この宇宙の中で 番外編 その後〜阿武兎の受難
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基本的に生まれからして一般人と金銭感覚がずれて居る
軍人時代の給料をこの江戸の価値に直すと超高給取りに入る部類だったマリンは
もともと生活費など湯水のように使える貴族出身で
物を買うにも値段を見て買ったことはないと言う
寄付などにお金は使うことが多かったらしいが、物の価値観がズレて居る
春雨にきて貯金全部を第七師団に入れてしまうと言う暴挙に出たせいで
自分のお金はほとんど持ってないのにどうするんだと阿武兎も不安になる
第七師団の金庫番としてはその金額を見て桁があまりに違うことに驚いたほどだった
給料のほとんどが手をつけられていない状態で10年分以上をいらないからと丸々第七師団の金庫に入れてしまった。
領地からの収入で全てを賄えていたとしれっと言うマリンに阿武兎も驚くしかなかった
一応また退職金と恩給の振り込みがあるらしいが。またとんでもない金額なんだろうと想像がつく。
第二艦隊司令官、提督の退職金と恩給、マリンは金額を見たところで驚きもしないんだろうが。
それすらも第七師団の金庫に入れてしまう所だった
その感覚が阿武兎には理解ができない
だから、この修正も必要不可欠だった
基本勉強することに対してはマリンは貪欲に学ぶ方なので
計算や物の価値さえわかれば問題なさそうではあったが
その金額が今までの万分の1、十万分の1ぐらいに下がっただけで
なんとか修正できそうだった。それもこれも彼女の物欲のなさから助かったのだが。
軍にいた頃から支給品で十分だったと言う。
“まあ、階級が上の方だから支給品もいい物を使っていたのは事実だから、わざわざ買う必要もなかったの“と言う
よく今の生活で満足できるなと阿伏兎が言うと
「別に野戦の時はテントで寝袋で寝たし、その辺のもの食べたし、基本雨風凌げれば慣れるわ」
いい意味で順応性はあるのだろう
軍人でよかった部分かもしれない
貴族のお姫様なら到底耐えられないだろう
とある日、神楽がマリンを訪ねてきた
「・・ビッグニュース、アル。」
「どうしたの?神楽ちゃん」
「・・私、マミーになるアル」
そばにいた阿伏兎もびっくりしたあと顔を綻ばせた。
それはすぐ神威にも報告した、きっとそれはもう神威も多分宇宙で喜んでこっそり飛び跳ねていたマリンは思う
人前ではきっとふ〜〜んなんて言いながら、私室では全く違う反応をしているはずで
ーーーそう言う人だ。
神楽の妊娠で何かばたついていた体験生活は3ヶ月ほどで終わりを迎えた。
春雨に戻ったマリンは本当に安心し切った顔をしていて、また神威はそれを見て笑ってしまう
「よほど疲れたんだね」
「ええ。本当に疲れたわ。でも前よりマシになったわよ」
そう言うマリンに呆れたように阿伏兎は言う
「経済観念は勉強してなんとかなった、・・料理はやっぱり向いてねえ。
指切らないだけマシになったが、煮込み以外は何もできん」
「煮込みって・・」神威が聞くと
「鍋に材料入れてほっときゃ出来る程度のものしか作れん」
頭を抱える阿伏兎に
「それだけで来たら十分だよ」と甘い神威にまた頭を抱えた。
「・・まあここでも特訓するけどな」阿伏兎の言葉にげんなりしているマリンがいた。
ーーーそして月日が流れて神楽が出産したとの連絡が入った。
地球に降り立った神威とマリンは連れ立って神楽の元へ顔を出した
小さな男の子が眠っていた。
なぜかアホ毛がしっかりあった。
「俺と一緒」そう言って神威は笑った
神威は自分にこう言う風に子供がいてもいいのかもしれないと思った
肝心の相手がなかなかそう言う気持ちにならないのはわかっているけど
おそらく彼女は想像がつかないのだろう
そう思いながらも自分だって想像つかない
生きてきた人生のほとんどを海賊として過ごした神威と
軍人として過ごしたマリンには家族という感覚がなかなか掴めない
二人して幼い頃から親の元から離れて育っている
恋人という感覚は男女である以上十分持てたけれどその先はまた別だった