大事なもの、欲しいもの
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目が覚めたしおりは自分がどこにいるかわからなかった。
夜中、朦朧としてる状態で沖田さんが何か言ってて夢を見てると思ってたけれど
意識がはっきりしてわかる、屯所だと。
「目覚めやしたか?」沖田が顔を覗かせた。
「沖田さん・あの??」
「昨夜そりゃひどい熱で大変だったんですぜぃ」
しおりは全く記憶がない、
ただ数日前から足が熱を持ったみたいで
具合が悪かったのは事実だけど
すぐ治ると思っていた。
「・・いくら、山猿でも女で江戸まで歩いてくるのは無謀すぎますぜ?
正吉から聞いた話じゃ、
旅の格好じゃなく着のみ着のままの状態だったっていうじゃねえですか。」
「お金も家もないし・・あそこにはいられなかったから、
歩くしかないと思って・・」
「ったく。しばらくは大人しく寝てるこった。山猿は屯所で預かりでさぁ。
将軍家からもお達しが出てるんで、聞いてもらわないとこっちも困るんでさぁ」
しおりはまた屯所に戻るということになってしまった。
襖の向こうで終が心配そうにしていたのをしおりは知る由もないが・・・・。
翌日はそよ姫が屯所に駆けつけてきた
「先生!どこに行ってらしたのですが、そよは心配で心配で」
手を握り訴えるそよ姫に
「武州から歩いて江戸まできて、隠れてましたよ」
と説明を受けた。
そして土方はしおりに山火事に経緯を説明し、
里の人たちが戻っていいと言っていることも伝えたが
しおりはいろんなことが重なりすぎ、
自分がどこへいけばいいのかさえ
わからなくなっているような状態だった。
終はそんなしおりを黙って見ていた。
そしていつの間にかフイっといなくなった。
そよ姫が城へと誘うのを断り、そのまま布団に横になっていると
夜、終が戻ってきた。
襖を開けて“入ってもいいか“とスケッチブックで聞いてきた。
しおりは起き上がるとどうぞと言った
“これ”
そう言ってペロンと差し出された紙
それは不動産賃貸物件の契約書だった。
契約者は終
物件使用者がしおり
支払いは終
そう書かれていた。
“ここに住めばいい”
屯所の近くではあるけれど小さなプライバシーが守られた家
庭もある
”元気になったらここへ行けばいい
必要なものはもう揃ってる”
突然終がいなくなった理由は
しおりの住まいを探しに行っていたのだった。