大事なもの、欲しいもの
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次の休日
結局美容院へ行く勇気が出ず、道具屋筋をしおりは歩いていた。
キラキラした通りより
鍛冶屋に螺子屋などが
並ぶこの通りを見つけて散策した。
そこに”正吉窯”と書かれた看板を見つけた。
窓格子から覗いてみると、ロクロを回す人がいて
思わず吸い込まれるように引き戸を開けた。
「なんだい?」
そこには初老の男がロクロを回していた。
「ここで陶芸を?」
「ああ」
「でもここ窯は?」
「あんた陶芸するのかい?」
「父と武州で窯を構えてました。まだ父はそこで陶芸をしています」
「ここの窯は電気なんだよ。武州じゃ電気じゃないのか?」
「登り窯です」
「懐かしいなあ、
ここへきたら電気しか使えないんでな
茶でも飲んでいきな」
「ありがとうございます」
しおりは夕方までここで話をして過ごした。
「今度はロクロ回しにきな」そういってくれこともあって
それからの休みは正吉窯に行くようになった。
初老の男はそのまま同じで正吉と言った。
しおりの陶芸の腕は正吉が感心するほど確か。
それはそうだ幼い頃からずっと陶芸の技術を身につけてきたのだから。
最初は試そうかと菊ねりをさせて見たが、これもお手の物でそこからロクロで芯出しをして形に仕上げていく
「見事なもんだな、何年やってた?」
「始めたのは6歳だから14年です」
「そりゃ大したもんだ、じゃあ仕事も手伝ってくれるかい」
「休みの時だけで良ければ、私もこうして土に触れてると安心するので」
「嬉しいねえ」
正吉の手伝いをすることが江戸に来て最大の楽しみになっていった。