この宇宙の中で
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阿部兎だけは二人の関係に気付いていた
それは神威を見ればわかりやすかった
マリンは全くそんなそぶりすら見せなかったが・・。
マリンはいつも艦橋で最後まで残って全ての細かい部分まで確認を怠らない
修理でもあれば直せるものは直す
そして何より少しでも汚れがあれば磨いてきれいにする
素手でやるからたまに手の爪にヒビが入って大騒ぎするんだが足の爪ほどじゃない
・・・きっとこいつも団長のことは気にしてる
でなきゃ、団長が部屋に来るのを拒むはずだ
そんなふうに捉えていた
その日もマリンは最後まで艦橋に残っていた
「お疲れさん」
阿武兎はそう声をかけた
「お疲れさま」
「もう片付くか?」
「ええ」
「・じゃあ久しぶりに飲まねえ?」
「そうね、どこで飲む?って言っても」
「部屋に行く」
そういうと阿武兎は大量の酒を持ち込んでやってきた
「これぐらいの量、大丈夫だろ?」
「私は大丈夫でも阿武兎の方は大丈夫なの?明日の仕事に差し支えないようにしたほうがいいわわよ?」
「ふん、底無し沼のお前さんには敵わんから、適当なとこでやめるさ」
笑いながらいう阿武兎に椅子を進めた
予測通り先に酔っ払うのは阿武兎で
マリンは全く変化がない、あえていうなら少しお喋りになる程度のこと
「質問していいか?」
「何?珍しい」
「マリンの婚約者ってどんなやつだったんだ?」
いきなりの質問に驚きを見せたマリンだったが酒の席構える必要もない
「そうね、・・どこか阿武兎に似てるかもね」
「俺に?」
「ただし。見た目は美男子でカッコよかったわよ、紳士だったわよ」
「なんだい。そりゃ」
「・・でも情の深さや、思いやりは似てるわよ、優しさもね」
「ふ〜ん。そうか」
「あ、後。爪剥がすこともね」
阿武兎はそれを聞いて笑った。
「マリン、団長はどう思うよ?」
「神威?」
マリンは視線を窓の外の星に目を移した。
「まっすぐで・・イノシシで、こっちの都合も聞かず踏みつけてでも突き進んでくる・・」
「それでもそのイノシシに付き合ってるんだろ?あれでも気遣いはするんだぜ?
嫌なら部屋に入れないはずだぜ?お前さんなら・・」
ーーードアの外で背を向けている神威に聞こえるように阿武兎はいう
「そうね。そうかもね」
「イノシシは嫌か?・・あんたの中にはまだ死んだやつが残ってるか?」
「忘れる必要はないと思ってる。彼がいたから今の私がある
・・3人でいたから今の私がある・・今の私を作ったのは少なからず
彼らの存在ががあったから
何かあると・・聞いてよって思う時もあるけど
・・自分で全部乗り越えるしかないのよね・・今は・・今の中で」
「じゃあ、未来は誰が作るんだ?お前さんと誰が・・ってか・・・
このままで・・生きていけるはずもないだろ?
まあ・・・人生は選択肢の連続だ。
・・・・・聞きすぎたな、済まん」
「阿武兎は好きな人はいなかったの?私より年上だもの・・いたんでしょう?」
「ああ。いたな。いい女だったぜ?俺は手の届かなさそうな女が好きでな。
こう、なんだ、胸が焦げそうなのがいいんだよ」
阿武兎の言い方にマリンは思わず笑った
そしてまたグラスを重ねていく
「結構飲んでるな〜」
「お互いじゃないっていうか、阿武兎、もう危なさそうな感じがするけど?」
「ま〜だ大丈夫さ・・団長は酒弱いからなあ。俺ぐらいじゃねえか?
付き合えんの?」
「そうね 阿武兎くらいしかいないわ
以前は飲んだくれの部下ばっかりだから誰かいたけどね」
そう言ってマリンは笑う
「それ全部潰したんだろうが」阿武兎も笑う
「隊を任された時にね、最初にね、潰してやろうと思ったんだって
こんな女簡単に潰せるって
でも私にみんな潰されて、翌日の訓練出てこられないのよ
わたし、ずっと待ってたんだけど・・で中止よ」
阿武兎は呆れたように笑った