この宇宙の中で
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マリンは残していく子供達のことや領民のことを各提督、軍務尚書に託した
彼らが成人するまでちゃんと見届けたかったが、この状況では無理だ
1番の安全策をとった
そして、最後の夜を屋敷で一人過ごしたのは・・最後の感傷に浸りたかったからだ。
この屋敷にそんな思い出はない
でも、ここからあの人が眠っている丘が見える
もう帰れないから、少しだけ今夜はシオンのことを思い出そうと思った
そして・・マリンは静かに目を閉じた。
夢の中で、彼は変わらず優しい笑顔、穏やかな口調でマリンに話しかけていた
“あなたの好きなように、それでいいんですよ。“
“大好きですよ”
“愛してます、あなたは私の宝物です“
朝、目が覚めるといく筋もの涙の跡があることに気づく
もう、戻らない星、戻らない人
テラスで陽を浴びて背筋を伸ばし息を吸った・・
“大丈夫だ” マリンはそう呟いて、旅立ちの準備を始めた。
午後、春雨に戻ると補給物資は積み込まれ出航するだけになっていた。
宇宙に出る日、プライベートの通信が入ると連絡があった
それは皇帝からの通信だった
居合わせたのは神威だった
「マリンをお願いする」彼はそう言った
そして彼女に笑いかける
「今日ぐらい、昔に帰っていいだろう?マリン。」
「そうね、フィール。」
二人は敬称を抜いて名前を呼び合った
もうそれだけでわかり合うように黙って見つめあっていた
「マリン、もし、今度会える日が来たら
・・・3人であの丘で話をしよう。
俺とシオンとマリンと3人で笑い合おう」
「ええ」
彼は自分のことを昔のように俺と言った
「道は別れるが、俺たちが過ごした時間は誰にも消せない・・
必ず、3人で・・・」
「そうね・・・3人で」
優しい笑みを互いに浮かべて通信は切れた。
「出発するよ、艦橋に戻ろう」
神威の言葉に振り返り艦橋に向かうその横顔は
いつもの凛とした横顔だった。