大事なもの、欲しいもの
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その日はそよ姫を訪ねる日で
この時だけはそよ姫が贈った着物の袖を通す
顔はほぼ化粧っ気のない素顔だけど。
終はその日だけは城への送り迎えに関わった。
言葉を多く交わすわけではないけれど空気感が終を安心させた。
それはしおりも同じだった。
帰りにそよ姫が和菓子の土産を持たせてくれた。
きれいな漆の箱に二個の和菓子。
屯所のあの時間を思い出してふっと頬が緩んだ。
そして・・・しおりは躊躇ったが家の前まで送ってくれた終に言った。
「そよ姫から美味しそうなお菓子をいただいたので、一緒に食べませんか?」と。
一瞬終の目が見開き、そして柔らかな表情になる
頷く終を招き入れお茶を入れた。
小さな庭の縁側でいつかと同じようにお盆を間に挟んでお菓子を食べお茶を飲んだ。
いつかと同じように何かを語るわけでもなく、
時々しおりが話す言葉に終が相槌を打ち小さく笑い合った。
お茶が温かいだけじゃない、しおりの存在が近くにあることが終を温めた。
ーーーーいや、お互いの存在がお互いを温めた。
もう二人はこの時間を過ごすだけでわかっているはずなのに
・お盆の距離はまだ縮まらない。
ただ、そよ姫が渡した和菓子効果がで始めたのは確かで
それから週に三度は終が団子やおはぎを以前のように持って
しおりと一緒に食べるようになった。
ーーー前はしおりが訪ね、今は終が訪ねる。
それを知った銀時はゆっくりと進み始めた二人の気持ちにどこか安心を覚えた。
沖田にそれをいうと
「旦那、甘い、甘いですゼィ。
あの縁側から次行くのに前、軽く半年はかかってんですぜ?
今回はいろいろあってからでぃ・・もっと長くかかりますぜ?
また一緒に庭に潜り込んでみるんですかぃ?」
「・・半年も???もしかしてもっと??」
うなづく沖田に「なんか方法考えよう」と銀時はいった。
一方終はしおりの元へ持っていく団子やおはぎを買うことが楽しくて仕方がない様子だった。
ーーーまるで恋を知った最初の頃のように。
かぶき町の団子屋で持ち帰りの包みを受け取る終を見た銀時は
大事そうにそれを持って消えていく後ろ姿に笑いが自然と漏れた。
ーー「いらっしゃい」いつもそういって縁側に案内してくれる
座布団が置かれてそこに座るとお茶が出てくる。
お盆を挟んで座るのはいつものこと。
包みを開けて団子は一本ずつ。
お煎餅が3枚なら一枚は分けて残りは終が綺麗に半分に割ってしおりに渡す
「やっぱり食ってばっかりじゃねえか」
沖田は物陰から二人を見てぼそっといった。
「・・総吾、お前も来てたのか?」
そこには土方が隠れて見ていた。
「お前ら暇だな・・」そういう銀時は来たところだった
「お前も人のこと言えんのか?」
土方が突っ込んだところに
後ろには神楽や新八までが顔を揃え
まさかと思い塀の上を見ると近藤の顔が。
終たちはそんな人に気づかないほど二人の世界にいるように見えた(みんなには)