番外編 一世一代の恋 神楽の恋
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一方の神楽は
困った顔をした蓮の前にいた。
一世一代の覚悟を決めてお泊まり道具まで持ってやってきたのだから。
気がつけば凛達はまたデートで出かけてしまって戻ってこない
「神楽、あなたは何がしたいんでしょうか?行動が突飛すぎて理解不可能ですよ」
まだ前の壊れたテーブルと応急処置をした椅子が置かれたダイニングで顔を突き合わせて話をしている
「蓮がいなくなる前にちゃんとしなきゃダメアル」
「ちゃんとって、別にしないでもいいんじゃ・・」
「ダメある、蓮はこのまま消えていなくなって
私は蓮のこと忘れたらいいと思ってるアルそれぐらいお見通しアル」
「なんだか今日のあなたはやたらと推しが強いですね。どうしました?ひとまずお茶を入れましょう」
席を立つ蓮に「今日はいらないアル、先にちゃんと話をしたいアル」と言う
蓮は神楽の顔を見つめて
「本当に?今日はクランベリーのアイスにシフォンケーキに・・アップルパイもあるし、ああ、ザッハトルテも生クリームたっぷりで食べられますが・・」
そう言われたとき
神楽は唾を飲み込んでしまった
「素直に食べたいと言ったらどうですか?」そう言われて
「食べたいです」と言ってしまった
蓮はたくさんのデザートを並べてくれる
「美味しいですか?」
「すごく美味しい」そう言って食べる神楽を優しい目で見ている蓮は笑っている
でも途中で神楽は気付かされて気持ちが重くなっていく
”蓮がいなくなったら食べられなくなる、
違う食べてるときにここに蓮はいない
戻るかどうかもわからない。ここは蓮の家じゃないから・”
美味しいはずのケーキが美味しくなくなる・・・
蓮の前で初めて素面で涙がこぼれた
「どうしました?神楽??どこか痛いですか?気持ち悪いですか?甘いもの食べすぎて虫歯にでもなりましたか?」
隣に来て顔を覗き込む蓮が心配そうに神楽に聞いてくる
「違う、痛いのはここ、ずっと痛かったけど今日はもっともっと痛いアル」
神楽は自分の胸を叩く。
蓮はすっと小さく息を吸い込んでから神楽の頭を撫でる
「神楽、今は痛くていいんです、その痛みはいつか懐かしさに変わります。涙は笑顔に変わります」
蓮は優しい言葉で冷静に話す
細くて綺麗な指先が神楽の涙を拭ってくれる
こんなふうに蓮がしてくれるのは初めてだった。