大事なもの、欲しいもの
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初めての休みの前日富子さんに言われた
「もうちょっとその眉なんとかしな、
明日休みなんだから美容院行っといで」と
なんとなく街に出てみたけど
余りに場違いな美容室を前に結局通り過ぎた。
かぶき町は特に賑やかで・・なんか自分だけ浮いてる感じ
でも一軒の団子屋に目が止まった。
ここで食べるのはちょっと、持って帰ろうかなと思い
「すみません」と声をかける
人の良さそうな団子屋のおじさんに3本持ち帰りでお願いして
それを大事に持って屯所に帰った。
「なんだい、美容院行ってないのかい?」富子さんに開口一番に言われ
「あのきらびやかなのは。。ちょっと」そういうと
富子さんは行きつけの髪結さんへ連れて行ってあげると言ってくれた。
そのまま部屋に戻ろうと食堂の前を通りかかったとき斎藤隊長に会った。
飲み物を買いに来たようで、挨拶をして通り過ぎようとしたら
”ぐ〜〜”っという音が斎藤隊長の方から聞こえた
「え?」
思わず顔を見ると赤くしてあたふたしている斎藤隊長が私を見て
違う違うと言ったようなジェスチャーをして見せた。
「お腹減ってます?」
そういう私にまた違う違うと必死にジェスチャーをしてくれるけど
ーーーまたお腹が鳴ってる
私はガサガサと袋から一本だけ自分が取ると残りの二本をそのまま渡して
「お裾分けです、これ食べてください、」
そう言って背を向けた
何か言いたげなのはすごくわかるけど、
喋ってくれないのでそのまま部屋に戻った。
もしかして食堂で何か作ってあげた方がよかったのかな?と後で思ったけれど
今更な話よねと思い直し団子を食べた。
初めての江戸での休日は団子を買いに出たようなものだった。
翌日の午後、隊士たちがお昼ご飯を食べ終わり
人の波がひいた頃
廊下から斎藤隊長がひょいひょいと手招きをする
私?と自身を指差すとウンウンと頷くから廊下へ出た。
スッと差し出された包み、
ーーー紙が挟んであった
「昨日はご馳走様でした。これ美味しいおはぎです。
食べてください。」
いや、口でいいえばいいことでも
この斎藤隊長は無口で言葉を発しない・・と沖田さんが言ってたので
「ありがとうございます」
そう言って恐縮しながら受け取った。
私が頭を下げると同じようにペコっと頭を下げて斎藤隊長は背を向けた。
律儀に返してもらわないでもいいのに。
あんな音聞いたら無視できないからあげたのにね。
そう思いながらも心はおはぎに奪われていた。
山奥に住んでるとこういうものがすごい御馳走だから、
すごく嬉しい。
食堂の片付けを済ませた後、お茶を入れておはぎを食べようとしたとき
「あ、うまそうな・・」
その声は沖田隊長
「2個あるので食べますか?」
そういうとニコニコ顔でやってきて椅子に座るから
お茶を入れて一個お皿に乗せて渡した
「これ千住屋のおはぎ、限定でなかなか手にはいらないんですぜぃ」
「そんな貴重なの知りませんでした。さっき斉藤隊長がくれて」
そう言ってメモを見せる
「昨日?」
沖田が不思議そうにメモを見たので
しおりはお団子の件を言った