この宇宙の中で
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ーーーその夜も神威はマリンを訪ねた
まるでこの前の夜のことはなかったことかのような、その態度に自分には関心がないと言われているような気分になる
それを覆したくてまた夜を重ねる
神威は勘違いをしていた
彼女は常人よりも分別がつく人間なんだと分かっていない、はるかにその意識は強い
それは軍人として常にその判断が必要とされ、
そうして生きてきたからこそ自分に科す厳しさは人一倍強い
私人に戻るまでその姿勢を絶対に崩さない
それは過去に何度か恋愛を経験した神威ではわからないことだった
今までの恋人はいわば普通の人だったから。
ただ、足の爪だけは別、なのだが・
だが。
マリンも何も考えないわけではない
一人になれば、神威のことが頭をよぎることもある
神威を追い返せばいいだけのことなのに、追い返せない自分がいる
いい大人同士なのだから、こういう関係もあっても不思議ではない
そう割り切れる
だけど・・・
あの人は今の私を見てどう思うだろう
無意識に引き出しを開けると一枚だけ写真がある
3人で写った写真
真ん中に。兵学校時代の現皇帝、左に婚約者だったシオン、右に私が映る
愛し愛された人と大事な尊敬すべき友人
あの頃はあのまま3人でいられると思ってた
彼が皇帝になるのなら私たちは双璧で支えていこうと誓った
・・あの人を忘れる必要はない、それは今も変わらない
ーーーいつか違う誰かを愛することになっても。
神威は私の心をかき回す
あの人とは違う。あの人はいつも振り向くと後ろで支えてくれているような人だった
穏やかな顔で頷いて・
前を向いて進む私の後ろを黙って守ってくれていた
・・それが、彼はどうだ
まっすぐに突き進む、私の迷いや、戸惑いも踏み潰していく
あまりにもまっすぐで受け入れたものの・・
あの人はどう思うだろうと・・・・
でも・・きっと穏やかに笑っていうだろう
“そういうこともあるよ、それもまたいいんじゃないですか?“
その言葉が容易に想像がつく
彼は私を否定しない、
一度だけだ・結婚を控えて戦場に出るかもという時、退役してほしいと言った
それもあの時は叶わなくなったけど・・
神威のあのまっすぐさは。。若さ故か。否か。若さ故なのならば・・
私はきっと彼の人生の中で浮かんでいた一本の流れていた草に過ぎない
そんな気すらする
そう。たまたま掴んだだけのこと。
「どうかしている」
写真を見て思わず笑った
「あなたが生きていれば、こんなことも悩まず済んだのに、最後に意地悪をしたわね」
そう言って引き出しに裏返しで仕舞い込んだ
ーーーまた神威はここへくる
きっと、ドアを開けるんだろうと思うと、なんとも言えない感情が湧く
割り切る大人の自分はいつもいる、でもわからない感情の自分がどこかで生まれている
何かどうなのかは、まだわからないけれど・・。