大事なもの、欲しいもの
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ーー気がつけば屯所に来て3ヶ月
しおりはすっかり馴染んではいたが見た目は相変わらずだった。
休日はほとんど正吉窯。
そんなある日人手が足りなくなった三番隊
小姓も来ない。部下も来ない。
一重に終の性格のなせる技なのだか
沖田が以前のおはぎのことを覚えていて
「適役がいますぜぃ、それにあの風態ですから色仕掛けもないし
終兄さんも意識もしないと思いますぜぃ」
と、しおりを推薦した。
・・それをしおりの前でいうから流石にあんまりではと思った。
でも土方もそうだな〜と言う近藤も適役だろうと納得
結局反対は誰もなく、臨時で手伝いをすることになった。
「しおりです、よろしくお願いします。」あいさつをすると
机の方を向いたまま小さく頭を下げた。
でも世話と言っても何をするって書類の整理とお茶を入れることぐらい
あとは風呂に入らず寝てしまう終を脱衣所の入り口まで引っ張って連れていく。
「また斉藤隊長 山猿さんに引っ張られてましたよ」
そう言う話を聞いて
本当かと確かめに行った沖田が見たのは
アフロヘアの背の高い男をずるずる引っ張って浴室へ運ぶしおりの姿
「お風呂で寝ないでくださいね」
そう言って寝ぼけたままの終に言い、出てくるまで待っている。
風呂に入ると目が覚めるようで、普通の顔で浴室から出てきてペコリと頭を下げる
「はい、あとは寝てください」
部屋の入る終を確認してしおりは個室へ戻る
ーーー「終兄さん、あんたって人は。」
沖田は呆れたように笑った。
・・・・・・
「まだ飯残ってますかぃ?」
沖田がそう言いながら食堂に入ってきたのはすでに午後2時を回った頃
しおりも遅めのお昼ごはんを食べていた時だった
お盆を片手にしおりの向かいに腰掛けた沖田は米を頬張りながら
「どうでぃ?終兄さん無口だから大変だろぃ?」
「でも最近は短い単語や返事ぐらいはしてくれるので、そうでもないですよ」
「終兄さんが喋ってるってどういうことでぃ?」
「ああ、とか。、うんとか、どうも、とか、書類とか
お茶とかまだ言葉がつながることはありませんが
でも大体なんとなくですが、わかります」
「たいしたもんでぃ」
そう言って沖田は湯飲みのお茶をずずっと飲んだ。
隊士の中で比較的話をするのは沖田ではあるものの、
いまだに呼び名が山猿で名前で呼ばれることはない
自覚が十分あるので全く気にしていないけれど
周りから見たら奇異に見えることがあるようで。
例えば、街で警備中の沖田がしおりを発見すると大きな声で『山猿〜』と呼ぶ
「なんですか?」と至って普通に受け答えする姿は屯所内のしおりを知らない限り理解できないだろう