この宇宙の中で
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でもマリンは全く変わりがない
いつものように仕事をこなし・・いつものようにきっちりしていて
そして・また
何気に片隅に置いた団員の荷物に足の小指をぶつけ一人悶絶してる
阿武兎が慌てて駆け寄って靴を脱がせて爪を見る
「また割れてるぜ」その言葉に身構える
「覚悟しろ」
「いや」
「諦めろ」
「いや」
「無駄だ」
「いやです!」
結局、 阿武兎に爪剥がれて手当てをしてもらうことになる
阿武兎もわざと大袈裟に包帯を巻く
毎回大男が椅子に座るマリンの足を膝に乗せ包帯をぐるぐるまく姿に笑いが漏れる
すでに知っているだけで4回目、その度阿武兎とこのやりとりをする
最近では他の団員もその光景を見て笑う
あの軍服で凛々しい彼女とはかけ離れているからだ
仕事となると顔が変わる
あの銃撃の時だってそうだ
昨夜のあの顔も、何もかも・・・彼女は幾つの顔を持ってるんだろう、と神威は思う
そんな中、第七師団は後方から攻撃を受けた
緊迫した船内の中で神威はどう動くかを考えていた
白兵戦ならば負けることはない、しかし、今は目の前の宇宙機雷の壁にどうするべきか考えていた、壁の向こうにも船影が見える
「あれは、人狼だ」
・・新しいできたばかりのにわか海賊ではあるが最新鋭艦を持っている
それが後方から迫っていた
旋回して正面からやりあって、突入して殲滅するか、神威はそう考えていたが
マリンがそれを止めた
「春雨の航行技術は確かだと判断していいのなら・・
機雷の中を抜けて先にいる艦隊を攻撃して
そのまま突入すればおそらく勝てる
旋回している間はこちらの攻撃はできない、
その間に主砲を打たれたら、大きな損害が出るわ
後ろの機雷に当たれば後方からの爆発で大破するわ
絶対に旋回してはダメよ
そのまま進んでいけば機雷の向こうは攻撃できない
しかも後続が追いつくまでに機雷の中は抜けられる
これだけの機雷、巻き込まれる危険性を感じてないわけじゃないわ
機雷の中に航路がある、これが3本
ただし、絶対に航路から外れてはダメよ
外れた瞬間に全滅する
これは春雨の艦隊が確実に航路を守って操縦できることが条件
後は機雷の中にこちらの時限機雷を何個か置いておいて
後続部隊が近づくと同時に爆破させればいい
近づかなければ彼らもは助かるけど・・こちらも被害はないわ」
マリンは機雷を敷く時にその艦隊が通る道がそのまま残る可能性があることを見越して航路を探し出していた
「私たちは機雷をおくいた跡さらにその航路にも機雷は置いておくんだけど抜けてるわよね。」
マリンは冷静に言った
航路を計算して各艦に送り、3列に分かれ機雷の隙間を進む
少しでも触れれば全滅。神威は操縦技術を信じた。
ゆっくりと確実に3列になった艦隊は進む
そしてマリンが予測した通り抜けきると後は春雨の本領発揮だった
そこからはマリンの出番はない
最初の予測通り人狼の後続部隊の一部は機雷の爆発に巻き込まれた
その間に春雨はその宇宙海域から退避してことなきを得た
神威は彼女の経験から来る艦隊運航や戦闘技術にはこういう目に合うたび感心させられていた
指示を送るその横顔は初めて会ったときの、軍人の顔、春雨にとっても貴重な戦力だった。
「13年間戦い続けるってこういうことなんだ。感心するね」そう呟く