大事なもの、欲しいもの
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女中たちがいる部屋に案内されたしおりだったが
皆、しおりを見てどよめいた。
この人何?っていうような目つきで
超ど田舎から来ました的なビジュアルに引きつった笑いで
言葉に詰まりながら「よ、よろしくね」しか返ってこない
しおりの目には彼女たちがキラキラ輝いて見え、
都会の女性ってこういうものなんだ、すごい、と感心していた
しかし・・とくに憧れるわけでもないから”ああなりたい”とは思わないのが
しおりの性格で翌日からいじられる毎日なるとは全く想像していなかった。
ーーーー「ねえ、どうしてここに来たの?」
若い女中の一人に聞かれて
「叔母が連れてきたの、
このままは山猿から山姥になってしまうから
なんとかしなさいって」
その言葉に「きゃははっ」と高い声を上げて笑う
「いやだ〜、いったいどんな田舎にいたのよ」
仕方ないので武州の山奥で自給自足の父と暮らしてたことを言うと
「自給自足って、今時?信じられない〜」
と、語尾の上がった声で言われた。
この話をしたことが尾鰭をつけて更に山猿度が増した話になって屯所内に広まって
ひどいときは獣に育てられたとか・・・
獣捕って食べたとか・・・・これは事実だけど
父が捕ったので私は捕ってない。
流石に獣に育てられた話は信じる人はいなかったけど
でも隊士たちも普通に山猿とか言い出す始末
自覚しているから全く気にもしてないしおりだった。
しおりが屯所に来て最初の仕事は掃除。
庭中のゴミを拾い、掃き掃除をしてチリひとつないようにする
あとは物販の運び入れ
普段は女中集が重いわって言い出すと誰か隊士が運んでいたが
しおりが来てからというもの
山猿は力持ちだと彼女は全て運ぶ
30キロもある米ですら抱えて運ぶ
しかし山奥で元々力仕事もこなしてきた彼女は
こんな重さなんて平気で持ててしまう・
ある日の午後は薪割りをすることになったが
しおりに取っては朝飯前。
陶芸を生業としてきた家では
登り窯の時の薪は必須で
それに比べれば少量の薪割りなど大したことはない