大事なもの、欲しいもの
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終に口紅を渡した土方だったが
当の終は何が何だかわかっていない
”まさか私がつけるんではないですよね?”
と確認するあたりが終だ。
「ボケっ!なんで俺がお前に口紅渡してつけろっていうんだ!?
そんな趣味ねえわ」
”・・でしょうね・・”
「わかってんなら聞くんじゃねえ!」
タバコを取り出して土方は煙をはいた。
「まあ。なんだ・・それあいつにやれ。
今度は悲しい化粧じゃなくて
幸せになるために・・それ。。あいつにやれよ」
土方を驚いたように見る終だけれど・・どこかずれている
”それは副長が・・”
「おれじゃねえよ!
お前の代わりに買いに行ったんだろうが!
どこまで抜けてんだてめえは」
”ありがとうございます”
そう言って頭を下げる終に
「色は俺が選んだけどよ、
まあ、なんだ派手なやつとか
あいつが似合いそうもないピンクとかは選んでねえ。安心しろ。
・・次はお前が買ってやれ似合いそうなの見つけて」
掌にその口紅を乗せて終は頷いた
部屋を出る時
「・・ちゃんとあいつに伝えろ。怖がってちゃ何も始まらん、前みろ。終」
土方はそう言った。
一人になった部屋で終は掌の口紅を見ていた。
縁側に目をやれば嫌でもあの日の彼女がそこにいるような気がする
もしかしたら、この先どんなに幸せが訪れたとしても
自分もしおりもあの日を思い出して・・泣きそうな気持ちになるかもしれない
情けないけど自分がそうだ。
しおりのことになると、情けないほどダメな自分になる
いつも笑ってた。
泣き顔なんて見たことなかった。
泣いてくれてたら・・総悟くんが見たあの場面にいたら・・全部たられば・・だ。
土方の言葉が心に残っていた
”前みろ、終”
「情けないな・・私は・・。」自分に対して声を発した。
その後はもちろん厠に直行・・ストレスに弱い終だった。
季節は冬。
「もう俺風邪引きそう」
そういう沖田はまた植え込みに隠れて二人を見ていた。
もうかれこれ何ヶ月だろう
一向に進展しない二人は今だにソーシャルディスタンス。
今日はどうやら珍しく洋菓子を食べている
でも飲んでるのはお茶だ。
違う種類を終兄さんは半分こして食べている
もちろん性格上きっちりと最初に綺麗に切ってから分け合う
「俺はコンビニの肉まん食いたい・・おでんでもいいや。」そう呟く。
「総悟、これで我慢しろ」
横をみればホットのお茶を差し出す土方がいた。
「何やってんですかぃ。土方さん」
「どうも気になってな、来てみたが・・相変わらずだな」
「終兄さんに話したんですかぃ?」
「わざわざ口紅まで買って渡してある。」
「こっちの思惑通りにはなかなか動いてくれやせんね・・
まあ終兄さんらしいと言えば
終兄さんらしいですぜぃ」
結局この日も仲良く縁側で過ごして終は帰っていった。