この宇宙の中で
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜、マリンは何か落ち着かず、ワインを開けた。
「怪我してるのに酒はまずいんじゃない?」
そう言いながら入ってきた神威は向かいの窓にもたれた
「今日は少しでやめるから」そう笑う
「マリンの親ってどんな親?・・娘殺そうとするなんてさ・・」
「すご〜〜く長い話よ?聞くの?」
「聞きたいね」
ーーー神威は聞きたかった知りたかった
彼女は驚かせてばかりだと思ういろんな顔を見せる
だから、どうしても目が向く、とらわれてしまう
「父・・・そうね、記憶があるのは私が4歳までは普通の父、
父は・・母を売ったのよ・皇族の妾にするために」
「え?」
「今の陛下はその父上が皇帝の座を奪い地位についた
そして今の皇帝の代になってるから
その前よ・・母は15で結婚させられた。
もう祖父が長くなかったから。家を継ぐためにね。
・・父は俗にいう婿養子よ。
そしてすぐに私が生まれた
20歳で父に売られた・・
プライドの高い母は妾に売られたこと自体を恥じて自殺したわ
金銭のやり取りがあったと聞いたのは大人になってからよ
・・父は私が5歳になると幼年学校へ入れた
思えば戦争で死んでくれるのを待ってたのよ
私は母にそっくりの顔だから疎ましさもあったと思うわ
権威を持つ家に売るには私は幼すぎたわ。
きっと12歳ぐらいなら
どこかのロリコン貴族の所に嫁か愛人でやられてるわ
私は幼年学校で皇帝陛下になる前の彼とシオンと出会った
周りが10歳という中で5歳で私たちは過ごすことになった
自慢じゃないけど。私たちは皆優秀でね、
皆が12年かかることを7年で卒業したわ
私はダメだったのは白兵戦だけ
初めての訓練は10歳のときよ
何もない荒れた野戦場での訓練だったわ
10歳が15歳とか18歳にかなうはずないわ、しかも相手は男よ?
13歳で初陣、白兵戦で死にかけて肋骨4本に腕まで折られて
シオンたちが来なかったら死んでた
皇帝陛下も死にかけてて・・大騒ぎになった。
皇帝陛下の父親が全王朝を倒して皇帝になってから変わっていった
ーーー父はね、皇帝の義父になりたがったわ
欲しかった既得権力が手に入ると思ったのね
私が彼と結婚すればと思ってたわ。
実際何度も口にした
でも私は全くそんな気も起きなかった
彼は大事な友人だった、同志だった、仲間だった。
・・・でも、私は22歳の時にシオンから結婚を申し込まれた
彼は特別だったのかも知れない。
・・・・・・結婚するはずだった。」
ーー神威は結婚という言葉を聞いて体が強張った
「結婚しなかったのか?」
「・・相手が死んだらどうしようもない」
「死んだ?」
「戦死よ。第一艦隊司令長官・・私は第二艦隊・・
陛下を守る双璧と言われてたわ、これでもね」
「・・愛してた?」
「もちろん、愛してた。退役しようとしてたもの。
5歳からずっと一緒にいてくれた
・・一生一緒にいると思った
・・うまくはいかなかったけど。
結婚式の一週間前よ、彼が死んだのは。
せめて結婚してから死んでよって思ったわ・・」
神威は心がえぐられそうなほど衝撃を受けた、
それは神威の気持ちがマリンに傾いていることを示していた
「軍務尚書が教えてくれた、父はまだ諦めていなかった、陛下の義父になることを。
陛下にはもう皇妃となる人がいる、父が余計なことができないようにしたかったの
それに私を遠ざけておけば私に火の粉は降りかからないと・・
私を守ろうとしてくれてたのよ。
おかしいと思ったのよ、あのお堅い軍務尚書が春雨に乗ることを許すなんて。
それに父には領地の所有権がない。私が持っている
もともと母が持っていた領地。
父にあんな目に合わされてすぐ手続きを取ったの
私が死ねば領地は父のものになる。
今回は私が死んで所有権を得ようとしたのよ
・・・隠れて作った子供を領主にしたかったようね。
軍務証書も徹底的に調べたと言ってたわ」
マリンはワインのグラスをまたあけた。
「変でしょう、こんな事態になって。。
ますます冷静になってしまう。冷めてしまうのよ」
神威は彼女の本音を探りたかった
どんな男だったんだろう、・・どんな・・・どんな男なんだ・・・
自分が抱いた感情が・・嫉妬、羨望、・・そしてマリンへの愛情だと
気づいてしまった瞬間でもあった