大事なもの、欲しいもの
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その夜、ロクロを一人回して、心を落ち着けていた。
正吉はその姿をふすまの間から見て・・何かを感じていた。
明け方、しおりはたくさん作った茶碗を乾燥に回した。
そこから2週間夜は陶芸をしてそれらを完成させ、棚においた。
正吉は途中から気づいていた
“この娘は出ていく気だ”と。
それが証拠にこの2週間あいつは来ないじゃないかと
それから二日後、しおりは正吉からもらった着物の中で綺麗な小袖をきた。
初めて口紅をつけて、団子を二本買い・・屯所に向かった。
もう夜だったが、屯所に向かった。
終はなんというだろう、
綺麗って言ってくれるだろうか。。そんなことを思いながら。
いきなりきたしおりに終は驚きながらも嬉しそうに笑った。
そして口紅をつけているしおりに見惚れた。
綺麗な月を見上げながら、終としおりはお茶を飲んでお団子を食べて
笑い合って過ごした。
“今日はどうしたの?着物もいつもと違う、
口紅も・・・綺麗でびっくりした“
スケッチブックの言葉に笑みが溢れていく。
“もう十分”そんなしおりの思いを終は知る由もなかった。
小一時間ほど縁側で過ごした後、しおりは
「また明日ね」と言って屯所を出た。
終の世話係を離れている今
誰にも秘密の二人が屯所から二人歩いて出ることはもうできないから
月明かりの中しおりはひとり家路を急いだ。
屯所の角を曲がり・・・大通りに出る手前で・・涙が溢れた。
大人しく泣くなんてできなかった、
しゃくりあげて泣くその姿は
きっと他人から見たら
奇異に思えるだろう。
でも屯所を出るまで我慢し続けたしおりは限界だった。
人間て、我慢できない時はこんなふうに泣くんだと思った。
座り込み、泣き続けた。
ーーーやってられねえな・・・でも何もしてやれねぇ・・・
秘密にしとく約束だから・・・しかたねえ。。のか・ーーー
曲がり角の影で沖田はその姿を見ていた。
「見てられねぇ」そう呟いた。