5億の女
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ーーー翌朝、研究室では
寝袋からずるずると体を起こす花梨に向かって助手の蓮水は小言を言う
「ここでねちゃダメですよって言いませんでしたっけ?」
蓮水は年齢は上ではあるものの学校では後輩にあたる
彼はスキップ1年組で卒業したため5年の開きがあり
花梨が大学を卒業するときにまだ高校生だった蓮水は彼女に憧れもあったのだが
実際ここで出会った花梨は想像した花梨と全く違っていた。
仕事はちゃんとしてるが、床で寝てたり、寝袋入ったまま、寝ぼけながらバナナ食べてたり
移動が面倒だとそのままゴロゴロ回転して移動したり適当すぎるのだ
蓮水はここに移動して以来お世話係に徹している
アイマスクを上に上げて
「お〜は〜よ〜」と語尾を伸ばして起き上がり寝袋はそのままで
腰の辺りをボリボリ掻いて洗面所に向かう様はもう女性ではないとすら感じさせる
大学の首席卒業の記念写真にはそれはもう、素敵な女性に写っていたはずなのに、
目の前を通り過ぎる“これ(花梨)“はなんだ?と思わざるを得ない
身支度を整えて軍服を着た時はもう普段の顔になってるものの、さっきのあれを思い出すと、自分は配属場所を間違えたのかとさえ思う時がある
しかし仕事を始めると顔が一瞬で変わり、集中している間は声をかけることを躊躇わせ
食事すら進み具合によっては栄養剤のみで過ごしてしまう花梨を見ると自分はここにいて
補助要員でも彼女を支えねばならないと思わされる
まだ彼女の開発技術に拮抗する相手は出てこないのは彼女が仕事の合間は常に学ぶことをやめないからだろうと思う
私生活全てが彼女の場合仕事につながっていて、それ以外はもうボロボロでダラダラでいい加減になる
食べ物は胃に入って栄養があればいい、寝るのはどこでも外でもいい、床でも寝袋さえあればいい、着るものは洗濯してあればいい、
最近では無くなったらしいが数年前は風呂すら忙しいと二日三日入らなくても全く平気だった
蓮水は自堕落な生活の上司をいつも心配して動き回る男だった
そんな蓮水を花梨自身もとても信頼していた
置き換えれば神威にとって阿伏兎のような存在に近いかもしれない
先日の長期休暇が一番人間らしい生活をする時間でもあった、まさかあんなことに巻き込まれるとは誰も想像してはいなかった。
おかげで上層部からは当面は行先宿泊先などは全て報告書を出してからでないと木蓮から出られなくなった。
おかげでさらに自堕落になると蓮水は頭を抱えていた
花梨は友人ゼロ、と言ってもいいほど軍に入ってからは人と付き合うことをしない
それは最初に内偵という仕事を与えられたせいもあった
嫌われる仕事で、疑う仕事で、同じ軍部の軍人を粛清する立場になっていたから仕方ない側面もあった。
協定書に調印をする朝、ホテルで神威はボ〜ッと窓から景色を見ていた
木蓮側が用意してくれホテルは快適で食事も大満足だった
「短い滞在だったな」と思う
花梨と会ったのも時間にしては少しだったし、いろいろ話をしたかった。
午前10時に調印式があってそのまま木蓮を出発するから花梨にはもう会うことはない
またここを尋ねれば別だがそうそう来ることもない
迎えがきて調印式が行われた。
軍人が並ぶなかもしかしたら花梨が来ているかもと探したが猛者たちの列に彼女はいなかった
”私は裏方だから”そんな言葉を思い出していた
ーーー男性優位社会のこの中で花梨が生きていくのは大変なことなんだろうと感じていた。
午後一番で神威たちは木蓮を出発した
「いい星だったな」阿伏兎が珍しく言った
「まあ協定があるから何かと関わることも増えるだろうな、おそらく別の師団がやるだろうけど」
「俺たちは締結までか」
「いざとなればどうなってもいいと思ってた節はあるさ。本部が思うほど木蓮の連中が腹黒くないのはわかった。
彼らは軍規を重んじる軍人とそれに守られた政府。戦争を好むとは言っても
正々堂々が基本なんだよ」
「確かに、奴らは実直そうなのが多かったな」
星空圏を出た神威たちはもう一度木蓮を見た、
青い水の巨大な星は守らなければおそらく侵略される可能性大な星だ。
そのまま春雨の本部に行き協定書を渡して報告を終えた
その時に言われた
「あの星の兵器開発の天才に会えたか?」と
神威はニコニコしながら誰のことかと聞くと、先日助けた女の事だと言われた
進水式の時にチラッと見ただけです、そう答えると
「どんな女なんだ?いい女か?」と聞かれたから
「前からまな板、後ろもまな板な女です」と答えた。
「まな板?」
「そうです、こんな感じ」と神威は前に習えのポーズで上から下に手を下ろした。
「あ、ああ、ああ〜、そう、そういう女ね前も後ろもぺったんこ・・・」
「ええ、どこも出てないぺったんこ。そういう女ですよ、女?かなあ・・あれ?」
すっとぼけてそう答えたら、
「そうなのか」とそこで会話が切れた
花梨が聞いたら「うるせ〜」っておこるだろうなと思えたら後から笑いが出た。
直接見てるわけじゃないけど阿伏兎も言ってた、せいぜい良いところでAカップだなって・・・
まあ、いろいろ女は見てるけどあんなに胸がない尻もないのは滅多にない、俺の方がプリッとしていい尻のような気がする。
春雨の本部では5億の女でそこそこ話が出てたから、
美女でスタイルもよくてなんて妄想を膨らます輩もいたようだが・・
実際はあれだもんなぁ。
口が悪い時は本当に口が悪い、文句たらたらいう。でもそうじゃない時はなんか秘密主義っぽいとこもある、
いいところもあるし悪いところもあってまたそれも魅力なのかもしれないけどさ
幹部たちは花梨の顔写真しか知らないから首から下を相当いい感じで想像してたんだろう
確かに顔は清楚でいい感じだけど繰り返すが・・体つきは貧弱とか細すぎるわけではないが胸がないケツがない。
男としてムラっと来ないタイプだと、花梨を思い出しながら考えていた。