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終は部屋を出て近藤の元へ向かった。
近藤に婚約を破棄したいと申し出た。
「なぜだ?昨日だって承子さんお前の部屋に泊まってただろう?
そこまで付き合っておいて破棄とは許されないぞ?
男として最低じゃないか?」
すでに関係ができていると思っていた近藤はそう言った
「終兄さんは一度だって関係持ってませんぜ」
沖田がそう言って入ってきた
「総悟、いったいどういうことだ?」
「あの人が何度となく泊まりに来たら、終兄さんは俺の部屋で寝てましたぜぃ
それどころか手も握ってませんぜ」
近藤は終の顔を見た
「なんで、お前」
終はスケッチブックを取り出し文字を書いた
”忘れられない人がいたから、触れたくなかった“
「触れたくないって・・お前」
“諦めようとしたけれど、辛いだけで、
でもそんな半端な気持ちであの人に触れるわけにはいかない“
「終、結婚したら忘れられるんじゃないのか?
ちゃんと籍入れたら関係も持てるだろうからこれからじゃないか?
彼女はいい人だぞ?
終の妻になって子供を産んでこれからじゃないのか?」
“このまま結婚したら
自分も大事な人も彼女も全部裏切ることになるから
結婚はできない“
近藤と終が話をしていると聞いてやってきた土方は
婚約破棄の言葉と締まるの説明を襖の向こうで聞いていたが
さすがに黙っていられなくなり出てきた。
「その女って誰だ?」冷たい声で土方がやってきて聞くが
終は首を振って答えなかった。
「承子さんと婚約破棄してその女と一緒になるのか?
承子さんが傷つくと思わねえのか?
結婚の日取りまで決まって・・それに
勇気出してお前の部屋に何度も泊まりに来た彼女の気持ちはどうなる?
・・別れた女とやり直して承子さんは婚約破棄
ここまできてそれはないんじゃないのか?」
土方は承子の一途さが可哀想に思えたし、
別れた女に戻ろうとする終が許せない気持ちになった。
しかし。。
“・・・彼女とはもう会えません、会う資格もありません“
俯いて悲しげな様子の終に・・・近藤は一言
「わかった」と言った。
土方はそれならば承子さんと結婚しろというが終は首を横にふった。
「俺から松平のとっつあんに連絡をれておく。
お前はちゃんと承子さんと話せ」
そう言って席を立った。
土方もまだ言いたげだったが近藤に続いた
沖田だけが何も言わず、ただ終の肩を叩いて出て行った。
怒り狂った松平が屯所へきて近藤と話をしたが、
事実を聞いて頭を抱えた
「あの歳の男ならやって当たり前だろうが、
あのバカは何もしてねえってか?」
「手を握ることすらしてなかったようで・・」
近藤がいうと松平はタバコを蒸して
「逆に手も出してもらえなかった承子の方が可哀想だぜ。
何回屯所に泊まっても終はほっといたんだろう」
「話し相手はしてもそれ以上は。。話し相手と言っても終があれなので
話し相手になったかどうかはわからんです」
「終・・その。なんだ。付き合った相手がいなかったわけじゃねえだろ?」
「は・・はあ。人並みにあるとは」
「ってことはだ、全く手ェ出す気がなかったってことだ。
そういう欲も沸かなかったってことじゃねえのか?」
「そうかもしれません」
「それじゃ〜承子も惨めじゃねえか?
承子は惚れてる、惚れた男は自分を女として見ねえ。
・・・・まあ、今となっては・・なあ。終はどこだ?」
「奥に控えさせてますが」
襖を指さした近藤を見て奥にいるであろう終に話しかけた
「シマルゥ、そこで聞いとけ、・・・手を出さなかったのは立派だ褒めてやる
だがな、好きな男の抱いてもらえねえほど、惨めなことはねえ
婚約までしてだ。そこは許さねえが・・
傷もんにしなかったお前は立派だ。・・
あとは俺がなんとかする・・お前や親に報告を忘れるんじゃんねえ
ぬか喜びさせたんだ、きっちり謝っとけ!」
そう言って屯所を去った