大事なもの、欲しいもの
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ーーー初雪が降った日
震えながら尋ねてきた終を慌てて家の中に入れた。
「寒かったでしょ?」
しおりは暖を取らせて温かいお茶を渡した。
・・その時ニアミスで指先が触れた。
しおりは終のあまりの指の冷たさに驚いて湯飲みを持つその手を無意識に両手で包み込んだ。
文字を書こうにも手が塞がってかけない終はただ、ただ驚くだけ
でも・・長く触れることのなかったその手は暖かくて柔らかかった。
一驚きもしたがその手の感触に気持ちが解けていく気がした。
・・・少し触れるだけで、何か溢れそうになる・・・・
「少しは暖かくなりましたか??寒くないですか?」
そう言うしおりが手を離した時
本当はもう少しでいいから手に触れていたいと思った。
しおりの方は手の冷たさに気を取られすぎて何がどうとか全くわかってない様子で・・
この辺に若干の鈍さがある。
「今日は縁側無理ですね」そう言うしおりに
”そうですね”と返す
でもしおりは何かを思いついたらしく立ち上がった
縁側に面した庭に焚き火台を出してきた。
子供たちがきた時に焼き芋をしてあげるのに用意したものだった。
そこで終と顔を見合わせて笑って
二人して火を起こした。
パチパチと元を立てて燃える薪を見て笑い合う。
暖かくて手をかざして
お茶を飲んでお菓子を食べた。
終は薪をくべていると、登り窯で手伝った二週間が懐かしく思えた
彼女と長い時間をなんだかんだ言いながら過ごしてきたことに改めて気づく。
それはしおりも同じだった
二人で薪をくべて暖をとって、懐かしい気持ちになった
同時にそれは過ごしてきた時間を見直すことにもなっていった
いろんなことがあって乗り越えたんじゃないのだろうか・・とも思えた。
それは自分だけの感情なのかわからないけど・・・
銀さんが言った一番大事なもの・・・欲しかったもの・
突然だった。。。
”渡したいものがある”
終がいきなりそう書いてポケットに手を突っ込んだ。
「どうしました?」そう言うしおりの手を開かせその上に口紅をのせた
「どうしたんですか?これ?」
焚火のせいなのか終の顔が赤く見えた。
”これをつけてほしい。
あの日、しおりが綺麗で見惚れた
今度は別れるための化粧じゃなくて
毎日私のためにお化粧してほしい”
そう書いたものを見せた
そして何も言えないしおりの体を抱き寄せた。
植え込みから「よっしゃ!」と言う小声が聞こえたのは二人は気づかなかった
張り込み当番の土方と銀時だった
そして二人は滅多に聞けないものを聞く
「もう、離れたくない」
終は自身の言葉で喋った(これが緊張の下痢の原因になる)
「終さん?しゃべ・・っ・・しかも単語じゃない」
驚きながら顔を見ると真剣な目で言った
「・・これからはちゃんと・・伝える、言葉で」
終はそっと身体を離すとしおりの手から口紅をとり、
不器用な手つきで
その唇に優しく口紅を塗った。
じっとしたまま終を見つめたしおりは心で呟いていた
一番大事なのは終さん・・・欲しかったのは終さんとの未来・・・
「綺麗だ」目を細めてそう言った終はまたしおりを抱きしめた
「そうだ、そのまま一気にいけ。」土方は寒さに震えながら言った
しかし安心しきった二人はそのままそこにへたり込んだ
額を合わせクスクスと笑い合う
その姿になんとなく安心した直後だった。
終はお腹を抑えて厠へ飛び込んでいった。
しおりは蹲り動けない
慌てて土方は終を追いかけた
銀時はしおりの元へ
もうなぜここにいるかの説明などしてる暇はなかった
「大丈夫か?しおり、どうした??」
「胃が。。い・・・胃が痛いです・・痛いです」
「しっかりしろ・すぐ医者呼んでやるからな」
厠では終が苦しんでいる
「終、大丈夫か??終!」
土方も扉の前で右往左往していた