5億の女
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今日は年に一度の健康診断の日
朝から花梨は寝ぼけた感じのまま医師が待っている部屋に急いだ。
何故こんな年齢になってまで身長、体重計られにゃならんのか思いつつも。
測定結果は去年と同じ太ってなかったと安心するのは
ないと思っていた女心かもしれない
血液検査まで終えて部屋を出ようとしたら蓮水が「うぉぉおお」と私に走ってくる
私、なんか変?服着てるしパンツも履いてるし・・
「花梨さん〜〜〜腕、腕〜〜〜」
なんだと、腕みたら、廊下に血が落ちてる
「血、止まってないですよ〜〜〜」さっき採血したときに止血が不十分だったのか
めんどくさくて、拭いて終わったんだっけな?
見事な流血ぶりで周りがドン引きで蓮水が慌ててタオルを持ってきた
「寝ぼけてると血も止まらないのかしらね」そう言う私に蓮水は
「もうちょっとなんとかなりませんか」と頭を抱えて床についた血を拭いて行く。
そう言われても、ねえ、と返すと大きなため息を一つついてもういいですと言った。
蓮水、怒った?あれ?なんかごめんなさいというと、いいですよと優しい目で笑った
三次元CADを使い新しいエンジンを設計中の花梨に蓮水は温かい紅茶を淹れながら進み具合を聞いた。
「いい感じに仕上がってるわ」そう答えながらも神経はほとんど仕事に向いている
第3期に向けての新造船の改良の締め切りが近づいていたため
ほぼ寝ずの生活に入っていた。
今回は今までのエネルギー出力の120%をベースにして、攻撃防御両方をバランス良く強化するため
武装用コンテナを6か所配置、状況対応に備える
艦首のビーム砲の出力強化、レールガン、などを装備として本体は流体金属で守る
艦対艦ミサイルも装備、連射可能に設定、副砲60門、防御面ではシールド強化と組み込んでいく
新しい設計システムを導入したおかげで設計ベースが整えば組み立ては早い
なんとなくの外形をモニターに映し出すと蓮水が感嘆の声を上げる
花梨が設計する戦艦は装備もさることながら、美しい形をしている
無骨な四角いものとは違い、ノーズを少し伸ばしてそこには船首の主砲を配備し、美しく仕上げてある。
この設計は彼女にしかできないと言われるのは見た目以上に強固に作り上げられる
そしてその戦艦を与えられる提督たちの意見を取り入れて変更可能してあるため
提督たちは余計に花梨の設計を好んでいる
目立たない部署にいながらも絶大な信頼を得ている花梨だか、そう言う仕事に携わる以上
この星系。この星、この軍から離れることは難しい。大きな鳥籠のなかではあるがそこから出ることは叶わない
昔の英雄が大きな墓標の中に迷路を作りそこに財宝を隠すとき、
それを作ったものがことごとく始末されていったように
花梨がそこを去るとき、そうなる可能性も十分にあり得るのだ
公表されているものに関しては問題ないが、されていないものも多数ある。
それは花梨の頭の中と・・・PCデータベースの中に書き込まれているからだ。
それが他者に奪われることはあってはならない、そうなる前にそのデータは抹消しなければならない・・
PCに書き込まれたデータは消せるが花梨の頭の中に入っている
データは花梨が生きている限り残る。
開発者である花梨はこのまま一生ここで生きるしか、自分が生きる道はない。
それは花梨自身もわかっている、
もしくは花梨を凌ぐ新しい開発者が現れて花梨が開発したものを踏襲するような働きを見せてくれれば、
別の道が開ける可能性もある
花梨が自分の生死に関してあっさりしすぎているのはこの環境にもあった。
生きることに執着すれば常に足元は鎖で繋がれている気がする
なんだかんだ言って研究室から出てこないのは余計なことを考えずに没頭できるのがそれしかないからだ。
ーーー誰も、花梨のこんな顔を知らない、花梨自身も人に見せない