5億の女
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そして神威は小さな声でここにいる間は花梨と行動を共にしようと話をした。何を知らない女なら放っておくが花梨は違う。
神威が一緒にいなければもしかしたら他の師団長にやられちゃうかもしれない、蓮水がついていても夜兎ほど強くないし、ここで問題を起こす訳にはいかない
聞けばそんな長居はしなさそうで、スラスターという部分を修理したら残りは他の人間に任せて本艦に戻ると言った。
蓮水も神威なら任せてもいいような返事をしたので、「じゃ。しばらくは一緒に行動だ」と話はまとまった。
スラスター修理は明日からで1日時間がある。
「第七師団に行ってみる?懐かしいでしょ」という神威の言葉に従い花梨はしばらくお世話になっていた船に行った
下手に本部の中を動くより、こっちにいた方が安全だという考えがあっての発言だったが
花梨は気付いてないようで、正直、気づかれない方がいいと思っていた神威は安心した。
ソファで神威と向かい合って懐かしそうにここにいた数日を話す花梨は楽しそうで
死体見ながらホルモン食べられる女とは思えない。でも寝袋でゴロゴロ、物食べて自堕落な姿も花梨で、
あんなとてつもない戦艦を作れるのも花梨で年金、奨学金とうるさいのも花梨で
・・ほんとに変な奴だと思う。
まるで箱を開けていろんなものが出て来る宝箱みたいな感じだ
いいものも出ればとんでもないものも出て来るような。。。。今のところとんでもないものの方が遥かに多い気がするが。
「今回はどうして宇宙に出たの?いつもならあの研究所の敷地内から出ないんだろ?」
「あまりにこもりすぎだって蓮水が心配して龍翔提督に相談したら
新造艦にまだ一回ものってなかったら試験運行に付き合えって提督が言ってくれて、
そしたら商船が故障でここにきて修理できないでいるって。
システムを一番早く修理できるのは私だし部品はこっちのしか使えないからきた感じ?」
「そしたらこっちにバレてた訳だ5億の女って」
「何それ?」
「言われたろ?最初に、花梨は5億の女で有名なんだよ」
「でも、いきなりまな板って言われたわ」
「まあ、それが俺が最初に言ったからだけどさ、それ以外に花梨の頭脳が欲しいんだよ、あいつらは、
あの流体金属はこっちにはないし、重粒子砲の威力もすごいからさ
開発してる花梨が欲しいのさ、
だから姑息に俺に花梨を誘惑して引きいれろなんて言えるのさ」
「私が神威とねぇ、私がそんな行動とったら今なら軍に粛清されるわ」
「え??粛清??って無粋な言葉が出るね」
「当然でしょ、私だけが知ってることが多すぎるといやでも対象になるわよ
例えば神威と付き合って恋愛できる自由なんてないわよ、
自分が内偵にいたからどうなるかもわかってる。
まあ軍の提督や大将、中将、少将あたりの人相手なら恋愛も可能だけどね、
軍医とかもそう、あの大きな鳥籠の中にいるしかないのよ」
神威は少しだけ花梨の闇の部分を知った気がした
確かにそうだ、花梨は軍内部まで入り込んでしまっていて・・だとしたらあの研究所の中にいるのは身の安全を図るため?それとも自由を諦めているのか?
「だからあまり生死に拘らないのか?自分がいつか粛清対象になるかもって思うから?」
神威は思わずそう聞いていた。ここにいた時からそうだった。
絶対生きたい、助けろという姿勢はなかった。流れに任せているような感じだった。
「どうなんだろうね、怖いとかそういう前にもういいかと思うことはあるかな。
そこまで生きることにしがみつかないでもいいかって。捨ててる訳じゃないよ。
ただ足掻いたりとかするのは嫌かもね。生きられるなら生きるけど無理ならいっかって」
「花梨。お前」
「万が一、そうなったら今度はグラマラスな女がいいわ。まな板じゃなくてさ」
そう言って戯ける花梨はまたそれ以上踏み込ませない。前と同じだ
その夜花梨は懐かしいあの部屋に泊まることになった。牢屋から出されてしばらく過ごした小さな個室。蓮水は珍しく付いてこなかった。
神威は花梨との話を阿伏兎に言った
「まあ。どこにでもある話だな、知り過ぎた分抜け出ることは不可能、優秀すぎたゆえの結果だろうな、しかしよく話したもんだな。」
「自堕落なところがあったと思えば優秀なところがあって、ふざけるところもあって
あんな闇な部分もある。まな板で変な女だよね。
あ。そうだそのまな板の話でさ
花梨にさ恋人作って揉んでもらえって言ったら無理だって言って
自分でできるか聞くんだよ
おかしくてさ。それでさ・・花梨がさ・・」
阿伏兎は神威が楽しそうに話すのを笑って聞きながら、心のどこかで花梨を気にかけている神威に気づいていた
ーーーーーだってそうじゃなきゃここには連れてこないだろうと。