この宇宙の中で
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神威は意識が混濁する彼女のそばでずっと考えていた
どんなに怪我をしても、死戦が目の前にあってもこの人は冷静に動く
自分を守ることはいつだって後回しだ
ただ。自分が盾になって何も持たず犠牲になるなんていう、お情け満載の映画の中の主人公じゃない
戦況を見て、自ら戦い部下を叱咤し勝ち続ける・・彼女はおそらく生粋の軍人なんだ
・・その冷静さが自分を苛つかせた・・
ーーー大人の顔を崩さない、いつだって。
確かに戦場下での顔とは違う顔を俺には見せてくれた、
でも・・いつだって子供扱いだ
安心を与えてくれる、居心地のいい存在
でも甘えてこない、どんな時だっていつだって、嫉妬もしてくれない
俺はどう言う存在なのか・・・
・・だから・・腹が立った。なぜわかってくれないって。
子供みたいな嫉妬もした。
阿伏兎と並ぶとこの人はどこか安心したような顔さえ見せた
距離を置いたら、夜になると会いに行きたくて、優しい声が聞きたくてどうしようもなかった
存在そのものが欲しくて自分だけのものにしたくて、心で求め続けてた
「ごめん、マリン」
眠っている彼女にそう言ってみたけど・・
きっと「何に対してなの?神威?ちゃんと言って?」って優しく叱られるんだ
結局俺はマリンみたいに大人になれないのか?
ーーー「こんなに大好きなのに」そう呟いてた。
それから二日後ようやくマリンは目を覚ました
目を覚ますと神威が顔を覗き込んでいた
「大丈夫か?」
久しぶりに見た優しい顔
でもついマリンは言ってしまう
「・・神威、団長なんだから艦橋にいないとダメでしょう?
船だってかなり破損してる、それに・・団員にも負傷者が出てる
後、エンジンの航行回路の・・」
「阿伏兎に任せてるから、大丈夫だ」
こんな時ですら、やるべきことを優先させろという彼女に神威は呆れてしまう
でも、今はそれがこの人なんだと思える
神威は笑う
それを見たマリンは不思議そうな顔をした
「みんながさ、
こっちに来たことで叱られたらいいって
追い出された」
「・・・仕事はどんな状況でもきちんとしないとダメよ?」
「ほら、やっぱり叱るだろ?」
その時だった
「ほ〜〜お。やっぱり、そうじゃったか?陸奥がいうた通りぜよ」
坂本がそう言って入って来た
「しっかり手ぇ握っとるとこ見ると。そう言うことじゃのう
ただの部下じゃ、そんな両手でしっかり手握り締めたりはせんのぉ」
神威は顔を赤くしながらムッとした顔でマリンの手を離した
マリンがくすくす笑う
「・・また、子供だと思っただろ」
神威が小さな声で言うと
「いいえ」そう言いながらまた笑う
「お姉さんに甘える弟みたいじゃのう」坂本も笑う
結局そうなのかと神威は不満気にマリン を見たが、彼女はいつもと同じだ
「いつか。逆の立場になるから待ってろよ」そう言った