この宇宙の中で
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神威は手当てを終えたあとマリンの部屋に向かった
あの状態でおちゃらけたせいか言葉をかけても無視されている
その背中は、確かに怒っている
明らかに怒っている
しかも怒りながら飲んでいる
ワインはすでに2本目も終わりかけ
ガラスに映る神威を見ているけどニコリともしない
「あれ?怒ってる?」
「・・・・・・・」
「夜兎は簡単に死なない。回復だって早い。心配しなくていい」
ふいっとそっぽを向くマリンは完全にプライベートの顔
「・・・嬉しかった、心配してくれるんだって思ったよ」
「・・あなたも阿伏兎も一緒よ」
横向いたままでいう
「そんな怒らないでよ」
そう言って抱きしめようとする神威に
「けが人は寝てなさい」と相手もしない。
「じゃ、添い寝してくれたら寝る」
そんな神威の言葉に呆れたようにため息が出る
“こっちが怒っても全く気にしてないどころかこれ。“
「マリンももう寝たら?結構飲んでるだろ」
そう言って強引にそのままベッドへ連れて行かれて、言葉通り添い寝をさせられた
あっさり寝息を立てて眠る神威の顔を見て思う
・・子供なんだか大人なんだかわからない人だ・・と。
喉が乾いて一度ベッドから出ようとすると
しっかり服の裾を掴んで寝ている神威にやれやれと思う。
猪突猛進、なこの人が見せるこの可愛らしさは罪だと思う。
結局ベッドから出ることを諦めて横になると
神威はマリンの体を引き寄せてそのまま寝息を立てている
朝まで我慢だわ。そう思いながら目を閉じた。
夜中、目が覚めたら俺はマリンの腕の中で寝ていた
ちゃんと添い寝してくれたんだと笑ってしまう
たまにはこういうのもいい。
子供扱いかもしれないけど、頭を撫でられているのがわかる
マリンも寝ぼけながらのようだけど。
そのままその胸に顔を埋めてまた眠った
先に目を覚ましたのは神威だった。
顔をあげるとマリンの寝顔。
自分の腕の中にいる人が逆に抱きしめてくれている
いつもと違う安心感があった。
体を動かすとマリンが目を覚ました
「おはようマリン」
「おはよう神威、怪我はどう?痛む?」
「いや、全然、すぐ治るよ、マリンとは構造が違うから」
「そう?」
「もう怒ってないんだ?」
「・・まあ」
「よかったよ。あのままじゃ相手してもらえなさそうだった。」
「なんの?」
「・・今夜相手してもらうから、もう起きるよ」
「神威、怪我治るまではダメよ」
「もう治ってるよ」
そう言って神威は部屋を出て行った。
神威のいうとおり夜兎の回復力は比べ物にならないほど早い
体力だってそう。でも。死ぬ時は死ぬ。
らしくなく取り乱したのは・・・
・・いいや、考えるのはやめよう。
彼にとって私の存在は・・永遠に続くものではないとわかっている
きっと彼に本当に思う人ができた時
戯れた時間でしかなかったことにきっと気がついて離れていく
私の感情など、彼は考えなくていい・・
そう思っていれば無くす怖さを味わうことなどない
だってこうやって悩めばすぐ写真を見て話しかけている
シオン、あなたは笑ってるだけで何も言ってくれないのね
“あなたは案外甘えん坊だから・・素直に私には甘えていいんですよ“
そう言った肝心のあなたがいないのだから
素直にはなれない、・・彼は私より年下で・・まっすぐだから私が大人でなければ・・。
「本当。なんで先に逝っちゃうの。」
文句を言っても、シオンは笑ってるだけ。
私はまたちゃんと切り替える、それができるのが・・私なんだ。