大事なもの、欲しいもの
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ーーーー「もう落ち着いたので大丈夫ですよ」ーーーー
医者の言葉にほっとした
「男性の方は下痢を拗らせ腸炎で
女性の方は神経性胃炎ですが
これも少し重めですので
点滴と注射をしておきました。
痛み止めが効いているので寝られると思います
明日もう一度往診して様子を見に来ますが。
消化のよいものなら食べていいですよ」
二人して・・ついにダウンした。
拗らせ恋愛は、やっと拗らせが取れたものの、
積もり積もったストレスで一気にダウン
しかも仲良く二人同時とは、
土方も銀時もおかしくて笑えてくる。
「でももう大丈夫だな・・」
そう土方は二人を見て言った
「そうだな、・・長くかかったなあ。」
「全くだ、かえって近藤さんに報告だな」
「こんだけ付き合ったんだ、お前今度奢れよ」
「・わかってるよ!定食屋な。」
そう言いながら襖をしめた
部屋では二つぴったり並んだ布団で終としおりが眠っていた
・・しっかりと手は繋がれたままで・・・
翌朝、終が目を覚ますとしおりはすやすやと寝ていた。
夕べと同じ、手はしっかり繋がれたままで
それを見て終は笑みが漏れる
ずっと欲しかったものがここにある。
しおりがここにいる。
・・その未来もここにある・
それは奇しくもしおりが望んだものと同じ
やがてしおりが目を覚ました。
自分を見ている終に気付いて声をかける
「大丈夫?」
「大丈夫。大丈夫?」
「大丈夫」
鸚鵡返しみたいに同じ言葉を並べる
それも今は幸せに感じる
終はしおりの手を強く握る
「もう、・・・どこにもやらない」
終の唇からこぼれ落ちる言葉はしおりにとってはかけがえのない宝物になった。
土方は屯所に戻り報告をすると、近藤は顔を思いっきり破顔させて喜んだ。
終は回復するまで休み。
しおり宅には女中の富子さんを派遣した。
二人は二週間ほど身体を休ませた。
長く患っていたせいか回復に時間はかかったが
問題が解決したおかげでその後症状は全く出なくなっていった。
職場復帰した終はしおりとの婚約を早々に報告した。
同じ失敗を繰り返すまいという終の決心でもあった。
そして終は屯所を出て通いになった。
しおりは変わらず陶芸を続け作品を世に送り出す。
子供達への指導もやっている
ゲジ眉はもう卒業でひっつめ髪も終がちゃんとした方がいいと言うから
お妙に連れられて美容院で綺麗に結い上げてもらい
薄化粧も毎日するようになった。
「今度の休み。武州に帰ろう?見せたいものがあるよ」
終が言う。
一緒に住み始めて以来、二人の間でスケッチブックはほぼ必要がなくなった
ちゃんと話す、と言う約束を終は守り続けていた
あの火事以来武州には戻ってない。
少し不安になってしまうしおりを終がそっと抱きしめて
「大丈夫」そう言う。
武州行きは終の両親への挨拶も兼ねていた。
でもしおりには両親もいない。山火事事件もあって正直戸惑っていた。
誰も受け入れてくれないんじゃないかと。
「終兄さんを信じればいい」
沖田はそう言って列車に乗るしおりの背中を押した。