い出したけど
神威たちがそんなことをするはずがない
押さえ込まれて動きが取れない状態の私の目に写ってたのはふらつきながら銃を構える蓮水の姿で、そのまま真っ暗な闇に落ちていった。